某国の皇子、冒険者となる

くー

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第1章 冒険者への道のり

15. 冒険者

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「うおおおおおぉ!!」
スパーダが雄叫びとともに跳躍し、モンスターの背後から切りかかった。
怯んだ隙を見逃さず、ウィルも追い打ちをかける。
ウィルとスパーダ、ふたりの斬撃の雨を浴びたスケアリーベアは、とうとう地に倒れ伏した。
「ノア!ケガは?」
呆然としていた俺は、ウィルに声をかけられ我に返る。
「エトワールが!」
背中から血を流して倒れているエトワールに駆け寄る。
「マディス!エトワールが…っ!」
「任せよ!」

マディスがすぐに回復魔法の詠唱に入った。
俺たちはエトワールの無事を祈って治療が終わるのを待った。

「傷は塞いだが……もっと専門的な治療が必要だ。すぐに戻ろう」


俺たちはダンジョンの入り口に戻り、入り口付近で待機していたギルドの係員に至急治療が必要な仲間がいることを伝えた。
専門的な治療のできる施設、治癒院へはマディスが付き添うことになり、残された俺たちはギルドの馬車で運ばれていくエトワールを見送った。
「俺たちも行こう!」
ウィルたちの返事を待たず、俺は馬車が去っていった方向へ駆け出した。
「待て!ノア……っ!スパーダ!すまないがここは頼めるか!?」
「おう!任せとけ。俺もすぐに向かうぜ!」



どれくらい走ったのだろうか。心臓が壊れそうだ。
俺とウィルは治癒院にたどり着き、エトワールの状況をきくと、ちょうど集中治療室での処置が終わったとのことだった。
「エトワールは無事なんですか!?」
「ご安心ください。一命は取り留められました」
「…よ、よかったぁ」
ほっとしてからだの力が抜けたが、ウィルが背中を支えてくれたため、地面にへたり込みむことはなかった。


スパーダも合流し、俺たちはエトワールの病室へ向かった。
寝台の上に横たえられたエルフは、静かに眠っているようだった。
血の気の失せた顔は、美しさも相まってまるで人形のようだ。
「つめたい……」
エトワールの手は、ひんやりと冷たかった。その手に顔を寄せ、早くよくなるように祈りを捧げる。
「エトワール…ごめん、俺をかばって……」
「……ノア?」
「エトワール……っ!」
薄く開かれた目蓋から覗く淡いかがやきを湛えたうす紫色の瞳が、こちらを見ていた。

あと少し遅ければ危なかったそうだが、治癒師たちの魔法のおかげで、エトワールは2,3日で退院できるとのことだった。
「みなさんが迅速に適切な処置をしてくださったおかげです。ありがとうございました」
「マディスの回復魔法が完璧だったって、ここの治癒師が褒めてたぜ」
「当然のことをしたまで……」
「ウィルとスパーダが、ソッコーでスケアリーベアを倒してくれて、ほんとうに助かったよ」
「俺たちが到着したときには、ヤツは既に両目を潰されてたからな。ノアとエトワールの力も大きい」

俺たち5人は、顔を見合わせて笑った。


「ジャジャーン!これはなんでしょう!?」
スパーダは5枚の紙を取り出した。
「これって…合格証書……?」
「スケアリーベアの素材、代わりに回収しておいたよ」
さすがウィル。
「おまえらが飛ばされる前に、ノアの素材以外は集まってたからな。俺たち5人、みんなそろって合格だ!」

「俺が冒険者……?」
「よかったですね、ノア」
「うん……」
「おい~、泣くなよぉ~」
「やったな、ノア」

無事にみんなで帰れたこと、仲間たちの笑顔、長年の夢が叶ったこと――ほんとうに嬉しい。
そして俺の新たな人生が、ここから始まるのだ。

冒険者、ノア・スタークとして――




第1章・完



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