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#43 朝食で贅沢なお味噌汁を。その1
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翌朝、壱は予定の起床時間より1時間早く起きた。朝食の準備の為だ。
一昨日は熱を出してしまった訳だが、完治した昨日の朝食は茂造が用意してくれた。オーソドックスにパンとベーコンエッグ、サラダだった。パンは前夜営業の仕込みの際に、サントが焼いてくれたものだ。
それはそれで嬉しい朝食であるのだが、良く良く考えれば、昼と晩は食堂の賄いなのだから、朝しか味噌を食べられる機会は無いのである。これは一大事。
勿論昨日の様におやつ代わりに、きゅうりなどで食べても良い。だが壱は味噌汁が飲みたかった。
出汁に使うのは、昨日カルパッチョに使った魚の粗である。鮭に鮪、鰤に鯛とあったが、数種類使ったらどうなるか未知だったので、悩んだ末に鯛だけを使う事にする。
厨房の冷蔵庫から鯛の粗、味噌が入った木桶を出すと、2階に上がりキッチンへ。
スプーンを取り出すと、まずは鯛の頭や骨の周りに残っている身を丁寧に刮ぎ取ってて行く。
数尾分あったので、充分な量になった。
それを包丁で叩いてミンチ状にすると、ボウルに入れる。
そして骨や皮だけになった粗に塩を振る。臭み抜きその1。
次に玉ねぎを微塵切りにし、鯛ミンチのボウルに入れ、良く捏ねる。繋ぎは小麦粉で。
出来た種を団子にして、沸かした湯で茹でて行く。数分が経ち、出来た鯛団子はザルに丘上げする。
塩を振った鯛の粗を見てみると、表面に水分が滲み出ている。臭みが抜けている証拠である。それを水で洗い流し、団子を茹でた湯で霜降りして、また流水で洗う。血合いなどがあればその時に取る。臭み抜きその2。
そうして出来る限り臭みの元を取り除いて行く。
そうした丁寧な下処理をした鯛の粗を、沸いた湯の鍋に入れる。そこに先程作った鯛団子も入れ、中弱火にしてことことと煮て行く。
その間に米を炊く。サユリと茂造と共に育てた魚沼産コシヒカリの無洗米。吸水は鯛の下処理をする前からしているので、時間的に充分だ。そろそろ米も残り少なくなっている。出来るならまた育てたいものなのだが。
そして洗い物も済ませてしまう。
さて、鯛の出汁がたっぷりと出ている筈の鍋の味を見る。……素晴らしい! 壱は静かに歓喜する。そこに味噌を溶かす。粗は味出しの為にギリギリまで入れておきたい。骨からも出汁が出るのだ。
さて、ご飯と味噌汁だけではやや寂しいか? そう思った壱はまた厨房に降り、冷蔵庫から卵を持って来る。
ボウルに割り入れてフォークで解すと、塩で軽く味付け。砂糖を使う甘いものもあるが、壱は塩味が好きだった。サユリや茂造の好みであると良いのだが。
卵焼きを作るのである。四角いフライパンは無いので、丸いフライパンで焼いて行く。端がどうしても薄くなるが、それは仕方が無い。
卵液を薄焼き卵を焼く様にフライパンに流して、フライ返しで巻いて行く。それを繰り返し、しっとりと出来上がる卵焼き。まな板に上げて、切り易くする為に少し置く。
その頃に、茂造が起きて来た。
「おや? 壱、もう起きておったのか。おはよう。良い匂いじゃのう」
「あ、おはようじいちゃん。今朝のご飯は和食だよ。味噌汁作ってみた」
「何と!」
茂造は驚きに眼を見開くと、次にはその眼をじっくりと細めた。
「それは嬉しいのう。また味噌汁が飲めるなんてのう」
「顔洗って歯磨いて来なよ、もう出来るからさ。あ、サユリも起こした方が良いのかな」
「うんうん、儂が行って来るからの。壱の部屋じゃの」
「うん」
茂造が洗面所に向かうと、最後の仕上げに入る。卵焼きを切り、味噌汁から鯛の粗を取り除く。ご飯も炊き上がったので、蓋を開けて解し、また蓋をして蒸らす。
ややあって、支度が整った茂造が戻って来る。足元にはサユリ。
「楽しみじゃのう。嬉しいのう。手伝いはあるかの?」
「いや、大丈夫。座ってて」
そうしてダイニングテーブルに着いた茂造に、まずは皿に乗せた卵焼きを出す。
「おお、卵焼き。これは作るの難しいのでは無いのか?」
「そうでも無いよ。フライ返し使えば大丈夫。味付けは塩だけなんだ。じいちゃんとサユリの口に合うと良いけど」
「うんうん、儂は塩味の卵焼きが好きじゃ」
「我は初めて食べるカピ」
「良かった。じゃあサユリは味見してみてよ。今度砂糖のも作ってみるかな。こっちは焦げやすくてちょっと難しいんだけど」
次は味噌汁をよそう。鯛の出汁がたっぷり出た、鯛団子入りの味噌汁だ。本当は仕上げにネギを乗せたいところだが、無いので仕方が無い。そのまま出す。
「おお、味噌汁じゃ! 嬉しいのう。良い匂いじゃのう」
「ふむ、これはなかなか」
茂造の分はスープボウルに、サユリの分はサラダボウルに入れて出している。器から沸き上がる湯気に鼻を寄せて、その香りを楽しむサユリと茂造。
「で、米、と」
