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#59 生レバ刺しとユッケを堪能。その1
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★タイトルの通り、生レバ刺しとユッケが出てきますが、日本では許可が無いお店以外での生食は禁止されています。食べない様にしましょう。
さて、夜営業の仕込みを始める。カリルとサントは銭湯からまだ戻って来ていないが、まずは壱と茂造で出来る部分から始める。
壱はまずコンソメを漉し、次にはひたすらに野菜の皮を剥いて切って行く。茂造はポトフを仕掛け、その後は肉料理の下拵えである。野菜が終わった壱は、トマトミートソース用の肉を叩く。
「なぁ、じいちゃん」
「ん?」
姿のままの鶏肉を捌く茂造に声を掛ける。
「この世界って、魚は生ばっかりで食べるのに、牛とかは生で食べないのか? サユリのお陰で食中毒も無いんだろ?」
先日気になった事を聞いてみる。
「魚も火を通して食べる事もあるぞい。ただこの食堂ではそこまで追い付かないでのう。まぁ新鮮じゃからの、生のままの方が良いという声が多いんじゃ。牛肉じゃが、儂は食べておるぞ」
「そうなの!?」
とりあえず壱がこの世界に来てから、そんな茂造は見た事が無い。
「屠殺した日限定でたまに食べておるんじゃ。レバだけじゃがの。この世界の人らは生で食べる習慣は無いのう。どうも生臭いと思うみたいでのう。じゃから、儂ひとりで食べておる」
「え、いいなぁ! 日本では牛の生食禁止になったんだよ。だから生レバもユッケも年単位で食べて無い。いいなぁ!」
「そうなのかの? それは何かあったのかの?」
「食中毒で死人が出て、禁止になったんだ。今は許可を貰った店が出せるだけ。じゃあこの村では安心して食べられるんだ」
「そうじゃの。うむ、確か今日明日あたり屠殺する筈じゃ。今回は食べようと思って生レバも仕入れるが、壱も食べるかの?」
「食べる食べる! 食べたい!」
壱が勢い込んで言うと、茂造は楽しそうに笑う。
「よしよし。じゃあ夜の賄いで食べるかの。村人は食べんのでな、独り占め出来るぞい」
「肉も食べたい! ユッケ食べたい!」
「おお? 作れるのかの? 何度かこちらにある調味料やハーブなんかを入れてみたが難しくての、食べられるが、ユッケにはならん。無理だと思っておったのじゃが」
「味噌がある。それと卵とかで出来ると思う。同じにはならないと思うけど、美味しく食べられると思う」
「そうかそうか、楽しみじゃ」
その時にさっぱりとした表情のカリルとサントが戻って来て、早速仕込みに加わった。
さて、壱待望の生レバは、今日入荷された。と言う事は、一緒に入荷された、と言うかメインの赤肉も新鮮だと言う事だ。両方今夜の賄いで食べられるのだ。
壱は客に出す料理を作りながら、楽しみでならなかった。口の中で溢れる涎を必死で飲み込む。
いつもより手際良く調理出来ている様な気がする。モチベーションと言うのは大事だな、としみじみ感じる。
それと同時に、自分はこんなに生肉が好きだったっけか、と思う。数年食べていないから、余計なのだろう。ほぼ日常的に食べられる様になれば、これも治まるだろう。
漸く夜営業が終わり、賄いの準備である。残りのパスタを茹でて2種類のソースと和え、肉を焼く。今夜はポトフが品切れてしまった。
壱は生レバとユッケの準備である。
まずは玉ねぎをスライスしておく。
次にユッケのタレを作る。大きめのボウルに味噌を入れ、砂糖と擦り下ろしたにんにくも加えて練る。そこにオリーブオイルと卵白を少しずつ入れて伸ばして行く。
本来なら醤油や煮切った味醂や酒、ごま油などで伸ばしたいところだが、この世界には無いのだから、代用するしか無い。
残った卵白は勿論捨てない。和えている途中のトマトミートパスタに入れた。
