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#82 田んぼの作り方(その7、レンガ積み。その2)
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やがて、溝が掘り終わる。穴の地固めよりは範囲も深さもかなり狭かったからか、そう辛い作業では無かった。壱は息を吐くと、あらためて穴の上から全体を見渡した。
「終わりましたね! お疲れさまです」
「お疲れさまー」
「お疲れっす!」
「お疲れ様です」
それぞれが返してくれ、リオンはいつもの通り頷く。
「では、次が煉瓦積みですね」
「はい、そうです。まずはセメントを練りましょう。ジェンたちは煉瓦を水に浸けておいてください」
「解ったっす!」
「はーい」
ジェンたち3人は道具の中から大きな木製の盥を出し、水道に持って行くと、水を入れ出した。
ここは空き地ではあった訳だが、ずっと遊ばせておくつもりは無いと、それを見越して水道は既に引いてあるのだとサユリが言っていた。
田んぼ作りには大量の水が必要である。水源が近くにあると、大変助かる。
ジェンたちは桶に水が溜まる前に、中に煉瓦を沈めて行った。
「あれは何をしているんですか?」
「ああ。煉瓦に水分を含ませているんです。煉瓦はすぐに水分を吸うので、乾いたままセメントを塗ると、水分を持って行かれてしまうんですよ。それを避ける為です」
「へぇ、なるほど」
壱が感心するとガイは頷き、セメントを作る為の材料や器具を揃えた。勿論壱も手伝う。
トレイにセメントと砂を入れ、水を加えてシャベルで練って行く。全体が満遍無く混ざると、小振りな木桶に入れて行った。
「はーい、積み始めますよー」
「はいっす」
ガイが声を掛けるとジェンたちが返事を寄越し、水分をしっかり含んだ煉瓦を両手に抱え、穴の角にそれぞれ置いてガイの元に。セメント入りの桶を受け取り、煉瓦ゴテを手に煉瓦を置いたところに向かって行った。
「さぁ、俺たちも始めましょう」
4角の内、3角からは既にジェンたちが時計回りに作業を始めていた。ガイが煉瓦を取りに行き、壱はセメントの桶と煉瓦ゴテをふたつずつ持って手付かずの角に向かう。
「では、まず溝にセメントを敷きます。本来なら土とセメントの間に路盤材、砂利とかを敷くんですが、今回は省略して、直接セメントを置きます。こうして煉瓦ゴテを使って」
ガイは煉瓦ゴテで木桶からセメントを掬い、溝に塗る様に置いて行く。やや厚みを持たせながら、平らに均して行く。
それを煉瓦数個分の長さに敷くと、早速煉瓦を置いて行った。
「こうしてセメントに少し埋める様に置いて行きます。次の2個めはこうして横になる部分にセメントを着けて」
木桶から少量のセメントを掬い、煉瓦の1番狭い面に、適度な厚みで塗る。
「セメント面を1つめの煉瓦に付けて、同じ高さになる様に置きます」
眼の前には、ガイの手に寄って水平に並べられたふたつの煉瓦。手際も良く、仕上がりも綺麗だった。流石である。
「ではイチくん、やってみましょう」
「は、はい」
壱はガイに倣って、煉瓦を手にするとセメントを掬って塗って行く。そしてガイが置いてくれた煉瓦の横に。
緊張する。壱はまったくの初心者なのだ。少しでもこの出来を続けられる様に丁寧に、息を詰める様に作業して行く。
終わると、壱は大きく息を吐いた。
「ど、どうでしょうか」
「大丈夫です。綺麗に出来てますよ」
「良かった……」
壱は今度は安堵の息を吐いた。
「このまま1段目を積んで行きましょう」
「はい」
「イチくんはここを続けて行ってください。俺は反対側から行きますね」
壱とガイの担当する辺は、長方形となった田んぼの長辺なのだった。
ガイが敷いてくれたセメントが、煉瓦3個を積んで短くなっていたので、まずは継ぎ足す事にする。
セメントを掬い、置き、同じ高さになる様に均して行く。広い範囲を平均にするのはなかなか難しかったので、まずは短く。
慌てず、慎重にやって行く。
そうして敷き終えたセメントの上に、側面にセメントを適量塗った煉瓦をそっと置く。既に積んであるひとつ前の煉瓦にセメントで接着し、高さを合わせる為に恐々と言った調子の力で押して行く。
そうして積み終えると、壱はまた大きく息を吐いた。
先程はガイが横にいてくれたので、少しは気が楽だったのだが、今回は完全にひとりだったので、より緊張した。
少し後ろに下がり、ガイが積んでくれたふたつと、壱が積んだふたつを眺めてみる。
作業スピードは明らかにガイと差がある。他の4人を見てみると、みんな手際良く作業を進めていた。遅くスタートしたガイですら壱の個数に追い付く勢い。
しかし丁寧に作業したお陰か、どうにかガイのクオリティに格段に劣ると言う事は無かった。壱はまた安堵する。