これも味噌汁と同じ器にそれぞれよそう。サユリと茂造が食べやすい様に。勿論自分の分も用意する。
ご飯、卵焼き、味噌汁と出揃い、壱もダイニングに掛けた。
一昨日は熱を出してしまった訳だが、完治した昨日の朝食は茂造が用意してくれた。オーソドックスにパンとベーコンエッグ、サラダだった。パンは前夜営業の仕込みの際に、サントが焼いてくれたものだ。
それはそれで嬉しい朝食であるのだが、良く良く考えれば、昼と晩は食堂の賄いなのだから、朝しか味噌を食べられる機会は無いのである。これは一大事。
勿論昨日の様におやつ代わりに、きゅうりなどで食べても良い。だが壱は味噌汁が飲みたかった。
出汁に使うのは、昨日カルパッチョに使った魚の粗である。鮭に鮪、鰤に鯛とあったが、数種類使ったらどうなるか未知だったので、悩んだ末に鯛だけを使う事にする。
厨房の冷蔵庫から鯛の粗、味噌が入った木桶を出すと、2階に上がりキッチンへ。
スプーンを取り出すと、まずは鯛の頭や骨の周りに残っている身を丁寧に刮ぎ取ってて行く。
数尾分あったので、充分な量になった。
それを包丁で叩いてミンチ状にすると、ボウルに入れる。
そして骨や皮だけになった粗に塩を振る。臭み抜きその1。
次に玉ねぎを微塵切りにし、鯛ミンチのボウルに入れ、良く捏ねる。繋ぎは小麦粉で。
出来た種を団子にして、沸かした湯で茹でて行く。数分が経ち、出来た鯛団子はザルに丘上げする。
塩を振った鯛の粗を見てみると、表面に水分が滲み出ている。臭みが抜けている証拠である。それを水で洗い流し、団子を茹でた湯で霜降りして、また流水で洗う。血合いなどがあればその時に取る。臭み抜きその2。
そうして出来る限り臭みの元を取り除いて行く。
そうした丁寧な下処理をした鯛の粗を、沸いた湯の鍋に入れる。そこに先程作った鯛団子も入れ、中弱火にしてことことと煮て行く。
その間に米を炊く。サユリと茂造と共に育てた魚沼産コシヒカリの無洗米。吸水は鯛の下処理をする前からしているので、時間的に充分だ。そろそろ米も残り少なくなっている。出来るならまた育てたいものなのだが。
そして洗い物も済ませてしまう。
さて、鯛の出汁がたっぷりと出ている筈の鍋の味を見る。……素晴らしい! 壱は静かに歓喜する。そこに味噌を溶かす。粗は味出しの為にギリギリまで入れておきたい。骨からも出汁が出るのだ。
さて、ご飯と味噌汁だけではやや寂しいか? そう思った壱はまた厨房に降り、冷蔵庫から卵を持って来る。
ボウルに割り入れてフォークで解すと、塩で軽く味付け。砂糖を使う甘いものもあるが、壱は塩味が好きだった。サユリや茂造の好みであると良いのだが。
卵焼きを作るのである。四角いフライパンは無いので、丸いフライパンで焼いて行く。端がどうしても薄くなるが、それは仕方が無い。
卵液を薄焼き卵を焼く様にフライパンに流して、フライ返しで巻いて行く。それを繰り返し、しっとりと出来上がる卵焼き。まな板に上げて、切り易くする為に少し置く。
その頃に、茂造が起きて来た。
「おや? 壱、もう起きておったのか。おはよう。良い匂いじゃのう」
「あ、おはようじいちゃん。今朝のご飯は和食だよ。味噌汁作ってみた」
「何と!」
茂造は驚きに眼を見開くと、次にはその眼をじっくりと細めた。
「それは嬉しいのう。また味噌汁が飲めるなんてのう」
「顔洗って歯磨いて来なよ、もう出来るからさ。あ、サユリも起こした方が良いのかな」
「うんうん、儂が行って来るからの。壱の部屋じゃの」
「うん」
茂造が洗面所に向かうと、最後の仕上げに入る。卵焼きを切り、味噌汁から鯛の粗を取り除く。ご飯も炊き上がったので、蓋を開けて解し、また蓋をして蒸らす。
ややあって、支度が整った茂造が戻って来る。足元にはサユリ。
「楽しみじゃのう。嬉しいのう。手伝いはあるかの?」
「いや、大丈夫。座ってて」
そうしてダイニングテーブルに着いた茂造に、まずは皿に乗せた卵焼きを出す。
「おお、卵焼き。これは作るの難しいのでは無いのか?」
「そうでも無いよ。フライ返し使えば大丈夫。味付けは塩だけなんだ。じいちゃんとサユリの口に合うと良いけど」
「うんうん、儂は塩味の卵焼きが好きじゃ」
「我は初めて食べるカピ」
「良かった。じゃあサユリは味見してみてよ。今度砂糖のも作ってみるかな。こっちは焦げやすくてちょっと難しいんだけど」
次は味噌汁をよそう。鯛の出汁がたっぷり出た、鯛団子入りの味噌汁だ。本当は仕上げにネギを乗せたいところだが、無いので仕方が無い。そのまま出す。
「おお、味噌汁じゃ! 嬉しいのう。良い匂いじゃのう」
「ふむ、これはなかなか」
茂造の分はスープボウルに、サユリの分はサラダボウルに入れて出している。器から沸き上がる湯気に鼻を寄せて、その香りを楽しむサユリと茂造。
「で、米、と」
これも味噌汁と同じ器にそれぞれよそう。サユリと茂造が食べやすい様に。勿論自分の分も用意する。
ご飯、卵焼き、味噌汁と出揃い、壱もダイニングに掛けた。
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