転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸

文字の大きさ
77 / 88

第七十六話 マッチョの実

しおりを挟む
「マッチョの実ですと!!」

レナンジェスは思わず叫ぶ。どうやら何処でも栽培できる代物でプロテイン以上の効果があるみたいだ。その代り兎に角、不味い。それを食べられる者は味覚を疑われるみたいだ。

(ならば粉上にして味を変えれば…)

レナンジェスは図鑑の内容から味付けを如何に変えるか考える。しかし不味い者は不味いのだ。

(そうだ!薬で使うカプセル錠にすれば良いじゃない!!)

レナンジェスはそう考えると早速、実行に移す。

「あの…マッチョの実が欲しいのですが…」

『そこにあるだろ』

マッチョ達が指さす先にはポージングしたマッチョの形をした不気味な色をした実が成っている。話を聞くと何処でもあるらしい。しかしあまりの不味さに誰も食べないそうだ。

(ならば…乾燥させて粉末にする所から…)

レナンジェスはそう呟くとマッチョの実を収穫し天日干しで乾燥させる。

(何日で乾燥させられるのやら…)

そう考えていたレナンジェスだがマッチョの実は2時間で乾燥した。どうやら水分はほとんど無いらしい。

(次に粉末にして…あ、この世界にカプセルってあるのかしら?)

レナンジェスは慌てて隊長にカプセルがあるか尋ねる。

「無いよ」

隊長はあっさりと言う。

(仕方がない…作って貰うか…)

レナンジェスはそう考えると錬金術師が居ないか問い掛ける。

「俺がそうだが」

「では…」

レナンジェスは胃の中で溶けるカプセルの形状を作れないか相談する。

「この世界でカプセル剤を作るとは…面白いな」

隊長はどうやら乗り気になったらしい。そして彼の部屋で材料を集めカプセルを作る。レナンジェスはそれに粉末状にしたマッチョの実を詰め込む。

「それで…効能はあるのか?」

「先ずは実験しないと…」

「では兵士で実験しよう」

「え?いきなり人体実験ですか?」

「大丈夫だ。問題ない」

隊長はそう言うと護衛の兵士にカプセルを飲ませる。すると兵士の体は急に筋肉ムキムキになりマッチョと化した。そして何故かポージングを始める新マッチョ。

「副作用でポージングをするみたいだが…効果は高いな」

「それではこれを量産して…」

「人類マッチョ化計画だな」

そう言いながら悪い笑みを浮かべるレナンジェスと隊長。



3日後、マッチョカプセルは前線近くの村に配給される。

「大変です!魔族が前線近くの村に集まってマッチョ祭りを始めました!」

「何だと!それで被害は?」

伝令の言葉に慌てるイケメン王。

「それが…魔族の国から持って来たと思われる特殊金属の延べ棒や金の延べ棒を配っています。一般人から奪略行為はしていません」

「そうか…」

そう呟くとイケメン王は複雑そうな表情を浮かべる。

「どうしました?」

クール系の側近がイケメン王に尋ねる。

「いや…マッチョ率が高くなると可愛い系男子や細身男子が居なくならないか心配で…」

「確かに。マッチョだけになると…ウッホな展開が暑苦しくなりかねませんね」

「仕方がない…先日、召喚した勇者を調査に向かわせるんだ」

「御意に」

王の言葉でクール系側近は即座にレナンジェス出陣命令を出した。

「給金なしで働かせるとは如何に?この世界に労基は無いのか!!」

レナンジェスは魔方陣の研究を中断して叫ぶ。

「あるよ。しかし…君は王の妻扱いだから…王族の務め的な?」

あっさりと答える隊長。

「え?」

「帰ってきたら夜伽もあるから」

「もしかして…隊長も…ベーコンレタス的に…」

「無いよ。俺は女性好きだから。君の場合は男性もイケそうだからね」

「私の意思は無視ですか?」

「君はベーコンレタス的な雰囲気が漂っているから…」

その言葉に絶句するレナンジェス。隊長はそんな彼を伴い前線付近の村へ向かった。

「これは…」

レナンジェスは絶句する。目の前に広がる光景はマッチョの群れだ。

『お、痩せ型が来たぞ!』

『性的に襲われたくなければ金を出せ!』

『それともベーコンレタス的に愉しませてくれるのか?』

魔族の群れに囲まれるレナンジェス。魔族は蝙蝠の翼と羊の角を除けば普通に美男美女だ。しかし皆、痩せ型である。

「何故、マッチョにこだわるのですか?」

『マッチョに憧れるからだ!お前には解らないだろう!!どんなに努力してもマッチョになれない我等の悲しみが!!』

『マッチョになれるのに筋トレしない人間が許せない!マッチョは許す!!』

どうやら彼等の美的センスはマッチョこそ至高らしい。そしてマッチョになれない魔族は醜悪であるという認識みたいだ。

「これを…」

レナンジェスはマッチョの実で作ったカプセル剤を魔族に渡す。

『何だこれは?』

「マッチョの実から作った筋肉増強剤です」

『あの不味くて食えないマッチョの実をカプセルにだと?』

「ここに居る村人はこれを服用してマッチョになりましたので…」

その言葉に我先にカプセルを口にする魔族。そしてカプセルを飲み込んでから3分程で全身の筋肉が膨張し鎧、衣服を弾き飛ばす。

『マッチョになったぞ』

『なんて美しい…』

『嬉しくて目から汗が…』

魔族たちは大騒ぎだ。

「これを輸出しますから…」

『解った!和平交渉だ!!』

魔族の一団はそう叫びながらその場を去っていく。

「これで終わりですよね?」

「あぁ、あっさり戦争が終わったな」

レナンジェスと隊長は顔を見合わせ苦笑いした。



その後、マッチョと化した魔族と人族の戦争終結とマッチョカプセルの魔族への提供、魔族サイドからはレア金属と魔獣の素材だ。

「ところで今回の功労者の勇者はいずこへ?」

「それが…魔方陣を改造して別次元へ転移してしまいました」

王の言葉にクール系の側近が答える。

「何てことだ…まだベーコンレタス展開を迎えていないのに…」

「どうされますか?」

「この世界の危機を救った勇者だ。勇者の像と彼の偉業を語り継ごう」

王の言葉で各地にマッチョ姿でポージングするレナンジェスの像が建てられる。同時にポージングしながら魔族をマッチョへ導く舞台が各地で公演されるのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! ルティとトトの動画を作りました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。 そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。 そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。 あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。 自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。 エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。 お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!? 無自覚両片思いのほっこりBL。 前半~当て馬女の出現 後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話 予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。 サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。 アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。 完結保証! このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。 ※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...