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第7章 命の代償
7. 魔族の治癒師
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「ひさしぶり、ミーカ」
「……何の用だ」
ミーカとジンが呼ぶ男性は、ジンと同じくらいの年代――四十路手前に見えた。髪は銀髪で、少し青みがかかっている。襟足は綺麗に揃えられ、前髪もきっちりセットされていた。怜悧な印象の整った顔立ちに眼鏡も相まって、前世で言うと真面目そうなサラリーマンのようだった。身長は俺より少し高いから175cmくらいだろうか。ゆったりとしたローブを着ている。
「仲間が呪いを受けちゃってさ。きみならなんとかできるかもって……ちょっと診てもらってもいい?」
深いため息を吐くミーカ。
「二百年ぶりに里に帰ってきたと思ったら厄介ごとか……」
「ご、ごめん……」
「……仕方ないから診てやるけど。入れよ」
「ありがとう!ミーカ」
警備担当の魔族が治癒師に尋ねた。
「ミーカ、ジンときみは知り合いなのか?」
「ああ、幼なじみだ。だからきみたちの警護は必要ないよ。ここまでどうもありがとう」
三人の魔族は持ち場へ戻って行った。
家の中は小さな診療所になっていて、診察スペースやベッドが並んでいた。
ニケが手伝いを申し出、ラウルスの腕の包帯が外された。
「これはひどいな……」
「どうにかできそう?」
「古代魔法の解呪なんて……悪いが私には手に余る……すまないな」
「そうか……」
「私は里の中でもまだ寿命の半分も生きていない若輩者だからな。里のじいさん連中なら何か手立てを思いつくかも……」
ミーカとニケがラウルスの治療を行う間、俺たち四人は里で情報収集をすることにした。
ミーカは魔法に造詣が深い人物のリストを作ってくれた。
「ミーカさん。申し遅れましたが、私はノアと申します。ラウルスのこと、くれぐれもよろしくお願いします」
「私には呪いの進行を遅らせたり、痛みを和らげる程度のことしかできないが……できるだけのことをやってみるよ」
「よろしくお願いします!種族も違うよそ者の俺たちを受け入れていただいて、とても助かりました。ありがとうございます」
「あいつの頼みだからな……」
「……え?」
声が小さくて、よく聞き取れなかった。
「なんでもない……急いだ方がいい。そろそろ日が暮れ始めるぞ」
二手に分かれ、リストを頼りに魔族たちを尋ねて回ったが、あまり有益な情報を得ることはできなかった。
里で素材屋を営む老店主に事態を説明し協力を求めるも、他の人たちと同じように、できることは何もないと返されてしまった。
だが、踵を返し店を出ようとしたところ、老人の呟きがふいに耳に入った。
「東の山に住んでいるドラゴンならば、あるいは……」
「ドラゴン?」
「東の山?ドラゴンなんていたっけ?」
「ドラゴンが東の山をねぐらにし始めたのは、ジン……おまえが里を出てしばらくしてからのことじゃからの」
ドラゴンか――…
この世界のドラゴンは何万年という人間には計り知れないほどの長い寿命を持ち、言葉を操る高い知能を持つ生き物だった。
超希少種で滅多に人間の前に姿を現さない存在であり、歴史を紐解いてみても、人間とドラゴンは常に敵対関係にあった。
「狂暴なドラゴンなんですか?」
「いや。ここ二百年はなんのトラブルも起きとらん。ときどき空を悠然と飛ぶ姿を見かけるくらいじゃ。気性の荒くないやつで助かっとるよ」
俺とジンは顔を見合わせた。
千年の時を生きる魔族のさらに何十倍もの寿命を持つドラゴン……未知の可能性に賭けてみる価値は、充分にありそうだ――
「……何の用だ」
ミーカとジンが呼ぶ男性は、ジンと同じくらいの年代――四十路手前に見えた。髪は銀髪で、少し青みがかかっている。襟足は綺麗に揃えられ、前髪もきっちりセットされていた。怜悧な印象の整った顔立ちに眼鏡も相まって、前世で言うと真面目そうなサラリーマンのようだった。身長は俺より少し高いから175cmくらいだろうか。ゆったりとしたローブを着ている。
「仲間が呪いを受けちゃってさ。きみならなんとかできるかもって……ちょっと診てもらってもいい?」
深いため息を吐くミーカ。
「二百年ぶりに里に帰ってきたと思ったら厄介ごとか……」
「ご、ごめん……」
「……仕方ないから診てやるけど。入れよ」
「ありがとう!ミーカ」
警備担当の魔族が治癒師に尋ねた。
「ミーカ、ジンときみは知り合いなのか?」
「ああ、幼なじみだ。だからきみたちの警護は必要ないよ。ここまでどうもありがとう」
三人の魔族は持ち場へ戻って行った。
家の中は小さな診療所になっていて、診察スペースやベッドが並んでいた。
ニケが手伝いを申し出、ラウルスの腕の包帯が外された。
「これはひどいな……」
「どうにかできそう?」
「古代魔法の解呪なんて……悪いが私には手に余る……すまないな」
「そうか……」
「私は里の中でもまだ寿命の半分も生きていない若輩者だからな。里のじいさん連中なら何か手立てを思いつくかも……」
ミーカとニケがラウルスの治療を行う間、俺たち四人は里で情報収集をすることにした。
ミーカは魔法に造詣が深い人物のリストを作ってくれた。
「ミーカさん。申し遅れましたが、私はノアと申します。ラウルスのこと、くれぐれもよろしくお願いします」
「私には呪いの進行を遅らせたり、痛みを和らげる程度のことしかできないが……できるだけのことをやってみるよ」
「よろしくお願いします!種族も違うよそ者の俺たちを受け入れていただいて、とても助かりました。ありがとうございます」
「あいつの頼みだからな……」
「……え?」
声が小さくて、よく聞き取れなかった。
「なんでもない……急いだ方がいい。そろそろ日が暮れ始めるぞ」
二手に分かれ、リストを頼りに魔族たちを尋ねて回ったが、あまり有益な情報を得ることはできなかった。
里で素材屋を営む老店主に事態を説明し協力を求めるも、他の人たちと同じように、できることは何もないと返されてしまった。
だが、踵を返し店を出ようとしたところ、老人の呟きがふいに耳に入った。
「東の山に住んでいるドラゴンならば、あるいは……」
「ドラゴン?」
「東の山?ドラゴンなんていたっけ?」
「ドラゴンが東の山をねぐらにし始めたのは、ジン……おまえが里を出てしばらくしてからのことじゃからの」
ドラゴンか――…
この世界のドラゴンは何万年という人間には計り知れないほどの長い寿命を持ち、言葉を操る高い知能を持つ生き物だった。
超希少種で滅多に人間の前に姿を現さない存在であり、歴史を紐解いてみても、人間とドラゴンは常に敵対関係にあった。
「狂暴なドラゴンなんですか?」
「いや。ここ二百年はなんのトラブルも起きとらん。ときどき空を悠然と飛ぶ姿を見かけるくらいじゃ。気性の荒くないやつで助かっとるよ」
俺とジンは顔を見合わせた。
千年の時を生きる魔族のさらに何十倍もの寿命を持つドラゴン……未知の可能性に賭けてみる価値は、充分にありそうだ――
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