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第七十六話 マッチョの実
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「マッチョの実ですと!!」
レナンジェスは思わず叫ぶ。どうやら何処でも栽培できる代物でプロテイン以上の効果があるみたいだ。その代り兎に角、不味い。それを食べられる者は味覚を疑われるみたいだ。
(ならば粉上にして味を変えれば…)
レナンジェスは図鑑の内容から味付けを如何に変えるか考える。しかし不味い者は不味いのだ。
(そうだ!薬で使うカプセル錠にすれば良いじゃない!!)
レナンジェスはそう考えると早速、実行に移す。
「あの…マッチョの実が欲しいのですが…」
『そこにあるだろ』
マッチョ達が指さす先にはポージングしたマッチョの形をした不気味な色をした実が成っている。話を聞くと何処でもあるらしい。しかしあまりの不味さに誰も食べないそうだ。
(ならば…乾燥させて粉末にする所から…)
レナンジェスはそう呟くとマッチョの実を収穫し天日干しで乾燥させる。
(何日で乾燥させられるのやら…)
そう考えていたレナンジェスだがマッチョの実は2時間で乾燥した。どうやら水分はほとんど無いらしい。
(次に粉末にして…あ、この世界にカプセルってあるのかしら?)
レナンジェスは慌てて隊長にカプセルがあるか尋ねる。
「無いよ」
隊長はあっさりと言う。
(仕方がない…作って貰うか…)
レナンジェスはそう考えると錬金術師が居ないか問い掛ける。
「俺がそうだが」
「では…」
レナンジェスは胃の中で溶けるカプセルの形状を作れないか相談する。
「この世界でカプセル剤を作るとは…面白いな」
隊長はどうやら乗り気になったらしい。そして彼の部屋で材料を集めカプセルを作る。レナンジェスはそれに粉末状にしたマッチョの実を詰め込む。
「それで…効能はあるのか?」
「先ずは実験しないと…」
「では兵士で実験しよう」
「え?いきなり人体実験ですか?」
「大丈夫だ。問題ない」
隊長はそう言うと護衛の兵士にカプセルを飲ませる。すると兵士の体は急に筋肉ムキムキになりマッチョと化した。そして何故かポージングを始める新マッチョ。
「副作用でポージングをするみたいだが…効果は高いな」
「それではこれを量産して…」
「人類マッチョ化計画だな」
そう言いながら悪い笑みを浮かべるレナンジェスと隊長。
3日後、マッチョカプセルは前線近くの村に配給される。
「大変です!魔族が前線近くの村に集まってマッチョ祭りを始めました!」
「何だと!それで被害は?」
伝令の言葉に慌てるイケメン王。
「それが…魔族の国から持って来たと思われる特殊金属の延べ棒や金の延べ棒を配っています。一般人から奪略行為はしていません」
「そうか…」
そう呟くとイケメン王は複雑そうな表情を浮かべる。
「どうしました?」
クール系の側近がイケメン王に尋ねる。
「いや…マッチョ率が高くなると可愛い系男子や細身男子が居なくならないか心配で…」
「確かに。マッチョだけになると…ウッホな展開が暑苦しくなりかねませんね」
「仕方がない…先日、召喚した勇者を調査に向かわせるんだ」
「御意に」
王の言葉でクール系側近は即座にレナンジェス出陣命令を出した。
「給金なしで働かせるとは如何に?この世界に労基は無いのか!!」
レナンジェスは魔方陣の研究を中断して叫ぶ。
「あるよ。しかし…君は王の妻扱いだから…王族の務め的な?」
あっさりと答える隊長。
「え?」
「帰ってきたら夜伽もあるから」
