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#63 バジルソースの作り方
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朝食に使った鍋や食器などを洗っている時、茂造が、あ、と口を開いた。
「壱に村を案内した時に、時間が無くての、村の中だけにしたんじゃが、外の漁師小屋と養蜂場とオリーブ畑を案内出来んかったんじゃ。そこには米農家募集のチラシを配れておらんでのう。儂もうっかり忘れておったのう」
と言う事は、合計13件。チラシの枚数を伝える時に茂造が言っていた枚数は正しかったのだ。紙漉き工房のトーマスも恐らく失念していたのだろう。
「じゃから儂はまずチラシを書いて持って行くからの。面接は明日じゃからの、ちと急ぐでの。昼の仕込み、最初は任す事になるが」
「大丈夫。カリルとサントがいるし、俺も慣れて来たし。安心してよ」
「そうじゃの。ではよろしく頼むぞい。サユリさん、済まんがまた文面を教えてくれるかの」
「判ったカピ」
時間になったので壱は擂り粉木を手に厨房に降りる。茂造は余っていた、実際は余っていなかった訳だが、昨日貰った3枚の紙を出し、チラシを作り始めた。
カリルとサントが既に出勤して来ていた。割烹着と三角巾も装着済みである。
「イチおはよう! 店長は?」
壱は事情を説明する。
「そっか。じゃあとっとと仕込み始めようぜ。イチはバジルソース作り頼んで良いか?」
「うん。あ、朝ご飯作るのに食堂の擂り粉木借りてた」
「あ、上には無いんだ。これからも使うんだったら、1本くらい持ってっても良いと思うんだけどなぁ」
「そうなの? 後でじいちゃんに聞いてみよ。さて、バジルソース作りっと」
フレッシュバジルを始め、昼営業に使うハーブや野菜類は既に入荷されている。壱たちが仕込みを始める前に、農家が早くから畑に入り、熟しているものを収穫し、表の入り口前に置いておいてくれる。毎営業新鮮なものを調理しているのだ。
じゃがいもなど一部の野菜は、貯蔵すると澱粉が糖に変わり旨味が増すと聞いた事があるが、恐らく貯蔵庫が無いのだろう。温度管理も必要だろうから、今の村では難しいのかも知れない。
バジルソースの作り方を教わってから、これは壱の仕事になっている。茂造はコンソメを作り、カリルはミネストローネ、サントはパスタとパンを捏ねる。今は茂造がいないので、カリルがコンソメを仕掛けている。
壱は軸からバジルの葉だけを摘み、大きなザルに入れて行く。終わると流水で洗い、布で丁寧に水分を拭き取って行く。
適量ずつまな板に乗せ、まずはざく切りに。次に叩く様に細かくして行く。それを陶器製のボウルに入れ、擂り粉木で押し潰して行く。
この作業、壱たちの世界ではフードプロセッサーやミキサーなどを使って行う。しかしこの村には無いので、こうして包丁や擂り粉木で地道に細かくしているのだ。
しかし壱には、この作業が少しは楽になる心当たりがあった。擂り鉢である。茂造に相談し、陶器工房で作ってもらう事は出来ないだろうか。
今日の休憩時間は煉瓦の形成をすると思うので、隙を見て茂造に聞いてみる事にしよう。
今はまず、手持ちの器具でやるしか無い。ボウルの中で良い塩梅にソース状になったバジルを、大きなボウルに移す。
壱はまたまな板の前に戻り、バジルを置いて、ざく切りにして。
この作業を繰り返す。なかなか根気の要る作業である。しかし音を上げている場合では無い。
そもそもこういう作業があまり苦手では無い。何せ壱は味噌蔵を継ごうとしていた人間である。あれもまた、本来なら細かい手の込んだ作業なのである。
だが知恵で簡略化出来るならした方が良いと思う。なので擂り鉢なのである。
さて、漸く全てのバジルをソース状に出来た。今度はにんにくを微塵切りにして行く。それをバジルのボウルに。そこに更にオリーブオイルを加えて混ぜて行く。