「味がまろやかになるかもな!」
カリルがそんな事を言ってくれながら、フライパンを揺する。
次に、牛の生肉を太めの千切りにし、タレのボウルに入れて行く。大きなスプーンを使ってしっかりと和える。
それをサラダボウルに盛り、中央に卵黄を乗せ、玉ねぎのスライスを添えて出来上がり。
次に生レバを切って行く。食べ応えがある様に厚めに。血の塊があったら取り除いて行く。
続けて血抜きをする。シンクにボウルとザルを重ねて置いて水を張り、生のレバを入れて、水は緩く出したまま。流水にして、出た臭みの元などを流して行く。
新鮮なので1分もすれば大丈夫。ザルを上げて水を切り、布で拭き取り、皿に並べて玉ねぎを添えて、完成である。
こちらは多めの塩をオリーブオイルで伸ばしたタレを付けていただく。
2品を並べ、壱は満足そうに口角を上げた。数年振りの生肉、楽しみだ。
「おー、牛の生レバか。店長がたまに食べてるけど、俺らには旨さが解らねーんだよなー。あ、1品増えてる。これは赤肉か?」
カリルが覗き込んで来る。
「そういう味覚だって聞いた。俺らの世界では、結構食べるし人気なんだよ。俺らの国では数年前から基本生食禁止になったから、俺も本当に久々でさ」
「へぇ。じゃあ良かったな!」
「うん」
出来上がった賄いの数々をフロアに運ぶ為に、マユリたちフロア係が厨房に来た。その時、マユリが調理台の生肉料理に眼を止める。
「あ、こ、これ、たまに店長さんが、食べている、牛の生のレバと、あの、もうひとつは、何ですか?」
「ユッケって言って、生の赤肉を使った料理。これは牛だけど、馬でも出来るよ」
「う、馬も、生で、食べるんですか?」
壱の応えに、マユリは眼を軽く見開く。
「俺たちの国では食べるよ。国によって食文化は様々だけど、俺たちの国では好きな人多いんじゃ無いかな」
「そ、そうなんです、ね。す、凄いです」
生肉を食べる習慣の無い者からしたらそう見えるのだろうか。不思議な感覚である。
「よし、じゃあとっとと運んじゃおう。お腹空いたなぁ」
「は、はい、私も、です」
ふたりはそれぞれ料理を持ち上げた。
さて、夜営業の仕込みを始める。カリルとサントは銭湯からまだ戻って来ていないが、まずは壱と茂造で出来る部分から始める。
壱はまずコンソメを漉し、次にはひたすらに野菜の皮を剥いて切って行く。茂造はポトフを仕掛け、その後は肉料理の下拵えである。野菜が終わった壱は、トマトミートソース用の肉を叩く。
「なぁ、じいちゃん」
「ん?」
姿のままの鶏肉を捌く茂造に声を掛ける。
「この世界って、魚は生ばっかりで食べるのに、牛とかは生で食べないのか? サユリのお陰で食中毒も無いんだろ?」
先日気になった事を聞いてみる。
「魚も火を通して食べる事もあるぞい。ただこの食堂ではそこまで追い付かないでのう。まぁ新鮮じゃからの、生のままの方が良いという声が多いんじゃ。牛肉じゃが、儂は食べておるぞ」
「そうなの!?」
とりあえず壱がこの世界に来てから、そんな茂造は見た事が無い。
「屠殺した日限定でたまに食べておるんじゃ。レバだけじゃがの。この世界の人らは生で食べる習慣は無いのう。どうも生臭いと思うみたいでのう。じゃから、儂ひとりで食べておる」
「え、いいなぁ! 日本では牛の生食禁止になったんだよ。だから生レバもユッケも年単位で食べて無い。いいなぁ!」
「そうなのかの? それは何かあったのかの?」
「食中毒で死人が出て、禁止になったんだ。今は許可を貰った店が出せるだけ。じゃあこの村では安心して食べられるんだ」
「そうじゃの。うむ、確か今日明日あたり屠殺する筈じゃ。今回は食べようと思って生レバも仕入れるが、壱も食べるかの?」
「食べる食べる! 食べたい!」
壱が勢い込んで言うと、茂造は楽しそうに笑う。
「よしよし。じゃあ夜の賄いで食べるかの。村人は食べんのでな、独り占め出来るぞい」
「肉も食べたい! ユッケ食べたい!」
