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#60 生レバ刺しとユッケを堪能。その2
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★タイトルの通り、生レバ刺しとユッケが出てきますが、日本では許可が無いお店以外での生食は禁止されています。食べない様にしましょう。
フロアのテーブルに従業員全員が着き、早速食べ始める。
壱は勿論生肉料理から。どちらから食べようか。少し悩んだ末、生レバから。フォークなので滑ってしまって食べにくいが、どうにか突き刺してオリーブオイル塩を付ける。
待ち望んだ生レバ刺しを口に運ぶ。うん、ねっとりとして濃厚な味。臭みも無く、甘い。新鮮だからか爽やかさも感じる。
ぷりぷりとした食感も懐かしい。加熱レバも好きで食べていたが、余程巧く調理しないとぱさついてしまうそれと違って、とろりとしている。
元の世界では塩とごま油で食べていたが、オリーブオイルも悪く無い。生レバそのものの旨味が強調されている様な気がする。
「じいちゃん、旨い!」
「そうかそうか。良かったのう」
咀嚼しながら、すっかりと頬が緩んでしまっているに違いない。味噌を作った時も勿論嬉しくて堪らなかったが、何せ生肉は数年振りなのだ。
さて、次はユッケである。卵の黄身を割り、玉ねぎのスライスともに良く混ぜ合わせて行く。
こちらもフォークで食べるが、生レバよりは掬い易かった。早速口に入れる。
我ながら味付け素晴らしい! 醤油代わりの味噌だったが、牛肉のコクが深まっているのでは無いだろうか。それを卵の黄身がまろやかにさせている。
赤身の旨味と甘味もしっかりと伝わって来る。食べ応えも抜群。生だからこその弾力と滑らかさ。
「じいちゃん、どうかな。ちゃんとユッケになってるかな」
壱自身は満足したが、だからこそ茂造の反応が気になる。
「うんうん、旨いのう。もう10年も食べておらんでの、正直味は忘れてしまっておるんじゃが、このタレはとても牛肉に合っていて良いのう」
「あー良かった。ユッケのタレとか作るの初めてだったから、やっぱり不安だったんだ」
壱は茂造の言葉に安堵した。
「生の肉に生の卵……凄げーな異世界」
カリルがやや頬を強張らせ、生レバ刺しとユッケを堪能している壱と茂造を見る。それは他の従業員も同じだった。
「あ、ごめん、気持ち悪いか?」
「違うよー、ただ吃驚してるだけ! ボクたちお肉も卵も生で食べないもん」
「ああ」
メリアンの台詞に壱は頷く。新鮮な生の肉が生臭いと言うのだったら、卵は尚更だろう。
「少ぉし興味が無い訳じゃないけどぉ、やっぱりちょっと勇気が要るわねぇ」
マーガレットもそう言って、艶っぽく唇を尖らせた。
日本で生卵が食べられる理由は、卵農家が殻を綺麗に洗っているからである。
この村では普段洗っていないと言うので、サユリの加護があるにしても少し抵抗があったので、使う前に洗っていた。
牛の生肉の食中毒の主な原因はO-157であるが、こればかりはサユリの加護に頼るしか無い。
ちなみに壱はこれまでこれが原因の食中毒になった事は無い。ついでに言うと生牡蠣でも無い。幸いである。
「無理して食べる事無いと思うよ。でもローストビーフならどうかなあ。あれは生っぽいけど、ちゃんと火は通ってるから。あ、駄目かな、こっちはステーキもウェルダンだもんなぁ」
「う、ウェルダン、です、か?」
マユリが首を傾げる。
「あ、俺らの世界ではステーキにも焼き方があってさ」
壱はレア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダンの違いを説明する。ウェルダンは中までしっかりと火を通す焼き方だ。壱の好みはミディアムレアである。
「あ、あの、生肉は、あの無理かもですが、あの、ミディアムとか、す、少し食べてみたい、です」
「はいはい! オレも食ってみたい!」
マユリが言うと、カリルも調理人の好奇心からか、元気良く手を上げた。
「ふむ、それなら我も少し食べてみたいカピ」
サユリの味覚もこの世界のものなので、生肉は食べていないのだ。
「うん、じゃあ明日の夜の賄いに、ステーキ肉があったら作ってみようか」
壱が言うと、マユリとカリルが破顔した。
「あ、ありがとう、ございます」
「楽しみだなー!」
サントも興味深げに壱を見つめるので、小さく頷き返すと、嬉しそうに少し口角を上げた。