そうしてバジルソースが出来上がる。基本的に昼営業に使う素材は殆ど火を通して置いておくが、バジルは熱に弱いので、注文が入ってから火に掛けるのだ。
「壱に村を案内した時に、時間が無くての、村の中だけにしたんじゃが、外の漁師小屋と養蜂場とオリーブ畑を案内出来んかったんじゃ。そこには米農家募集のチラシを配れておらんでのう。儂もうっかり忘れておったのう」
と言う事は、合計13件。チラシの枚数を伝える時に茂造が言っていた枚数は正しかったのだ。紙漉き工房のトーマスも恐らく失念していたのだろう。
「じゃから儂はまずチラシを書いて持って行くからの。面接は明日じゃからの、ちと急ぐでの。昼の仕込み、最初は任す事になるが」
「大丈夫。カリルとサントがいるし、俺も慣れて来たし。安心してよ」
「そうじゃの。ではよろしく頼むぞい。サユリさん、済まんがまた文面を教えてくれるかの」
「判ったカピ」
時間になったので壱は擂り粉木を手に厨房に降りる。茂造は余っていた、実際は余っていなかった訳だが、昨日貰った3枚の紙を出し、チラシを作り始めた。
カリルとサントが既に出勤して来ていた。割烹着と三角巾も装着済みである。
「イチおはよう! 店長は?」
壱は事情を説明する。
「そっか。じゃあとっとと仕込み始めようぜ。イチはバジルソース作り頼んで良いか?」
「うん。あ、朝ご飯作るのに食堂の擂り粉木借りてた」
「あ、上には無いんだ。これからも使うんだったら、1本くらい持ってっても良いと思うんだけどなぁ」
「そうなの? 後でじいちゃんに聞いてみよ。さて、バジルソース作りっと」
フレッシュバジルを始め、昼営業に使うハーブや野菜類は既に入荷されている。壱たちが仕込みを始める前に、農家が早くから畑に入り、熟しているものを収穫し、表の入り口前に置いておいてくれる。毎営業新鮮なものを調理しているのだ。
じゃがいもなど一部の野菜は、貯蔵すると澱粉が糖に変わり旨味が増すと聞いた事があるが、恐らく貯蔵庫が無いのだろう。温度管理も必要だろうから、今の村では難しいのかも知れない。
バジルソースの作り方を教わってから、これは壱の仕事になっている。茂造はコンソメを作り、カリルはミネストローネ、サントはパスタとパンを捏ねる。今は茂造がいないので、カリルがコンソメを仕掛けている。
壱は軸からバジルの葉だけを摘み、大きなザルに入れて行く。終わると流水で洗い、布で丁寧に水分を拭き取って行く。
適量ずつまな板に乗せ、まずはざく切りに。次に叩く様に細かくして行く。それを陶器製のボウルに入れ、擂り粉木で押し潰して行く。
この作業、壱たちの世界ではフードプロセッサーやミキサーなどを使って行う。しかしこの村には無いので、こうして包丁や擂り粉木で地道に細かくしているのだ。
しかし壱には、この作業が少しは楽になる心当たりがあった。擂り鉢である。茂造に相談し、陶器工房で作ってもらう事は出来ないだろうか。
今日の休憩時間は煉瓦の形成をすると思うので、隙を見て茂造に聞いてみる事にしよう。
今はまず、手持ちの器具でやるしか無い。ボウルの中で良い塩梅にソース状になったバジルを、大きなボウルに移す。
壱はまたまな板の前に戻り、バジルを置いて、ざく切りにして。
この作業を繰り返す。なかなか根気の要る作業である。しかし音を上げている場合では無い。
そもそもこういう作業があまり苦手では無い。何せ壱は味噌蔵を継ごうとしていた人間である。あれもまた、本来なら細かい手の込んだ作業なのである。
だが知恵で簡略化出来るならした方が良いと思う。なので擂り鉢なのである。
さて、漸く全てのバジルをソース状に出来た。今度はにんにくを微塵切りにして行く。それをバジルのボウルに。そこに更にオリーブオイルを加えて混ぜて行く。
そうしてバジルソースが出来上がる。基本的に昼営業に使う素材は殆ど火を通して置いておくが、バジルは熱に弱いので、注文が入ってから火に掛けるのだ。
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