「もしかして…隊長も…ベーコンレタス的に…」
「無いよ。俺は女性好きだから。君の場合は男性もイケそうだからね」
「私の意思は無視ですか?」
「君はベーコンレタス的な雰囲気が漂っているから…」
その言葉に絶句するレナンジェス。隊長はそんな彼を伴い前線付近の村へ向かった。
「これは…」
レナンジェスは絶句する。目の前に広がる光景はマッチョの群れだ。
『お、痩せ型が来たぞ!』
『性的に襲われたくなければ金を出せ!』
『それともベーコンレタス的に愉しませてくれるのか?』
魔族の群れに囲まれるレナンジェス。魔族は蝙蝠の翼と羊の角を除けば普通に美男美女だ。しかし皆、痩せ型である。
「何故、マッチョにこだわるのですか?」
『マッチョに憧れるからだ!お前には解らないだろう!!どんなに努力してもマッチョになれない我等の悲しみが!!』
『マッチョになれるのに筋トレしない人間が許せない!マッチョは許す!!』
どうやら彼等の美的センスはマッチョこそ至高らしい。そしてマッチョになれない魔族は醜悪であるという認識みたいだ。
「これを…」
レナンジェスはマッチョの実で作ったカプセル剤を魔族に渡す。
『何だこれは?』
「マッチョの実から作った筋肉増強剤です」
『あの不味くて食えないマッチョの実をカプセルにだと?』
「ここに居る村人はこれを服用してマッチョになりましたので…」
その言葉に我先にカプセルを口にする魔族。そしてカプセルを飲み込んでから3分程で全身の筋肉が膨張し鎧、衣服を弾き飛ばす。
『マッチョになったぞ』
『なんて美しい…』
『嬉しくて目から汗が…』
魔族たちは大騒ぎだ。
「これを輸出しますから…」
『解った!和平交渉だ!!』
魔族の一団はそう叫びながらその場を去っていく。
「これで終わりですよね?」
「あぁ、あっさり戦争が終わったな」
レナンジェスと隊長は顔を見合わせ苦笑いした。
その後、マッチョと化した魔族と人族の戦争終結とマッチョカプセルの魔族への提供、魔族サイドからはレア金属と魔獣の素材だ。
「ところで今回の功労者の勇者はいずこへ?」
「それが…魔方陣を改造して別次元へ転移してしまいました」
王の言葉にクール系の側近が答える。
「何てことだ…まだベーコンレタス展開を迎えていないのに…」
「どうされますか?」
「この世界の危機を救った勇者だ。勇者の像と彼の偉業を語り継ごう」
王の言葉で各地にマッチョ姿でポージングするレナンジェスの像が建てられる。同時にポージングしながら魔族をマッチョへ導く舞台が各地で公演されるのであった。
レナンジェスは思わず叫ぶ。どうやら何処でも栽培できる代物でプロテイン以上の効果があるみたいだ。その代り兎に角、不味い。それを食べられる者は味覚を疑われるみたいだ。
(ならば粉上にして味を変えれば…)
レナンジェスは図鑑の内容から味付けを如何に変えるか考える。しかし不味い者は不味いのだ。
(そうだ!薬で使うカプセル錠にすれば良いじゃない!!)
レナンジェスはそう考えると早速、実行に移す。
「あの…マッチョの実が欲しいのですが…」
『そこにあるだろ』
マッチョ達が指さす先にはポージングしたマッチョの形をした不気味な色をした実が成っている。話を聞くと何処でもあるらしい。しかしあまりの不味さに誰も食べないそうだ。
(ならば…乾燥させて粉末にする所から…)
レナンジェスはそう呟くとマッチョの実を収穫し天日干しで乾燥させる。
(何日で乾燥させられるのやら…)
そう考えていたレナンジェスだがマッチョの実は2時間で乾燥した。どうやら水分はほとんど無いらしい。
(次に粉末にして…あ、この世界にカプセルってあるのかしら?)
