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#48 コンシャリド村プチツアー。その4
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「こんにちは店長さん! 何かご入用で? あ、搾りたてミルク飲みます!?」
これはまた元気な若者だ。壱は若干気圧される。
「いやいや、それはまた今度の。孫の壱に村の案内中なんじゃ」
「あ! 君がイチくん! 初めましてこんにちは! オレはカッツェ。よろしくね! あ、サユリさんも一緒だったんだね!」
「相変わらず元気だカピな」
「そうだよ! やっぱり元気じゃ無いとね! イチくん来たんだから、やっぱり搾りたてミルク飲んでってよ! 今から搾るからちょっと待っててー!」
カッツェは壱たちの返事も聞かぬまま、チーズ工房などのある建物に走って行った。桶を手にして、そのまま柵の中に。
勢いのまま1頭の牛を捕まえると、屈んで桶の中から布を出し、牛の乳房やその周辺を丁寧に拭う。次にコップを出し、その中に器用に片手でミルクを搾って行った。ひとつ終えればまたひとつ。最後のひとつはサラダボウルだった。
困った。実は壱、あまりミルクが好きでは無いのである。向こうの世界でも殆ど飲まなかったし、昨日の朝食にも出たが遠慮した。茂造は好きでも無いものを無理に勧める事はしなかったので、その場は飲まずに済んだのだが。
今はそうは行くまい。流石にこの厚意を無下には出来ない。
カッツェは満面の笑顔で、お盆代わりの桶にミルクのコップを入れて持って来た。うん、頑張ろう。壱は決意を固める。
「さあさあ、どうぞどうぞ! 搾りたて、濃くて甘くて美味しいよ! 温いけど!」
壱は恐る恐るコップに鼻を近付ける。確かに漂うのは甘い匂い。向こうの世界で、給食などで仕方無く飲んでいたものより濃い匂い。
思い切って口を付けて、コップを傾ける。南無三。しかし壱は予想外のミルクの味に、眼を見開いた。
温いので確かに飲みやすいとは言えない。しかし熱殺菌などの加工がされていないミルクは、その匂いの通りに甘くて濃く、まるであっさりとした上質のクリームの様だった。
これまで持っていたミルクの概念が覆される。一気までは出来なかったが、壱はごくごくと喉を動かした。
「旨いな!」
「そうだろそうだろ! 良かった、喜んでくれて!」
こんな事なら昨日の朝冷たいものを飲んでおけば良かったと、少し後悔する。明日の朝からは、メニューが和食であってもちゃんと飲もうと決める。
「カッツェありがとう。ごちそうさま」
「いえいえーまたいつでも飲みに来てね! 基本は売り物だけど、店長たちにだったら1日にコップ1杯までならサービスするよー!」
それは太っ腹である。
「はい、飲み終わったコップはここに入れてねー」
差し出された桶にコップを返す。サユリも飲み終わっていたので、サラダボウルも入れた。茂造もとっくに飲み終わっている。
「じゃあ行くでの。またの」
「はーい! またね!」
大きく手を振るカッツェに見送られ、壱たちは次に向かった。
「お、壱、あそこが田んぼの予定地じゃ」
茂造が指差した方を見ると、あまり大きくは無いが土地が空いている。
「また旨い米が食べたいからのう。田んぼ作りに協力しておくれの」
「それは勿論」
美味しく味噌汁を飲む為に、美味しい米は欠かせない。せっかく味噌の算段が立ったのだから、他に食べたい米料理もある。壱は力強く応えた。
さて、次の建物が見えて来る。その奥には葡萄畑が。白葡萄に赤葡萄が棚田にぶら下がって成っている。
茂造は建物に入って行く。
「ほいほい、邪魔するぞい」
「はーい、あら店長さん2度めのこんにちは!」
元気に応えたのは、ひとりの女性。作業を止められない様で、顔だけ壱たちに向ける。
「手を空けられなくてごめんなさいね! 今手が葡萄だらけなものだから!」
「いやいや、構わんぞ。孫の壱の村案内をしとるんじゃ。ここの普段の仕事を見せてくれたら良いんじゃ」
「そう言っていただけたら助かりますー! 美味しいワイン作りますから、待っててくださいねー」
女性はひたすらに手で葡萄を潰していた。これが壱も飲んだワインになるのか。
「ここでワインとエール、所謂ビールを作っておるのじゃ。外ではホップも育てておるぞ。村で飲める酒は全てここで賄っておるんじゃな」
女性を始め、全員懸命に葡萄を潰したり他の作業をしたりと、熱心に働いている。ここは邪魔をすべきでは無いだろう。
「邪魔したのう。ありがとな。じゃあ、行くかの」
外に出て、次に向かう。
また建物が見える。茂造が入って行くのに続く。
「ほいよ、邪魔するぞい」
「あああごめんなさい! 轆轤止められないので!」
女性の張りのある声が響く。
「ああ、構わんぞい。孫を案内して来ただけじゃからの。壱よ、ここで食器なんぞを作っておるんじゃ。裏に釜があるぞい。そこで焼いての」
「へぇ」
応えてくれた女性は、真剣に轆轤に向かっている。職人だな。壱は感心する。
