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#81 田んぼの作り方(その7、レンガ積み。その1)
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昼食を終え、壱たちは食堂を出る。裏庭に回り、ガイとジェンが荷車を引く。サユリはまたガイの荷車に上がり、一同は陶芸工房に向かう。
到着すると、壱は工房の中に声を掛けた。
「こんにちはー、壱です。また煉瓦持って行きますねー」
すると中から「はいよー」と返事が返って来る。
壱たちは工房の裏に回り、積まれてある煉瓦を荷車に乗せて行った。サユリは荷車から降りて、その作業を眺めている。
2台分山積みにすると、ガイが引く荷車には壱とジェンが後ろに付き、ナイルが引く荷車にはリオンが着いた。
かなりの重量がある荷車を、全員で協力して引いて、そして押して行く。サユリはガイたちが引く煉瓦の上に乗り、しれっとした表情。
重いよサユリ! サユリは小さいから、降りてくれたところで然程重量は変わらないとは思うが、何だこの微かに忌々しい気持ちは。
いやしかし、サユリは大事にしなくてはならない存在な筈。何せ本当の村長なのだ。
テーブルに乗ったりそこから降りたり、それを軽やかに行っているものだから元気なのだと思っていたのだが、実は違うのだろうか。
壱はさり気なく聞いてみた。
「サユリ、何でそこに乗ってるの?」
すると。
「自分の足で歩くより楽だからカピ」
そんな理由か! 壱は大いに突っ込む。予感が無かった訳じゃ無いけど!
しかし、サユリはそれで良いのかも知れない。表向きは食堂の、引いてはこの村のマスコットキャラクタである。
ガイたちも嫌な顔ひとつせず、サユリの行動を受け入れている。内心は判らないが、恐らく黒いものなどほぼ無いだろう。
短期間ではあるが、壱が見てきたガイたちの印象だ。自分の眼力がどれだけ当てになるかどうかは判らないが。
そうして煉瓦とサユリを乗せた荷車を運び、壱たちはやや息を切らしながら田んぼ予定地に辿り着く。
煉瓦はまだあるので、まだ往復しなければならない。それを思うと溜め息も吐きたくなるが、壱がそうする訳にも行かない。どうにか息を整えながら言う。
「お疲れ様でした。下ろして、残りの煉瓦を取りに行きましょう」
多分後1往復で行ける筈だ。みんなの疲労を思うと申し訳無いが、ここは頑張って頂こう。
「大丈夫ですよー。僕たち体力が自慢ですからねー」
ナイルが平気そうな表情で言うと、ガイたちも頷いた。何と頼もしい事か。
手際良く煉瓦を下ろして行く。
「では、少し休憩したら行きましょう」
壱が言うと、ジェンが荷車を引く体制になって言った。
「俺ら大丈夫っすよ。行きながら適当に息抜きするっす」
ガイも荷車を上げて、笑みを浮かべた。
みんな頼もし過ぎる。このままでは壱が付いて行けるかどうか。今まででさえ怪しいと言うのに。
壱は息を整え、みんなと陶芸工房に向かった。
さて、全ての煉瓦を運び終えた。予想通り残りは1往復で済み、量も少なめだった。それでも充分重くはあったのだが。
「では、煉瓦を積んで行きましょう。俺やった事無いので、教えて貰えたら助かります」
「はい。ではまず、煉瓦を積む位置に溝を掘りましょう」
「溝?」
壱が首を傾げると、ガイは頷く。
「こうした土の上に煉瓦を積む場合、溝を掘ってそこに積んで行くんです。田んぼの周りに、そうですね、今回の場合は5センチで大丈夫でしょうか」
「浅めで行くんすね」
「そうですね。路盤材無しで行こうと思ってます」
「あーなるほどねー、今回はそれが良いかもー」
ガイは勿論、ジェンもナイルも解っている様で、頷いているリオンも同様の様だ。壱はおろおろとみんなの顔を見渡すしか無い。
「あ、そんな難しい事は無いんですよ。ここをですね」
ガイがスコップを手に穴に降りると、縁に向かう。
「穴に土を落としても大丈夫ですか?」
「あ、はい、大丈夫です」
この後、掘り起こした土を入れるのだ。問題は無かった。
「ここを、こうして」
ガイが縁にスコップを入れ、煉瓦のサイズに合う幅に溝を掘って行く。
「掘ったところを固めて行きます」
続けてスコップの背で叩いて行く。
「それを全辺?」
「はい。全辺です」
また掘って固めるのか。壱がややうんざりした様な表情になってしまうと、ガイは明るく笑って言った。
「大丈夫ですよ。この人数でやればすぐに終わります。さて、始めますか」
「おいっす!」
「はーい」
ガイが言うと、ジェンもナイルもリオンも、シャベルを手に穴に降りた。壱も慌ててシャベルを取りに行く。
そしてガイに習い、溝を掘り始めた。
到着すると、壱は工房の中に声を掛けた。
「こんにちはー、壱です。また煉瓦持って行きますねー」
すると中から「はいよー」と返事が返って来る。
壱たちは工房の裏に回り、積まれてある煉瓦を荷車に乗せて行った。サユリは荷車から降りて、その作業を眺めている。
2台分山積みにすると、ガイが引く荷車には壱とジェンが後ろに付き、ナイルが引く荷車にはリオンが着いた。
かなりの重量がある荷車を、全員で協力して引いて、そして押して行く。サユリはガイたちが引く煉瓦の上に乗り、しれっとした表情。
重いよサユリ! サユリは小さいから、降りてくれたところで然程重量は変わらないとは思うが、何だこの微かに忌々しい気持ちは。
いやしかし、サユリは大事にしなくてはならない存在な筈。何せ本当の村長なのだ。
テーブルに乗ったりそこから降りたり、それを軽やかに行っているものだから元気なのだと思っていたのだが、実は違うのだろうか。
壱はさり気なく聞いてみた。
「サユリ、何でそこに乗ってるの?」
すると。
「自分の足で歩くより楽だからカピ」
そんな理由か! 壱は大いに突っ込む。予感が無かった訳じゃ無いけど!
