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第8章 呪われた世界
9. 九年前
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ベルムデウス家の所蔵するサナトリオルムに関する手記は先に上げたひとつだけではない。
もう一つの手記は、第27代当主イグニス・ベルムデウスのものだ。
彼は黒魔術に造詣が深く、サナトリオルムと関わりを持ったらしい。
だが、あまり詳しいことはわかっていない。
その手記も大半のページが破り取られていたからだ。
私は今から十二年前、十八のときにその手記を父上から見せていただいた。その手記の内容は大変興味深く、強く印象に残った。
それから三年後――
私は何よりも大切な弟を失いかけた。
あのとき、帝都中の治癒師が匙を投げてしまっていた。
ルクスの命は朝までもたない――と……
私は父上に訴えた。
サナトリオルムならば何とかできるかもしれない。
彼を呼び出す方法は、イグニスの手記に記されていた。家が滅亡の危機を迎えていない限りは、絶対に試すなとの注意書きとともに。
祖先たちよ……申し訳ありません。私は、なんとしても弟を救いたいのです――
父上と私は城の地下で手記のとおりに儀式を行い、サナトリオルムは私たちの呼び出しに応え、望みを叶えた。
サナトリオルムはルクスらが見たのと同じく、漆黒のローブに身を包み、フードを目深に被り顔を隠していた。
彼はベルムデウス家の長年の貢献には感謝している、これからもよろしく頼む――と告げ、現れたときと同じく、煙のように消え去った。
九年前のあの日、サナトリオルムがどうやって治癒師たちがみな匙を投げたルクスを回復させたのか――長年疑問に思っていたのだが、今やその謎も解けた。
サナトリオルムは、異世界から召喚したノアの魂をおまえのからだの中に入れたのだ。私と父の願いを叶えるため、ルクスを助けるために。
ルクスが病から回復したとき、私はルクスの魂が特別なものに変わっていることに気づいていた。だがそれは、サナトリオルムが死の淵から救ったときに使った何らかの魔法の影響を受けたせいだと思っていたのだが、それは私の思い違いだった。
ノアの魂は、この世界の誰とも違っていている。そのために、ルクス――ノアの魂はおまえを残しながら、おまえのからだの中に入ることができた。
この世界の人間の魂を別のからだに入れることは、今までにも試みられなかったわけではない。
過去に多くの魔術師が試みたという記録が残ってはいるが、成功例は非常に少ない。別のからだに入った魂は数十秒、長くても一時間も経たずに外に弾き出されてしまう……とのことだ。
それゆえにサナトリオルムは、異世界からノアの魂を召喚した。
「ルクス――ノアのおかげでおまえはこの世に留まることができ、病により衰弱した魂を休ませ、回復することができた。今、おまえが生きているのはノアのおかげなのだ……」
もう一つの手記は、第27代当主イグニス・ベルムデウスのものだ。
彼は黒魔術に造詣が深く、サナトリオルムと関わりを持ったらしい。
だが、あまり詳しいことはわかっていない。
その手記も大半のページが破り取られていたからだ。
私は今から十二年前、十八のときにその手記を父上から見せていただいた。その手記の内容は大変興味深く、強く印象に残った。
それから三年後――
私は何よりも大切な弟を失いかけた。
あのとき、帝都中の治癒師が匙を投げてしまっていた。
ルクスの命は朝までもたない――と……
私は父上に訴えた。
サナトリオルムならば何とかできるかもしれない。
彼を呼び出す方法は、イグニスの手記に記されていた。家が滅亡の危機を迎えていない限りは、絶対に試すなとの注意書きとともに。
祖先たちよ……申し訳ありません。私は、なんとしても弟を救いたいのです――
父上と私は城の地下で手記のとおりに儀式を行い、サナトリオルムは私たちの呼び出しに応え、望みを叶えた。
サナトリオルムはルクスらが見たのと同じく、漆黒のローブに身を包み、フードを目深に被り顔を隠していた。
彼はベルムデウス家の長年の貢献には感謝している、これからもよろしく頼む――と告げ、現れたときと同じく、煙のように消え去った。
九年前のあの日、サナトリオルムがどうやって治癒師たちがみな匙を投げたルクスを回復させたのか――長年疑問に思っていたのだが、今やその謎も解けた。
サナトリオルムは、異世界から召喚したノアの魂をおまえのからだの中に入れたのだ。私と父の願いを叶えるため、ルクスを助けるために。
ルクスが病から回復したとき、私はルクスの魂が特別なものに変わっていることに気づいていた。だがそれは、サナトリオルムが死の淵から救ったときに使った何らかの魔法の影響を受けたせいだと思っていたのだが、それは私の思い違いだった。
ノアの魂は、この世界の誰とも違っていている。そのために、ルクス――ノアの魂はおまえを残しながら、おまえのからだの中に入ることができた。
この世界の人間の魂を別のからだに入れることは、今までにも試みられなかったわけではない。
過去に多くの魔術師が試みたという記録が残ってはいるが、成功例は非常に少ない。別のからだに入った魂は数十秒、長くても一時間も経たずに外に弾き出されてしまう……とのことだ。
それゆえにサナトリオルムは、異世界からノアの魂を召喚した。
「ルクス――ノアのおかげでおまえはこの世に留まることができ、病により衰弱した魂を休ませ、回復することができた。今、おまえが生きているのはノアのおかげなのだ……」
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