身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ

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1章 いらない子、アシェ

1 アシェはいらない子

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「アシェ!アシェ!」

「……は、い!」

階段下から聞こえる大声で、目が覚める。
お義母さんより遅く起きてしまった。
怒られる。
かぶっていた布を急いでどかしてドアの外へ飛び出す。

「洗濯物!それから庭の草むしり!朝食もレオン兄ちゃんが起きるまでに作るんだ!早くしろ!」

「はい」

急いで階段を駆け降りる。
レオン義兄さんが早くしないと起きてしまう。
お湯をたくさん沸かして、野菜をいっぱい切って、鍋の中に全部入れる。
スープは最近作れるようになった。

「レオンちゃん。おはよう。
今日も早起きで偉いわね」

「ママ。お腹が減ったよ」

「アシェ。早くしな!」

「はい」

鍋を急いでかき混ぜる。

「全く。もう10歳だろ!
男のくせに手際も悪いし、体力もないし……少しは役に立っておくれ!」

「はい」

これがぼくのいつもの朝。
手際が悪いっていつも怒られてしまう。

お義母さんは亡くなった本当のお母さんの妹。
義兄はぼくより2つ上のレオン義兄さん。
お義父さんはいつの間にか帰ってこなくなって、どのくらい経つだろうか。

2人は、ぼくを引き取るのを嫌がっていた。
穀潰しなんて、引き取りたくないって。

でも身寄りが他に居なくて、置いてもらっている。その代わり家の家事は全部ぼくがやっているんだ。だってそれ以外、役に立たないから。ぼくは、いらない子だって。

「また野菜スープ?野菜嫌いだって言ってんだろ」

レオン義兄さんにスープを持っていくと不機嫌そうに言われた。

「や、野菜たくさん食べた方がいいって、お義母さんが言ってたよ……?」

「ママ。そんなこと言ったの?」

「いいえ。
レオンちゃんが好きなものを食べなさい。
アシェ。早く違う物を持ってきなさい!」

作ったスープをどかされ、その反動でテーブルからこぼれ落ちる。

「は、はい……。ごめんなさい」

また失敗しちゃった。
他の物を、作り直さないと。

ぼくはテーブルから落ちたスープを急いで片付けて、キッチンへと向かった。
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