明日の夜の賄いは決まったな。その前に明日の朝食だ。増やしてもらえる事になった米は是非とも食べたい。
壱は生肉最後の一口、ユッケを口に放り込んだ。
フロアのテーブルに従業員全員が着き、早速食べ始める。
壱は勿論生肉料理から。どちらから食べようか。少し悩んだ末、生レバから。フォークなので滑ってしまって食べにくいが、どうにか突き刺してオリーブオイル塩を付ける。
待ち望んだ生レバ刺しを口に運ぶ。うん、ねっとりとして濃厚な味。臭みも無く、甘い。新鮮だからか爽やかさも感じる。
ぷりぷりとした食感も懐かしい。加熱レバも好きで食べていたが、余程巧く調理しないとぱさついてしまうそれと違って、とろりとしている。
元の世界では塩とごま油で食べていたが、オリーブオイルも悪く無い。生レバそのものの旨味が強調されている様な気がする。
「じいちゃん、旨い!」
「そうかそうか。良かったのう」
咀嚼しながら、すっかりと頬が緩んでしまっているに違いない。味噌を作った時も勿論嬉しくて堪らなかったが、何せ生肉は数年振りなのだ。
さて、次はユッケである。卵の黄身を割り、玉ねぎのスライスともに良く混ぜ合わせて行く。
こちらもフォークで食べるが、生レバよりは掬い易かった。早速口に入れる。
我ながら味付け素晴らしい! 醤油代わりの味噌だったが、牛肉のコクが深まっているのでは無いだろうか。それを卵の黄身がまろやかにさせている。
赤身の旨味と甘味もしっかりと伝わって来る。食べ応えも抜群。生だからこその弾力と滑らかさ。
「じいちゃん、どうかな。ちゃんとユッケになってるかな」
壱自身は満足したが、だからこそ茂造の反応が気になる。
「うんうん、旨いのう。もう10年も食べておらんでの、正直味は忘れてしまっておるんじゃが、このタレはとても牛肉に合っていて良いのう」
「あー良かった。ユッケのタレとか作るの初めてだったから、やっぱり不安だったんだ」
壱は茂造の言葉に安堵した。
「生の肉に生の卵……凄げーな異世界」
カリルがやや頬を強張らせ、生レバ刺しとユッケを堪能している壱と茂造を見る。それは他の従業員も同じだった。
「あ、ごめん、気持ち悪いか?」
「違うよー、ただ吃驚してるだけ! ボクたちお肉も卵も生で食べないもん」
「ああ」
メリアンの台詞に壱は頷く。新鮮な生の肉が生臭いと言うのだったら、卵は尚更だろう。
「少ぉし興味が無い訳じゃないけどぉ、やっぱりちょっと勇気が要るわねぇ」
マーガレットもそう言って、艶っぽく唇を尖らせた。
日本で生卵が食べられる理由は、卵農家が殻を綺麗に洗っているからである。
この村では普段洗っていないと言うので、サユリの加護があるにしても少し抵抗があったので、使う前に洗っていた。
牛の生肉の食中毒の主な原因はO-157であるが、こればかりはサユリの加護に頼るしか無い。
ちなみに壱はこれまでこれが原因の食中毒になった事は無い。ついでに言うと生牡蠣でも無い。幸いである。
「無理して食べる事無いと思うよ。でもローストビーフならどうかなあ。あれは生っぽいけど、ちゃんと火は通ってるから。あ、駄目かな、こっちはステーキもウェルダンだもんなぁ」
「う、ウェルダン、です、か?」
マユリが首を傾げる。
「あ、俺らの世界ではステーキにも焼き方があってさ」
壱はレア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダンの違いを説明する。ウェルダンは中までしっかりと火を通す焼き方だ。壱の好みはミディアムレアである。
「あ、あの、生肉は、あの無理かもですが、あの、ミディアムとか、す、少し食べてみたい、です」
「はいはい! オレも食ってみたい!」
マユリが言うと、カリルも調理人の好奇心からか、元気良く手を上げた。
「ふむ、それなら我も少し食べてみたいカピ」
サユリの味覚もこの世界のものなので、生肉は食べていないのだ。
「うん、じゃあ明日の夜の賄いに、ステーキ肉があったら作ってみようか」
壱が言うと、マユリとカリルが破顔した。
「あ、ありがとう、ございます」
「楽しみだなー!」
サントも興味深げに壱を見つめるので、小さく頷き返すと、嬉しそうに少し口角を上げた。
明日の夜の賄いは決まったな。その前に明日の朝食だ。増やしてもらえる事になった米は是非とも食べたい。
壱は生肉最後の一口、ユッケを口に放り込んだ。
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