レナンジェスは慌てて隊長にカプセルがあるか尋ねる。
「無いよ」
隊長はあっさりと言う。
(仕方がない…作って貰うか…)
レナンジェスはそう考えると錬金術師が居ないか問い掛ける。
「俺がそうだが」
「では…」
レナンジェスは胃の中で溶けるカプセルの形状を作れないか相談する。
「この世界でカプセル剤を作るとは…面白いな」
隊長はどうやら乗り気になったらしい。そして彼の部屋で材料を集めカプセルを作る。レナンジェスはそれに粉末状にしたマッチョの実を詰め込む。
「それで…効能はあるのか?」
「先ずは実験しないと…」
「では兵士で実験しよう」
「え?いきなり人体実験ですか?」
「大丈夫だ。問題ない」
隊長はそう言うと護衛の兵士にカプセルを飲ませる。すると兵士の体は急に筋肉ムキムキになりマッチョと化した。そして何故かポージングを始める新マッチョ。
「副作用でポージングをするみたいだが…効果は高いな」
「それではこれを量産して…」
「人類マッチョ化計画だな」
そう言いながら悪い笑みを浮かべるレナンジェスと隊長。
3日後、マッチョカプセルは前線近くの村に配給される。
「大変です!魔族が前線近くの村に集まってマッチョ祭りを始めました!」
「何だと!それで被害は?」
伝令の言葉に慌てるイケメン王。
「それが…魔族の国から持って来たと思われる特殊金属の延べ棒や金の延べ棒を配っています。一般人から奪略行為はしていません」
「そうか…」
そう呟くとイケメン王は複雑そうな表情を浮かべる。
「どうしました?」
クール系の側近がイケメン王に尋ねる。
「いや…マッチョ率が高くなると可愛い系男子や細身男子が居なくならないか心配で…」
「確かに。マッチョだけになると…ウッホな展開が暑苦しくなりかねませんね」
「仕方がない…先日、召喚した勇者を調査に向かわせるんだ」
「御意に」
王の言葉でクール系側近は即座にレナンジェス出陣命令を出した。
「給金なしで働かせるとは如何に?この世界に労基は無いのか!!」
レナンジェスは魔方陣の研究を中断して叫ぶ。
「あるよ。しかし…君は王の妻扱いだから…王族の務め的な?」
あっさりと答える隊長。
「え?」
「帰ってきたら夜伽もあるから」
「もしかして…隊長も…ベーコンレタス的に…」
「無いよ。俺は女性好きだから。君の場合は男性もイケそうだからね」
「私の意思は無視ですか?」
「君はベーコンレタス的な雰囲気が漂っているから…」
その言葉に絶句するレナンジェス。隊長はそんな彼を伴い前線付近の村へ向かった。
「これは…」
レナンジェスは絶句する。目の前に広がる光景はマッチョの群れだ。
『お、痩せ型が来たぞ!』
『性的に襲われたくなければ金を出せ!』
『それともベーコンレタス的に愉しませてくれるのか?』
魔族の群れに囲まれるレナンジェス。魔族は蝙蝠の翼と羊の角を除けば普通に美男美女だ。しかし皆、痩せ型である。
「何故、マッチョにこだわるのですか?」
『マッチョに憧れるからだ!お前には解らないだろう!!どんなに努力してもマッチョになれない我等の悲しみが!!』
『マッチョになれるのに筋トレしない人間が許せない!マッチョは許す!!』
どうやら彼等の美的センスはマッチョこそ至高らしい。そしてマッチョになれない魔族は醜悪であるという認識みたいだ。
「これを…」
レナンジェスはマッチョの実で作ったカプセル剤を魔族に渡す。
『何だこれは?』
「マッチョの実から作った筋肉増強剤です」
『あの不味くて食えないマッチョの実をカプセルにだと?』
「ここに居る村人はこれを服用してマッチョになりましたので…」
その言葉に我先にカプセルを口にする魔族。そしてカプセルを飲み込んでから3分程で全身の筋肉が膨張し鎧、衣服を弾き飛ばす。
『マッチョになったぞ』
『なんて美しい…』
『嬉しくて目から汗が…』
魔族たちは大騒ぎだ。
「これを輸出しますから…」
『解った!和平交渉だ!!』
魔族の一団はそう叫びながらその場を去っていく。
「これで終わりですよね?」
「あぁ、あっさり戦争が終わったな」
レナンジェスと隊長は顔を見合わせ苦笑いした。
その後、マッチョと化した魔族と人族の戦争終結とマッチョカプセルの魔族への提供、魔族サイドからはレア金属と魔獣の素材だ。
「ところで今回の功労者の勇者はいずこへ?」
「それが…魔方陣を改造して別次元へ転移してしまいました」
王の言葉にクール系の側近が答える。
「何てことだ…まだベーコンレタス展開を迎えていないのに…」
「どうされますか?」
「この世界の危機を救った勇者だ。勇者の像と彼の偉業を語り継ごう」
王の言葉で各地にマッチョ姿でポージングするレナンジェスの像が建てられる。同時にポージングしながら魔族をマッチョへ導く舞台が各地で公演されるのであった。
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