しかし、サユリはそれで良いのかも知れない。表向きは食堂の、引いてはこの村のマスコットキャラクタである。
ガイたちも嫌な顔ひとつせず、サユリの行動を受け入れている。内心は判らないが、恐らく黒いものなどほぼ無いだろう。
短期間ではあるが、壱が見てきたガイたちの印象だ。自分の眼力がどれだけ当てになるかどうかは判らないが。
そうして煉瓦とサユリを乗せた荷車を運び、壱たちはやや息を切らしながら田んぼ予定地に辿り着く。
煉瓦はまだあるので、まだ往復しなければならない。それを思うと溜め息も吐きたくなるが、壱がそうする訳にも行かない。どうにか息を整えながら言う。
「お疲れ様でした。下ろして、残りの煉瓦を取りに行きましょう」
多分後1往復で行ける筈だ。みんなの疲労を思うと申し訳無いが、ここは頑張って頂こう。
「大丈夫ですよー。僕たち体力が自慢ですからねー」
ナイルが平気そうな表情で言うと、ガイたちも頷いた。何と頼もしい事か。
手際良く煉瓦を下ろして行く。
「では、少し休憩したら行きましょう」
壱が言うと、ジェンが荷車を引く体制になって言った。
「俺ら大丈夫っすよ。行きながら適当に息抜きするっす」
ガイも荷車を上げて、笑みを浮かべた。
みんな頼もし過ぎる。このままでは壱が付いて行けるかどうか。今まででさえ怪しいと言うのに。
壱は息を整え、みんなと陶芸工房に向かった。
さて、全ての煉瓦を運び終えた。予想通り残りは1往復で済み、量も少なめだった。それでも充分重くはあったのだが。
「では、煉瓦を積んで行きましょう。俺やった事無いので、教えて貰えたら助かります」
「はい。ではまず、煉瓦を積む位置に溝を掘りましょう」
「溝?」
壱が首を傾げると、ガイは頷く。
「こうした土の上に煉瓦を積む場合、溝を掘ってそこに積んで行くんです。田んぼの周りに、そうですね、今回の場合は5センチで大丈夫でしょうか」
「浅めで行くんすね」
「そうですね。路盤材無しで行こうと思ってます」
「あーなるほどねー、今回はそれが良いかもー」
ガイは勿論、ジェンもナイルも解っている様で、頷いているリオンも同様の様だ。壱はおろおろとみんなの顔を見渡すしか無い。
「あ、そんな難しい事は無いんですよ。ここをですね」
ガイがスコップを手に穴に降りると、縁に向かう。
「穴に土を落としても大丈夫ですか?」
「あ、はい、大丈夫です」
この後、掘り起こした土を入れるのだ。問題は無かった。
「ここを、こうして」
ガイが縁にスコップを入れ、煉瓦のサイズに合う幅に溝を掘って行く。
「掘ったところを固めて行きます」
続けてスコップの背で叩いて行く。
「それを全辺?」
「はい。全辺です」
また掘って固めるのか。壱がややうんざりした様な表情になってしまうと、ガイは明るく笑って言った。
「大丈夫ですよ。この人数でやればすぐに終わります。さて、始めますか」
「おいっす!」
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ガイが言うと、ジェンもナイルもリオンも、シャベルを手に穴に降りた。壱も慌ててシャベルを取りに行く。
そしてガイに習い、溝を掘り始めた。
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