必要なのはスピードでは無く完成度だ。初心者の壱が遅いのは仕方が無い。そう割り切って、作業を続けて行った。
「終わりましたね! お疲れさまです」
「お疲れさまー」
「お疲れっす!」
「お疲れ様です」
それぞれが返してくれ、リオンはいつもの通り頷く。
「では、次が煉瓦積みですね」
「はい、そうです。まずはセメントを練りましょう。ジェンたちは煉瓦を水に浸けておいてください」
「解ったっす!」
「はーい」
ジェンたち3人は道具の中から大きな木製の盥を出し、水道に持って行くと、水を入れ出した。
ここは空き地ではあった訳だが、ずっと遊ばせておくつもりは無いと、それを見越して水道は既に引いてあるのだとサユリが言っていた。
田んぼ作りには大量の水が必要である。水源が近くにあると、大変助かる。
ジェンたちは桶に水が溜まる前に、中に煉瓦を沈めて行った。
「あれは何をしているんですか?」
「ああ。煉瓦に水分を含ませているんです。煉瓦はすぐに水分を吸うので、乾いたままセメントを塗ると、水分を持って行かれてしまうんですよ。それを避ける為です」
「へぇ、なるほど」
壱が感心するとガイは頷き、セメントを作る為の材料や器具を揃えた。勿論壱も手伝う。
トレイにセメントと砂を入れ、水を加えてシャベルで練って行く。全体が満遍無く混ざると、小振りな木桶に入れて行った。
「はーい、積み始めますよー」
「はいっす」
ガイが声を掛けるとジェンたちが返事を寄越し、水分をしっかり含んだ煉瓦を両手に抱え、穴の角にそれぞれ置いてガイの元に。セメント入りの桶を受け取り、煉瓦ゴテを手に煉瓦を置いたところに向かって行った。
「さぁ、俺たちも始めましょう」
4角の内、3角からは既にジェンたちが時計回りに作業を始めていた。ガイが煉瓦を取りに行き、壱はセメントの桶と煉瓦ゴテをふたつずつ持って手付かずの角に向かう。
「では、まず溝にセメントを敷きます。本来なら土とセメントの間に路盤材、砂利とかを敷くんですが、今回は省略して、直接セメントを置きます。こうして煉瓦ゴテを使って」
ガイは煉瓦ゴテで木桶からセメントを掬い、溝に塗る様に置いて行く。やや厚みを持たせながら、平らに均して行く。
それを煉瓦数個分の長さに敷くと、早速煉瓦を置いて行った。
「こうしてセメントに少し埋める様に置いて行きます。次の2個めはこうして横になる部分にセメントを着けて」
木桶から少量のセメントを掬い、煉瓦の1番狭い面に、適度な厚みで塗る。
「セメント面を1つめの煉瓦に付けて、同じ高さになる様に置きます」
眼の前には、ガイの手に寄って水平に並べられたふたつの煉瓦。手際も良く、仕上がりも綺麗だった。流石である。
「ではイチくん、やってみましょう」
「は、はい」
壱はガイに倣って、煉瓦を手にするとセメントを掬って塗って行く。そしてガイが置いてくれた煉瓦の横に。
緊張する。壱はまったくの初心者なのだ。少しでもこの出来を続けられる様に丁寧に、息を詰める様に作業して行く。
終わると、壱は大きく息を吐いた。
「ど、どうでしょうか」
「大丈夫です。綺麗に出来てますよ」
「良かった……」
壱は今度は安堵の息を吐いた。
「このまま1段目を積んで行きましょう」
「はい」
「イチくんはここを続けて行ってください。俺は反対側から行きますね」
壱とガイの担当する辺は、長方形となった田んぼの長辺なのだった。
ガイが敷いてくれたセメントが、煉瓦3個を積んで短くなっていたので、まずは継ぎ足す事にする。
セメントを掬い、置き、同じ高さになる様に均して行く。広い範囲を平均にするのはなかなか難しかったので、まずは短く。
慌てず、慎重にやって行く。
そうして敷き終えたセメントの上に、側面にセメントを適量塗った煉瓦をそっと置く。既に積んであるひとつ前の煉瓦にセメントで接着し、高さを合わせる為に恐々と言った調子の力で押して行く。
そうして積み終えると、壱はまた大きく息を吐いた。
先程はガイが横にいてくれたので、少しは気が楽だったのだが、今回は完全にひとりだったので、より緊張した。
少し後ろに下がり、ガイが積んでくれたふたつと、壱が積んだふたつを眺めてみる。
作業スピードは明らかにガイと差がある。他の4人を見てみると、みんな手際良く作業を進めていた。遅くスタートしたガイですら壱の個数に追い付く勢い。
しかし丁寧に作業したお陰か、どうにかガイのクオリティに格段に劣ると言う事は無かった。壱はまた安堵する。
必要なのはスピードでは無く完成度だ。初心者の壱が遅いのは仕方が無い。そう割り切って、作業を続けて行った。
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