異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

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#07 魔法でお米を育てましょ。その3

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 食堂の裏に回ると、整備された庭が広がっていた。奥に木製の#柵#さく__#が建てられているので、そこまでが食堂の裏庭という事なのだろう。

「本来なら専用の#苗箱#なえばこ__#がいるカピが、無いので代わりに植木鉢を使うカピ。1粒1粒離して#丁寧#ていねい__#に蒔くカピ」

 サユリの指示に従って、壱と茂造は食堂に沿って伏せられていた、茶色い陶器の植木鉢に畑から貰って来た土を入れ、等間隔に種を#蒔#ま__#いて行く。

 たくさんある植木鉢の大きさは様々で、植えられる種の数も違う。何個の植木鉢が#要#い__#るか判らない。壱と茂造は大きな植木鉢を選び、ひとつの鉢が終われば次の鉢に土を入れ、を繰り返した。

「蒔けたカピね。じゃあしっかり水をやるカピ。土を乾かしたら駄目カピよ。と言っても我の時間魔法を使うカピが」

 庭の端の水道から、銅製のじょうろに水を入れ、植木鉢の下から染み出すまで撒いて行った。

「うむ。なら育てるカピ」

 サユリが右足を上げて回すと、植木鉢の土から青い芽が出て来た。それはしっかりと眼に見える速さで育ち、あっと言う間に20センチほどの高さになった。

「さて、植え替えるカピ。と言っても田んぼは無いので、また植木鉢を使うカピよ。今回は水が抜けない様にするカピ。底の穴をきちんと#塞#ふさ__#ぐカピ」

 壱と茂造は出た苗を抜き、土も出して植木鉢を空ける。そのまま底に大きめの石を置いて穴を塞ぎ、出したばかりの土と水を同時に入れて泥を作って行く。それを#繰#く__#り返した。

「田んぼってこんな感じかな」

「そうじゃな。水がかなり多めの泥ってところかの」

「出来たカピね。では苗を植えて行くなり。今度は時間魔法を使っても少し時間が掛かるカピ。何せ普通に育てると4ヶ月以上は掛かるカピね」

 壱は簡易田んぼに、テレビでの見よう#見真似#みまね__#で苗を植え付けて行く。茂造も壱を手本に#黙々#もくもく__#と手を動かす。

 種もみは1粒ずつ植えるのだが、苗は5本程を纏めて植えるので、合計20束程度。慣れて来るとスムーズに行き、あまり時間は掛からずに済んだ。

「こんなところかな?」

「うむ。上出来だと思うがの」

「では、育てるカピ」

 またサユリが右前足を回す。すると種もみが苗になった時よりも速く育って行った。

「おお、凄い!」

「凄いのう!」

 壱と茂造が歓声を上げる。苗はまだまだぐんぐんと伸び、#分蘖#ぶんけつ__#で太くなり、実り始まり、穂がなり、重みを持ち垂れる。そこまで2分程だった。

「さ、上に浮いている水を抜くカピ。あと少しカピよ」

 底からは抜けないので、壱と茂造は植木鉢を傾けて水を抜く。

「ここからは水はやらないカピ。土を乾かして行くカピよ」

 またサユリが時間魔法を掛けると、土が乾いて色が淡くなって行く。

「出来たカピ!」

 壱や茂造が見た事がある#稲穂#いなほ__#が立派になっていた。

「本当に凄いな。本当なら種植えてからここまで半年近く掛かるんだろ? それが数十分だもんなぁ」

「もっと誉めるが良いカピ。さ、刈り取るカピ」

 茂造が#鎌#かま__#を持って来た。壱は受け取ると、#既#すで__#に刈り取り始めている茂造を見本に、慣れない手付きで刈り始める。鎌を使うのは初めてだった。

 刈り取った稲穂は一#箇所#かしょ__#に積んで行く。刈り取りもそんなに時間は掛からなかった。

「さ、乾燥させるカピ。そしたら#脱穀#だっこく__#カピ。それは道具が無いので、また我の魔法の出番カピ。#籾摺#もみす__#りも精米も、今回は我がするカピ。今度道具を開発させねばならないカピね」

 サユリが稲穂に魔法を掛けると、#僅#わず__#かに残っていた緑も茶色に乾燥される。

「さ、脱穀するカピよ。大きなボウルいくつかと、種もみを入れて来た袋を持って来るカピ」

 壱が食堂に戻り、言われたものを持って来る。

「さ、見るが良いカピ」

 サユリの魔法で、稲穂からふっくらと実った#籾#もみ__#が面白い様にするすると外れ、ボウルに入って行く。

「おおー!」

 それはなかなか壮観で、壱は声を上げた。

「ここから種もみにする分を分けておくカピ。袋に入るだけ入れておくカピ」

 言われ、壱は籾を掴み、袋に詰めた。

「こんなもんかな」

「いいカピ。じゃあ精米するカピよ! どうせなら無洗米とやらにしてやるカピ」

 サユリが魔法を掛けると、ボウルから#籾殻#もみがら__#が飛び出して来た。それらは軽いので、ふわりと宙に舞いながら、ゆっくりと地面の上に落ちて行く。それらはそのまま自然に還るだろう。

「出来たカピ!」

 壱と茂造がボウルを覗き込むと、そこにはつやつやと白く輝く米が出来上がっていた。
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