「おお? 作れるのかの? 何度かこちらにある調味料やハーブなんかを入れてみたが難しくての、食べられるが、ユッケにはならん。無理だと思っておったのじゃが」
「味噌がある。それと卵とかで出来ると思う。同じにはならないと思うけど、美味しく食べられると思う」
「そうかそうか、楽しみじゃ」
その時にさっぱりとした表情のカリルとサントが戻って来て、早速仕込みに加わった。
さて、壱待望の生レバは、今日入荷された。と言う事は、一緒に入荷された、と言うかメインの赤肉も新鮮だと言う事だ。両方今夜の賄いで食べられるのだ。
壱は客に出す料理を作りながら、楽しみでならなかった。口の中で溢れる涎を必死で飲み込む。
いつもより手際良く調理出来ている様な気がする。モチベーションと言うのは大事だな、としみじみ感じる。
それと同時に、自分はこんなに生肉が好きだったっけか、と思う。数年食べていないから、余計なのだろう。ほぼ日常的に食べられる様になれば、これも治まるだろう。
漸く夜営業が終わり、賄いの準備である。残りのパスタを茹でて2種類のソースと和え、肉を焼く。今夜はポトフが品切れてしまった。
壱は生レバとユッケの準備である。
まずは玉ねぎをスライスしておく。
次にユッケのタレを作る。大きめのボウルに味噌を入れ、砂糖と擦り下ろしたにんにくも加えて練る。そこにオリーブオイルと卵白を少しずつ入れて伸ばして行く。
本来なら醤油や煮切った味醂や酒、ごま油などで伸ばしたいところだが、この世界には無いのだから、代用するしか無い。
残った卵白は勿論捨てない。和えている途中のトマトミートパスタに入れた。
「味がまろやかになるかもな!」
カリルがそんな事を言ってくれながら、フライパンを揺する。
次に、牛の生肉を太めの千切りにし、タレのボウルに入れて行く。大きなスプーンを使ってしっかりと和える。
それをサラダボウルに盛り、中央に卵黄を乗せ、玉ねぎのスライスを添えて出来上がり。
次に生レバを切って行く。食べ応えがある様に厚めに。血の塊があったら取り除いて行く。
続けて血抜きをする。シンクにボウルとザルを重ねて置いて水を張り、生のレバを入れて、水は緩く出したまま。流水にして、出た臭みの元などを流して行く。
新鮮なので1分もすれば大丈夫。ザルを上げて水を切り、布で拭き取り、皿に並べて玉ねぎを添えて、完成である。
こちらは多めの塩をオリーブオイルで伸ばしたタレを付けていただく。
2品を並べ、壱は満足そうに口角を上げた。数年振りの生肉、楽しみだ。
「おー、牛の生レバか。店長がたまに食べてるけど、俺らには旨さが解らねーんだよなー。あ、1品増えてる。これは赤肉か?」
カリルが覗き込んで来る。
「そういう味覚だって聞いた。俺らの世界では、結構食べるし人気なんだよ。俺らの国では数年前から基本生食禁止になったから、俺も本当に久々でさ」
「へぇ。じゃあ良かったな!」
「うん」
出来上がった賄いの数々をフロアに運ぶ為に、マユリたちフロア係が厨房に来た。その時、マユリが調理台の生肉料理に眼を止める。
「あ、こ、これ、たまに店長さんが、食べている、牛の生のレバと、あの、もうひとつは、何ですか?」
「ユッケって言って、生の赤肉を使った料理。これは牛だけど、馬でも出来るよ」
「う、馬も、生で、食べるんですか?」
壱の応えに、マユリは眼を軽く見開く。
「俺たちの国では食べるよ。国によって食文化は様々だけど、俺たちの国では好きな人多いんじゃ無いかな」
「そ、そうなんです、ね。す、凄いです」
生肉を食べる習慣の無い者からしたらそう見えるのだろうか。不思議な感覚である。
「よし、じゃあとっとと運んじゃおう。お腹空いたなぁ」
「は、はい、私も、です」
ふたりはそれぞれ料理を持ち上げた。
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