「邪魔したの。また後での」
「はいー! また後でー!」
女性の声の響きを聴きながら、建物を後にした。
これはまた元気な若者だ。壱は若干気圧される。
「いやいや、それはまた今度の。孫の壱に村の案内中なんじゃ」
「あ! 君がイチくん! 初めましてこんにちは! オレはカッツェ。よろしくね! あ、サユリさんも一緒だったんだね!」
「相変わらず元気だカピな」
「そうだよ! やっぱり元気じゃ無いとね! イチくん来たんだから、やっぱり搾りたてミルク飲んでってよ! 今から搾るからちょっと待っててー!」
カッツェは壱たちの返事も聞かぬまま、チーズ工房などのある建物に走って行った。桶を手にして、そのまま柵の中に。
勢いのまま1頭の牛を捕まえると、屈んで桶の中から布を出し、牛の乳房やその周辺を丁寧に拭う。次にコップを出し、その中に器用に片手でミルクを搾って行った。ひとつ終えればまたひとつ。最後のひとつはサラダボウルだった。
困った。実は壱、あまりミルクが好きでは無いのである。向こうの世界でも殆ど飲まなかったし、昨日の朝食にも出たが遠慮した。茂造は好きでも無いものを無理に勧める事はしなかったので、その場は飲まずに済んだのだが。
今はそうは行くまい。流石にこの厚意を無下には出来ない。
カッツェは満面の笑顔で、お盆代わりの桶にミルクのコップを入れて持って来た。うん、頑張ろう。壱は決意を固める。
「さあさあ、どうぞどうぞ! 搾りたて、濃くて甘くて美味しいよ! 温いけど!」
壱は恐る恐るコップに鼻を近付ける。確かに漂うのは甘い匂い。向こうの世界で、給食などで仕方無く飲んでいたものより濃い匂い。
思い切って口を付けて、コップを傾ける。南無三。しかし壱は予想外のミルクの味に、眼を見開いた。
温いので確かに飲みやすいとは言えない。しかし熱殺菌などの加工がされていないミルクは、その匂いの通りに甘くて濃く、まるであっさりとした上質のクリームの様だった。
これまで持っていたミルクの概念が覆される。一気までは出来なかったが、壱はごくごくと喉を動かした。
「旨いな!」
「そうだろそうだろ! 良かった、喜んでくれて!」
こんな事なら昨日の朝冷たいものを飲んでおけば良かったと、少し後悔する。明日の朝からは、メニューが和食であってもちゃんと飲もうと決める。
「カッツェありがとう。ごちそうさま」
「いえいえーまたいつでも飲みに来てね! 基本は売り物だけど、店長たちにだったら1日にコップ1杯までならサービスするよー!」
それは太っ腹である。
「はい、飲み終わったコップはここに入れてねー」
差し出された桶にコップを返す。サユリも飲み終わっていたので、サラダボウルも入れた。茂造もとっくに飲み終わっている。
「じゃあ行くでの。またの」
「はーい! またね!」
大きく手を振るカッツェに見送られ、壱たちは次に向かった。
「お、壱、あそこが田んぼの予定地じゃ」
茂造が指差した方を見ると、あまり大きくは無いが土地が空いている。
「また旨い米が食べたいからのう。田んぼ作りに協力しておくれの」
「それは勿論」
美味しく味噌汁を飲む為に、美味しい米は欠かせない。せっかく味噌の算段が立ったのだから、他に食べたい米料理もある。壱は力強く応えた。
さて、次の建物が見えて来る。その奥には葡萄畑が。白葡萄に赤葡萄が棚田にぶら下がって成っている。
茂造は建物に入って行く。
「ほいほい、邪魔するぞい」
「はーい、あら店長さん2度めのこんにちは!」
元気に応えたのは、ひとりの女性。作業を止められない様で、顔だけ壱たちに向ける。
「手を空けられなくてごめんなさいね! 今手が葡萄だらけなものだから!」
「いやいや、構わんぞ。孫の壱の村案内をしとるんじゃ。ここの普段の仕事を見せてくれたら良いんじゃ」
「そう言っていただけたら助かりますー! 美味しいワイン作りますから、待っててくださいねー」
女性はひたすらに手で葡萄を潰していた。これが壱も飲んだワインになるのか。
「ここでワインとエール、所謂ビールを作っておるのじゃ。外ではホップも育てておるぞ。村で飲める酒は全てここで賄っておるんじゃな」
女性を始め、全員懸命に葡萄を潰したり他の作業をしたりと、熱心に働いている。ここは邪魔をすべきでは無いだろう。
「邪魔したのう。ありがとな。じゃあ、行くかの」
外に出て、次に向かう。
また建物が見える。茂造が入って行くのに続く。
「ほいよ、邪魔するぞい」
「あああごめんなさい! 轆轤止められないので!」
女性の張りのある声が響く。
「ああ、構わんぞい。孫を案内して来ただけじゃからの。壱よ、ここで食器なんぞを作っておるんじゃ。裏に釜があるぞい。そこで焼いての」
「へぇ」
応えてくれた女性は、真剣に轆轤に向かっている。職人だな。壱は感心する。
「邪魔したの。また後での」
「はいー! また後でー!」
女性の声の響きを聴きながら、建物を後にした。
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