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第2章 魔術師の試練
1. 従者は憂う
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俺は騎士の家に生まれ、親や親族たちと同じように、国を護る騎士になることを目指して生きてきた。
俺の名はウィル・クリスティオ。ルクス皇子の従者だが、今は身分を隠して冒険者をすることになった。
ルクス……今はノア・スタークと名乗っている駆け出し冒険者の正体は、ベルムデウス帝国の皇子、ルクス・ベルムデウスだ。
皇子という身分に加え、ノアは大変美しく、目立つ容姿をしていた。燃えるような赤褐色の赤い髪に、街中ですれ違う人々は振り返らずにはいられない。
声をかけようとする身の程知らずが行動に出る前に視線で制するのは、従者である俺の役割だった。
皇子の従者である俺の気苦労を、誰も知らない――
事の発端はノアの発言だった。
「魔法の修行がしたい…」
誰にともなく呟いたノアに応えたのは、エトワールだった。
「知り合いではないのですが…この近くに高名な魔術師がいらっしゃいますよ」
この得体の知れないエルフが、正直言って、めざわりだった。
でも、俺にはどうすることもできない。厄介なことに、このエルフは役に立つ――
「ブラウフォンスって、温泉が有名なんだってさ」
ノアがソファでくつろぎながら眺めている町の情報誌を、エルフがノアの背中越しに覗きこんでいる。
近くないか?距離が……
「たしか、青の温泉と呼ばれていますよね。この町の名物にもなっているはずです」
「一緒に行かない?」
「もちろん、喜んで!」
「ちょっと待って……」
俺は頭痛を感じて頭を抱えた。
「あ…ウィルも一緒に行く?」
「ノア、魔術師のところに行くんだよね…修行のために」
は……っ!とした顔をしているノア。可愛いから許す…ってオイ……
「そうだった……ごめん、エトワール!温泉はまた今度」
「はい、いつでも」
なんでエルフを誘うかな……幼なじみなんですけど俺!ノア!俺がここにいるのに!!
「修行が終わったら俺が連れて行ってやるよ」
こんなエルフに負けてなるものか。
「よっし!温泉のためにも、修行がんばる!」
ノアは目の前のことに一直線になるタイプだ。だから、俺よりエルフを好きになったとかいうわけでは断じてない。絶対にそうだ――
この皇子は熱中しやすく、飽きやすい性質を持っている。
今は冒険者ノア・スタークと名乗っているが、それもいつ飽きたと言ってやめるか知れない。
そうなれば、このエルフなどおさらばなのだから、イライラして心を擦り減らすのはやめよう……
俺の名はウィル・クリスティオ。ルクス皇子の従者だが、今は身分を隠して冒険者をすることになった。
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声をかけようとする身の程知らずが行動に出る前に視線で制するのは、従者である俺の役割だった。
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「もちろん、喜んで!」
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「そうだった……ごめん、エトワール!温泉はまた今度」
「はい、いつでも」
なんでエルフを誘うかな……幼なじみなんですけど俺!ノア!俺がここにいるのに!!
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こんなエルフに負けてなるものか。
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