異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

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#85 お米の育て方(その1、種籾の準備)

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 食堂の裏庭に到着し、荷車を下ろす。

「お疲れ様でした。ちょっと待っててくださいね」

 壱は言い置くと、裏のドアから食堂に入り、厨房に声を掛けた。まだ仕込み中である。

「じいちゃん、田んぼ作り、煉瓦れんが積みまで終わったから。これから種籾たねもみの準備するよ」

「そうかそうか、お疲れじゃのう」

「種籾終わったら、田んぼの今日の作業は終わりだから、ここ入るね」

「いやいや壱よ、今日は食堂の仕事は良いぞい。1日田んぼで疲れておるじゃろう。終わったらゆっくりご飯食べての、ゆっくり風呂入っての、早く寝るんじゃぞ。明日も田んぼをお願いするからの。体力回復させての」

「いや、でもここ忙しいのに」

「だーいじょうぶだって、イチ! 俺らは休憩もあったけど、イチはずっと働いてたんだろ? 今日はゆっくりしろって。こっちは大丈夫だからさ!」

 カリルが言い、サントもうなずいてくれる。田んぼ作りの時にも感じたが、村人の優しさが凄い。やはりここでも我を張ってはいられない。

「ありがとう。じゃあ今日はゆっくりさせてもらうよ。後で晩ご飯食べに来るね」

「そうじゃそうじゃ。そうしてくれの」

 茂造は微笑み、幾度いくどと頷く。壱はみんなに甘える事にする。

「じゃ、また後で。米の種籾とか取りに来たんだ」

「ほいほい、待っておるの」

 壱は厨房を離れると2階に上がり、食堂の棚に大切に置いておいた種籾と巾着きんちゃくタイプの布袋を取り、下に降りて裏庭に戻った。

 次に大きめの石を持ち上げる。予想はしていたが結構重いので、荷台に乗せた。

「では、川に行きます。そこで種籾の準備をします」

 荷車を引いた壱を先頭に、一同は動く。サユリは当然の様に荷車の上に。

 ガイが荷車引きを申し出てくれたが、煉瓦運びで散々お願いしたので、今回は自分で。

 川までは間も無くだ。壱は石を川べりに置いた。

「お待たせしました。ええと、見てください。これが種籾、米の種です」

 壱は袋から種籾をてのひらに少量出し、みんなに見せる。ガイたちは興味深げに顔をのぞかせた。

「ほう、これが米の種……麦と似ていますね」

 ガイの反応に壱は頷く。

「同じ穀物ですしね。米の種と言いますけど、食べるのもこの部分なんです。それも麦と似てるかもですね。ただ育て方なんかは違うと思います。まず、これを布袋に入れますね」

 言葉の通りに入れて行く。そしてひもを引いて口を閉じ、紐の輪の部分を先ほど置いた石に引っ掛け、袋の部分を川に入れた。袋が穏やかな川の流れに合わせてゆるゆると揺れる。

「流水に晒して、このまま1週間程待ちます」

「いっしゅうかんー!」

 壱の台詞にナイルが声を上げ、ガイとリオンは眼を見開く。

「マジっすか! すげー!」

 ジェンも叫ぶ様に言った。

「本当にすいません! だから本当なら煉瓦を作る前に仕掛けておかなきゃならなかったんです! でもうっかりしてて!」

 壱が慌てて頭を下げると、ガイが焦って言った。

「いえ、いえイチさん、育て方に吃驚びっくりしただけです。こうしていちから育成に携われるのですから嬉しいですよ。今はこうしてイチさんに教えてもらえてますけど、次の田んぼからは俺たちだけでやるんですからね。今のうちにしっかり覚えておかないと」

「そうですねー、本当にそうなんですよねー」

 ナイルが腕を組んで幾度と頷く。

「今でこそ、イチさんの指示で僕ら動いてますけど、今の田んぼがひと段落したら僕らにお任せでしょー? そうなると戸惑う事も多いんじゃ無いかなーって。いくらガイがしっかりしていてもねー」

「え、どうしてそこで俺が出て来るんです?」

 ナイルの台詞にガイが首を傾げた。
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