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第7章 命の代償
9. 東の山へ
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翌日、宿を出て里の出入り口に向かう道すがら、ジンを呼び止める声があった。
「おはよう、ミーカ。どうしたんだ?」
「おはよう……これ、使ってよ」
ミーカがジンに手渡したのは、転移の魔法陣が記された紙だった。
「東の山までのと、帰り用に里までのと」
「ありがとう!助かるよ」
「東の山はドラゴンのせいでモンスターは少ないって聞くけど、ジンはそそっかしいところがあるから……ぜったい気を抜くなよ……!」
「はーい!行ってきまーす」
「ぶ、無事に帰ってくるんだぞっ!」
ミーカのおかげで俺たちは移動に時間を取られることはなく、転移魔法で東の山へと到着したのだった。
「ミーカってもしかして……」
ニケが呟いた。
「もしかしてだよな……ジン?」
「ん――?なに?」
「ミーカとジンって、ほんとにただの幼なじみ?」
「そうだけど……えっ……なんなの?」
「う~ん……」
「そんなかんじかあ~」
ジンはそそっかしい上……鈍感なところがあるからなあ……
「ちょっと、ふたりして何なの?俺にもわかるように説明してよ」
「……まあ、今はラウルスの怪我を治すの優先だから。ジンの件は落ち着いたらでいいか……」
「うん……何にもしないほうがいいかもしれないしね」
「ちょっと~!もしかして俺、いまどきの若い子の会話についてけてないかんじ~!?俺も仲間に入れてよう~」
俺とニケは顔を見合わせて、ため息を吐いた。
気を取り直して、俺たちはドラゴンの住む山へと登り始めた。なかなかに険しい道なき道を進まなければならなかったので、ミーカの言っていたとおり、ほとんどモンスターがいないのがありがたい。
先頭を進んでいたエトワールが足を止めた。
「みなさん……感じますか?」
先にあるのは洞窟――鍾乳洞だろうか?
ラウルスが応える。
「ああ……近いな。強大な魔力を感じる」
この先にドラゴンが――俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
「人間のものともモンスターのものとも違う、特異な気配をこの先に感じます。みなさん、警戒を怠らずに――」
俺たちは恐る恐ると洞窟に足を踏み入れた。透き通った水溜まりが多く点在しており、岩のすき間から漏れる光を受けて、洞窟内は青い光で満ちていた。
「綺麗だな……」
「うん……神秘的だね」
『人間たちよ……』
突然、頭の中に低い唸り声のような声が響いた。
『なにゆえ――我が寝床に足を踏み入れた?』
強い風を感じ、目の前に大きな影が降り立つ。
それは、全身を白い鱗に覆われている――大きな翼を広げたドラゴンが、俺たちの前に現れたのだった。
「おはよう、ミーカ。どうしたんだ?」
「おはよう……これ、使ってよ」
ミーカがジンに手渡したのは、転移の魔法陣が記された紙だった。
「東の山までのと、帰り用に里までのと」
「ありがとう!助かるよ」
「東の山はドラゴンのせいでモンスターは少ないって聞くけど、ジンはそそっかしいところがあるから……ぜったい気を抜くなよ……!」
「はーい!行ってきまーす」
「ぶ、無事に帰ってくるんだぞっ!」
ミーカのおかげで俺たちは移動に時間を取られることはなく、転移魔法で東の山へと到着したのだった。
「ミーカってもしかして……」
ニケが呟いた。
「もしかしてだよな……ジン?」
「ん――?なに?」
「ミーカとジンって、ほんとにただの幼なじみ?」
「そうだけど……えっ……なんなの?」
「う~ん……」
「そんなかんじかあ~」
ジンはそそっかしい上……鈍感なところがあるからなあ……
「ちょっと、ふたりして何なの?俺にもわかるように説明してよ」
「……まあ、今はラウルスの怪我を治すの優先だから。ジンの件は落ち着いたらでいいか……」
「うん……何にもしないほうがいいかもしれないしね」
「ちょっと~!もしかして俺、いまどきの若い子の会話についてけてないかんじ~!?俺も仲間に入れてよう~」
俺とニケは顔を見合わせて、ため息を吐いた。
気を取り直して、俺たちはドラゴンの住む山へと登り始めた。なかなかに険しい道なき道を進まなければならなかったので、ミーカの言っていたとおり、ほとんどモンスターがいないのがありがたい。
先頭を進んでいたエトワールが足を止めた。
「みなさん……感じますか?」
先にあるのは洞窟――鍾乳洞だろうか?
ラウルスが応える。
「ああ……近いな。強大な魔力を感じる」
この先にドラゴンが――俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
「人間のものともモンスターのものとも違う、特異な気配をこの先に感じます。みなさん、警戒を怠らずに――」
俺たちは恐る恐ると洞窟に足を踏み入れた。透き通った水溜まりが多く点在しており、岩のすき間から漏れる光を受けて、洞窟内は青い光で満ちていた。
「綺麗だな……」
「うん……神秘的だね」
『人間たちよ……』
突然、頭の中に低い唸り声のような声が響いた。
『なにゆえ――我が寝床に足を踏み入れた?』
強い風を感じ、目の前に大きな影が降り立つ。
それは、全身を白い鱗に覆われている――大きな翼を広げたドラゴンが、俺たちの前に現れたのだった。
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