転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸

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第二十四話 押しキャラをジュドーに変えます

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昼時、レナンジェスは馴染の店に向かう。事前に個室とメイドと近衛兵の席を用意していたので特に問題はないと思っていた。

「レナンジェス、随分と貧相な店だな」

俺様王子は早速やらかしてくれる。

「殿下、ここの料理は絶品ですよ」

ライディースはクールに答えるが俺様王子は納得していない。

「…とりあえず料理をお願いします」

レナンジェスは店員にそう言うと大皿料理が運ばれてくる。それを2人の小悪魔従者が取り分けた。

『殿下、アーン』

小悪魔従者は険悪な雰囲気を払拭しようと俺様王子のご機嫌を取る。

「フム、料理は悪くない」

そう言いながらミュージーとルーアにもアーンしてもらう俺様王子。

「レナンジェス様、アーン」

それを見ていたリムルが対抗心を燃やしレナンジェスにアーンをしてくる。

「レナンジェス、我にもアーンを」

ライディースも対抗心に燃えているようだ。

「まあまあ、ゆっくりと味わいましょうよ」

ジュドーは作り笑顔を浮かべながら優雅に食事する。そしてモブ侯爵&伯爵令嬢との会話も絶え間ない。

(はぁ、ジュドーがいてくれて助かる)

何故ならばジュドーに倣って皆が会食を楽しみだしたからだ。

「少々席を外します」

レナンジェスはそう言いながら席を立つ。そして部屋を出ると良い雰囲気で食事を楽しむ近衛兵とメイド団を横目に化粧室に向かう。

(ハァ…疲れる)

何しろ今日の一行は自分の任務を忘れているし兎に角、我儘な貴族の集まりだ。ジュドーが居なければ即座に逃げ出していたかもしれない。

(考えてみればチャールズ殿下とカイザル殿下の方が次期王様らしく見えるよ)

何しろ普段のデートではカイザルが警備兵の配置を絶妙にしている。故にミーアの護衛も動きやすいのだ。ところが今日は近衛兵が出張っている事で絶妙な布陣を乱している。故にゴロツキを退治する労働まで行っている。

(それから近衛兵とメイド戦隊は任務を忘れていないか?)

そんな不安さえ感じた。



レナンジェスが個室に戻ろうとした時だった。店の外に警備兵が集まっていた。どうやらメイド団と近衛兵が外の怪しい連中を捕まえたようだった。

(前言撤回。やはりジュドーの護衛は優秀だわ)

一見、イチャイチャムードを醸し出していても仕事はきっちりだった。

部屋に戻るとジュドーはレナンジェスにニヤリと笑いかける。

レナンジェスはそれに苦笑いで答えた。

「レナンジェスよ、次は何処へ行くのだ?」

俺様王子はデザートを食べながら問いかけてくる。

「街で買い物でも」

レナンジェスの計画ではオーダーメイドで服を作る店や若者に人気スポットを散策する予定だった。何しろミーアの店は行き辛い。

「我は会員制の商会に行きたいと思う」

突然言いだす俺様王子。

(おい、婚約破棄した相手が経営する店に行くなんて正気か?)

レナンジェスは呆れた表情を浮かべた。

「文句があるのか?」

「それは…」

レナンジェスは返答に迷う。

「殿下、若者が集う界隈も楽しそうではありませんか。流行を知るのも良い機会だと思いますよ」

ジュドーが横から口を出す。

「それもそうだな」

俺様王子はそう言いながら紅茶を一気に飲み干した。

(ジュドー…好き!ときめき魔法学院の押しキャラはジュドーに変わったわ!)

レナンジェスは心の中でそう叫びながらアイスコーヒーを一気に飲み干した。



「人が多いな」

俺様王子はそう言いながら人混みを眺める。

「それだけこの国が豊かだという事でしょう」

ライディースはクールにそう答えるとレナンジェスと手を繋ぐ。

「何をしている?」

「はぐれない為の行為です」

「なるほどな」

ライディースの言葉に俺様王子アリウスはミュージーとルーアの手を握る。

「殿下、女性相手なら腕を組むべきですわ」

リムルはそう言いながらレナンジェスの腕にしがみ付く。

「そうか」

アリウスはミュージーとルーアの腰に手を回す。すると2人の少女は顔を赤らめた。

「それでは行きましょうか」

ジュドーがそう言うとモブ侯爵&伯爵令嬢の腰に手を回し繁華街に足を踏み入れる。

それからタピオカの店に並んだり、若者に人気のファッションブランドの店を回る一行。俺様王子は後先考えずミュージーとルーアの服や宝飾品を買い漁る。

荷物持ちはレナンジェスだ。

(おい、買いすぎだ!両手が塞がって護衛どころではなくなったぞ!!)

そう悪態ついてみるが俺様王子はお構いなしだ。

幸い、ジュドーの配下のメイド戦隊が一行を取り囲む布陣で近衛兵とイチャイチャしてくれている。緊急事態には彼女等に任せても平気だろう。

そして夕暮れ時に皆で学院に戻るとその場で解散した。荷物は近衛兵が俺様王子アリウスの部屋へ運んでくれるみたいだ。



「疲れた…」

レナンジェスはそう呟くと浴室に向かう。そして湯船に浸かると茫然と天井を見上げていた。

(こんなに疲れる休日は初めてだよ)

そう考えながら二度とデートに付き合うものかと心に誓うレナンジェスであった。
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