50 / 142
第4章 古代遺跡探索行
2. しあわせな夢
しおりを挟む
師にしばらく留守にしますとあいさつし、ウィルとエトワール、そしてジンとともに屋敷を出た。
「馬車で行こうか…」
「使者は至急って言ってたぞ」
「じゃあ、森の出口までは転移魔法で行こう。今日は馬車に乗りたい気分なんだ」
俺の気まぐれは今に始まったことじゃない――ウィルは慣れたもので、他のふたりも少し困ったように笑うだけだった。ふたりは人間より寿命が長いせいか、心が広いというか寛大な性質を持っていた。
街道で辻馬車をつかまえて乗り込む。窓辺の席に腰かけた。
風を感じながら、移り変わる景色に目を楽しませる。
「最近は移動と言えば転移魔法ばかり使っていましたが、こういうのもいいですね」
「だろー」
エトワールは病から回復し、すっかり元気になっていた。
よかった、ほんとうに……
馬車の規則正しいリズムに、俺は眠気を誘われ始めた。
「ノア、ここに横になってください」
エトワールは自身の太ももをポンポンと叩いて、俺を招いた。ひざまくら……?
「え…いいの?」
「ノア~♪俺のところに来なよ」
「ジンのは筋肉で堅そうだからいやだ……」
「ノア、俺の方に」
「ウィルだって似たようなもんだろ……」
「ぐぬぬぬ……」
「おじゃましまーす」
「どうぞ」
俺はエトワールの太ももに頭を預けた。エトワールもよく鍛えているから柔らかくはないが、適度な弾力があってちょうどいい。
「はあ……エトワールは、なんかいい匂いがするよね……森の匂い?」
「エルフですから」
「……そうだった」
(エルフですから、じゃねーよ!)
(このエルフ…常に持ってっちまうよね……)
馬車のゆれと、エトワールの膝枕から伝わるあたたかさの中で、俺はいつの間にか舟をこいでいた。
きょうは、にいさまがかえってくる日だ。
こわいおじさんやおじいさんがいる、がっこうってところに、ずっとお出かけしていて、ぼくとはすこししかあってくれない。
ちちうえは、おしごとがいそがしい。ぼくはとおくからみるだけ。
ははうえは、ぼくにちっともあってくれない。ずっとどこかでかくれんぼしている。
とってもさびしい…
ぼくはこんなにもにいさまにあいたいのに……にいさまはぼくにあいたくないの?
「ルクス!」
「にいさま!」
にいさまだ!にいさまだにいさまだ!
「ただいま、ルクス」
「おかえりなさい、にいさま」
ぼくがだっこしてとおもうと、にいさまはぼくをだっこしてくれた。
わーい!にいさまのおかお、きれいだなぁ……かみはキラキラしてる。
「いい子にしてたかい?」
「はい!ぼくとってもいいこにしていました!」
「ふふっ…ルクスは可愛いね」
「えへへ……」
「今日から夏休みなんだ。だから、毎日ルクスと遊べるよ」
「えーーー!ほんとですか、にいさま!」
にいさまはぼくのほっぺにちゅっ、としてくれた。
「ルクスのほっぺはとってもやわらいね」
ぼくも、おかえし!にいさまのほっぺにちゅっ、とする。
「これからまいにち、ちゅっ、ができるね、にいさま!」
「……ア………ノア、着きましたよ」
……ああ、覚めてしまった。
「……夢を見てたよ」
「ふふっ……どのような夢でしたか?」
「……なんだったかな……ふぁ…ごめん……もう忘れちゃった。ただ、とてもしあわせな夢だった。それだけは覚えてる……」
にいさま、会いたいよ……
「馬車で行こうか…」
「使者は至急って言ってたぞ」
「じゃあ、森の出口までは転移魔法で行こう。今日は馬車に乗りたい気分なんだ」
俺の気まぐれは今に始まったことじゃない――ウィルは慣れたもので、他のふたりも少し困ったように笑うだけだった。ふたりは人間より寿命が長いせいか、心が広いというか寛大な性質を持っていた。
街道で辻馬車をつかまえて乗り込む。窓辺の席に腰かけた。
風を感じながら、移り変わる景色に目を楽しませる。
「最近は移動と言えば転移魔法ばかり使っていましたが、こういうのもいいですね」
「だろー」
エトワールは病から回復し、すっかり元気になっていた。
よかった、ほんとうに……
馬車の規則正しいリズムに、俺は眠気を誘われ始めた。
「ノア、ここに横になってください」
エトワールは自身の太ももをポンポンと叩いて、俺を招いた。ひざまくら……?
「え…いいの?」
「ノア~♪俺のところに来なよ」
「ジンのは筋肉で堅そうだからいやだ……」
「ノア、俺の方に」
「ウィルだって似たようなもんだろ……」
「ぐぬぬぬ……」
「おじゃましまーす」
「どうぞ」
俺はエトワールの太ももに頭を預けた。エトワールもよく鍛えているから柔らかくはないが、適度な弾力があってちょうどいい。
「はあ……エトワールは、なんかいい匂いがするよね……森の匂い?」
「エルフですから」
「……そうだった」
(エルフですから、じゃねーよ!)
(このエルフ…常に持ってっちまうよね……)
馬車のゆれと、エトワールの膝枕から伝わるあたたかさの中で、俺はいつの間にか舟をこいでいた。
きょうは、にいさまがかえってくる日だ。
こわいおじさんやおじいさんがいる、がっこうってところに、ずっとお出かけしていて、ぼくとはすこししかあってくれない。
ちちうえは、おしごとがいそがしい。ぼくはとおくからみるだけ。
ははうえは、ぼくにちっともあってくれない。ずっとどこかでかくれんぼしている。
とってもさびしい…
ぼくはこんなにもにいさまにあいたいのに……にいさまはぼくにあいたくないの?
「ルクス!」
「にいさま!」
にいさまだ!にいさまだにいさまだ!
「ただいま、ルクス」
「おかえりなさい、にいさま」
ぼくがだっこしてとおもうと、にいさまはぼくをだっこしてくれた。
わーい!にいさまのおかお、きれいだなぁ……かみはキラキラしてる。
「いい子にしてたかい?」
「はい!ぼくとってもいいこにしていました!」
「ふふっ…ルクスは可愛いね」
「えへへ……」
「今日から夏休みなんだ。だから、毎日ルクスと遊べるよ」
「えーーー!ほんとですか、にいさま!」
にいさまはぼくのほっぺにちゅっ、としてくれた。
「ルクスのほっぺはとってもやわらいね」
ぼくも、おかえし!にいさまのほっぺにちゅっ、とする。
「これからまいにち、ちゅっ、ができるね、にいさま!」
「……ア………ノア、着きましたよ」
……ああ、覚めてしまった。
「……夢を見てたよ」
「ふふっ……どのような夢でしたか?」
「……なんだったかな……ふぁ…ごめん……もう忘れちゃった。ただ、とてもしあわせな夢だった。それだけは覚えてる……」
にいさま、会いたいよ……
13
あなたにおすすめの小説
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる