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第二十三話 休日出勤させないで!

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(何だ…この人数は…)

集合場所には俺様王子と聖女ミュージー、ルーア、リムル、ライディース、ジュドーとその彼女のモブ侯爵令嬢&伯爵令嬢だ。そこにレナンジェスと小悪魔従者2人、私服のメイドさん5人だ。

『レナンジェス殿と護衛任務に就けることは光栄であります』

メイド戦隊はそう言いながら頭を下げる。彼女等はジュドーの付き人だ。軍の総司令官の家に仕えるだけあって隠しても強さが解る。

(それにしても…私服の近衛兵が周りに5人居るけどバレバレだし…校外学習ですか?)

レナンジェスはそう考えながらため息をつく。

「それでは行きましょうか」

レナンジェスはそう言うと王都に向かって歩き出した。



定番の公園で花畑を眺めたりベンチでアイスクリームを食べたりする一行。

「おい、アーンが無いぞ?」

俺様王子はそう言いながら不機嫌そうだ。

『お姉さま、アーンをご所望ですよ』

ミュージーとルーアにハンカチを渡しながら小悪魔従者はそっと囁く。

「殿下…その…アーン」

ミュージーは恥ずかしそうにする。それにルーアも続く。

「悪くないな」

俺様王子はデレながら呟き、小悪魔従者に親指を立てる。

「ジュドー様、口元に」

「ジュドー様アーン」

触発されたのかモブ侯爵&伯爵令嬢がジュドーとイチャつきだす。

「レナンジェス…我にも…」

「レナンジェス様、アーン」

ライディースとリムルまで触発されたみたいだ。

(このイチャイチャ空間を何とかしてくれ。ライディースとリムルも張り合わなくて良いのに。それにしても…うちの小悪魔はメイド団と近衛兵にまでアイスを配っているし…なんかあっちも良い雰囲気になってきているんですけど)

レナンジェスは周りを見ながら焦る。完全に無防備な状態なのだ。

(頼みのジュドーよ、令嬢の頬っぺたに付いたアイスを直接舐めるんじゃない!周りを警戒してくれ!!)

そう、遠目でガラの悪そうな連中がこちらを窺っているのだ。

「大丈夫だ、我が守るから」

不意にライディースが耳元で囁く。

(あんたの武術は普通だろ!)

「もしかして…レナンジェス様の前でならず者に凌辱されるのかしら」

(リムルよ、そうなったら私が処刑される)

レナンジェスは仕方なくジャケットの裏に隠し持っていた短剣に手を掛ける。

(来た…これは絡まれるパターンだ)

何時もならミーアの護衛が追い払うのだが今回はそうならない。

『おい、見せ付けているのか?』

ガラの悪そうな男7人程が難癖付けてくる。そしてこちらに歩み寄った時だった。小悪魔従者が7人を一瞬で鎮圧する。そして近くに居た警備兵に渡しているではないか。

「俺様は絡まれるのが初めてだぞ」

アリウスはそう言いながら感動している。

「殿下、喜ばないでください。一歩間違えば取り返しのつかない事になりかねません」

そう言いながらレナンジェスは氷の剣を茂みに放つ。

「ギャー」

男の悲鳴と共にドサリと倒れる音がした。

「やるね。あいつは指名手配犯の“血塗れルーク”じゃないか。警備兵10人でも勝てない相手を瞬殺とはね」

ジュドーが茂みを覗き込むと嬉しそうに言う。

「フム、大儀であった」

俺様王子はそう言いながら池の方へ歩き出す。レナンジェスは仕方なく後処理を警備兵に任せると皆の後を追った。



「次はあれだ」

俺様王子はボートを指さし言う。そしてミュージーとルーアを乗せると水魔法で水流を作りボートを流す。

その上で2人の少女とイチャイチャしだした。

「非常識な…」

周りの人は俺様王子の魔力に驚愕している。

「全く、アリウス殿下は面白い事を考える」

ジュドーもアリウスが作り出した水流にボートを流させる。そしてモブ侯爵&伯爵令嬢とイチャイチャしている。

(おい、周りの一般人を見ろ。男同士で遊んでいる者達が血の涙を流しているではないか…)

レナンジェスは仕方なく周りを警戒する。

「そこの護衛の方も良い雰囲気になっていないで仕事をしてください」

レナンジェスがそう言うとメイド護衛団と近衛兵団はカップル風に腕を組みながら辺りを散策しだす。

(一見、カップルを装った護衛に見えるが明らかにデートをしているな。ジュドーよ、君のメイドが寿退職する日も近いだろう。

「そんなに警戒しなくても我は大丈夫だと思うぞ」

「そうですよ。こちらもイチャイチャしましょうよ」

ライディースとリムルがそう言いながら腕を組んでくる。

(君達は解っていない。帝国民と王国民は教養があり、衣食住に困っていない。しかし敵対している他国ではそうでは無いんだぞ?高い税金に貴族の腐敗。故に先程の様な、ならず者がこの国にやってくると言うのに…)

レナンジェスはため息をつく。

「レナンジェスの心配は小国の連合の者達だろ?入国審査を厳しくしたんだ。先程の様な不法入国らしき者達が群衆で王国には入れないさ」

ライディースはレナンジェスの心配事を察してか耳元で甘く囁いた。
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