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第7章 命の代償
18. 決断
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『ノア――わからないのか?今おまえが死ねば、面白いことになるじゃないか。おまえの兄、グラヴィスはお前の死を嘆き悲しみ、荒れ狂うだろう。ただの魔獣に殺されるよりも、事は複雑だ。おまえは自ら我に命を捧げたのだから――友人を助けてくれた恩人を助けるために。こんな事態になったのは、グラヴィス自身が招いたことでもある。あいつがおまえを死に至らしめた原因が己自身にあると悟ったときに、どんな行動に出るのか……我は知りたいのだ。ほうら、おもしろいことが起きそうだろう?』
頭の中で捲し立てるような声が響く。
どんな言葉もこの男には届かないことだけは、わかってしまった。
「……おまえの言うとおりにすれば、ほんとうにラウルスを助けてくれるんだな?」
『我が名はサナトリオルム。この名にかけて約束しよう、ノア』
何としても、ラウルスを助けたい。
己が身を犠牲にしてまで、俺と兄上の絆を守ろうとした人を、見殺しにすることなんてできない。
何と引き換えにしても、それだけはできない――
仲間たちの焦った声が耳に届き始める……
意識は現実世界へと引き戻された。
サナトリオルムと数分間は話していたはずだが、魔法の作用による影響を受けたせいか、実際にはほとんど時間が経っていないようだ。
薬を飲んだせいで症状が悪化してしまったラウルスをみな、成す術なく取り囲んでいる。
「ラウルス――安心して。あのドラゴンがあなたを助けると約束したから」
「ノ…ア……?」
「みんな……お別れだ」
「ノア?何を言ってるんだ?」
「ウィル……、エトワール……、ジン……、ニケ……短い間だったけど、みんなと仲間になれて、いっしょに冒険できてよかったよ。ほんとうに、楽しかった」
「ノア……私の命にあなたのものほどの価値はありません。どうか、捨て置いてください…!」
ラウルス……あなたが兄上を弟のように想っているのなら、俺もあなたの弟だよね……?もっと甘えたかったな……
「ノア……?こんなときに冗談なんて……おねがい、冗談って言って?」
ニケとは短い期間でいろいろなことがあって……ほうっておけない可愛い弟ができたみたいだった……
「はあ!?お別れってどういうことだ!意味わかんないよっ!!」
ジン……出会いは最悪だったけれど、いつのまにか頼れる気さくなお兄さんのような人になってた……
「あなたに命を救われた恩を、まだ返せていません!ダメですよ!ノア!!」
エトワール……きみがいなかったら、俺は冒険者になれていなかったかもしれない。ぜんぶ、きみのおかげだ……
「ノア……俺たち……これからもずっと一緒のはずだろ……?」
いつもそばにいてくれたウィル……もう、会えないなんて……
だめだ……ちっとも堪えられない。
涙が溢れ、頬を濡らしていた。
兄上――お別れが言えなかったこと、心残りです……どうか、お元気で――…
「俺は元々、この世界の人間じゃない。ルクスが高熱を出して生死の境をさまよっていたとき、他の世界で一度死んだ俺は、こちらの世界に魂だけ呼び寄せられたんだ……。最近わかったんだけど、実はルクスは俺の中で眠っていただけだった。……ウィル、ラウルス、今まで黙っててごめん」
ウィルとラウルスはどんな表情をしているのだろうか……
「だから、俺はいなくなっても大丈夫なんだ」
視界はかすみ、焦点を結ばなくなった。音も次第に遠くなり……
最後に、これだけは伝えたい――
「みんな……ありがとう。俺は、しあわせだったよ……」
さようなら――
第7章・完
頭の中で捲し立てるような声が響く。
どんな言葉もこの男には届かないことだけは、わかってしまった。
「……おまえの言うとおりにすれば、ほんとうにラウルスを助けてくれるんだな?」
『我が名はサナトリオルム。この名にかけて約束しよう、ノア』
何としても、ラウルスを助けたい。
己が身を犠牲にしてまで、俺と兄上の絆を守ろうとした人を、見殺しにすることなんてできない。
何と引き換えにしても、それだけはできない――
仲間たちの焦った声が耳に届き始める……
意識は現実世界へと引き戻された。
サナトリオルムと数分間は話していたはずだが、魔法の作用による影響を受けたせいか、実際にはほとんど時間が経っていないようだ。
薬を飲んだせいで症状が悪化してしまったラウルスをみな、成す術なく取り囲んでいる。
「ラウルス――安心して。あのドラゴンがあなたを助けると約束したから」
「ノ…ア……?」
「みんな……お別れだ」
「ノア?何を言ってるんだ?」
「ウィル……、エトワール……、ジン……、ニケ……短い間だったけど、みんなと仲間になれて、いっしょに冒険できてよかったよ。ほんとうに、楽しかった」
「ノア……私の命にあなたのものほどの価値はありません。どうか、捨て置いてください…!」
ラウルス……あなたが兄上を弟のように想っているのなら、俺もあなたの弟だよね……?もっと甘えたかったな……
「ノア……?こんなときに冗談なんて……おねがい、冗談って言って?」
ニケとは短い期間でいろいろなことがあって……ほうっておけない可愛い弟ができたみたいだった……
「はあ!?お別れってどういうことだ!意味わかんないよっ!!」
ジン……出会いは最悪だったけれど、いつのまにか頼れる気さくなお兄さんのような人になってた……
「あなたに命を救われた恩を、まだ返せていません!ダメですよ!ノア!!」
エトワール……きみがいなかったら、俺は冒険者になれていなかったかもしれない。ぜんぶ、きみのおかげだ……
「ノア……俺たち……これからもずっと一緒のはずだろ……?」
いつもそばにいてくれたウィル……もう、会えないなんて……
だめだ……ちっとも堪えられない。
涙が溢れ、頬を濡らしていた。
兄上――お別れが言えなかったこと、心残りです……どうか、お元気で――…
「俺は元々、この世界の人間じゃない。ルクスが高熱を出して生死の境をさまよっていたとき、他の世界で一度死んだ俺は、こちらの世界に魂だけ呼び寄せられたんだ……。最近わかったんだけど、実はルクスは俺の中で眠っていただけだった。……ウィル、ラウルス、今まで黙っててごめん」
ウィルとラウルスはどんな表情をしているのだろうか……
「だから、俺はいなくなっても大丈夫なんだ」
視界はかすみ、焦点を結ばなくなった。音も次第に遠くなり……
最後に、これだけは伝えたい――
「みんな……ありがとう。俺は、しあわせだったよ……」
さようなら――
第7章・完
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