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第一章その1 ~始めよう日本奪還~ 少年たちの苦難編
戦場のルーキー2
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「う、うわああああっ!!!???」
先輩の叫び声が響き渡る。
同時に周囲の建物からも、青紫の何かが一斉に飛び出し、彼女の機体に襲いかかった。
機体は振り払おうと抵抗するが、相手は次々物陰から飛び出してくる。
「宇部、助けて! 助けてよ!」
先輩の叫びで、少女は反射的に銃を構えた。
だが敵はぴったり機体に密着している。
(先輩の機体、防御機能が壊れてるんだ。撃ったら先輩も死んじゃう……!)
助けを求める先輩の声は、次第に絶叫に変わっていく。モニターにノイズが走り、装甲を叩きつける音が、雷のように耳を叩いた。
やがて装甲がこじ開けられたのか、先輩が上を見た瞬間。モニターに無数の手が映り、彼女の髪や腕を掴んだ。
「いや、いやっ、いやあああああ!!」
見た事も無い顔で泣き叫ぶ先輩は、そのまま上に引っ張り上げられ……モニターには赤い液体がぶちまけられた。
最早何も映さなくなった画面をよそに、何かを噛み砕く音だけが聞こえてくる。
「……あ、……あっ、」
少女は温かい液体が滴っているのを感じた。いつの間にか失禁していたのだ。
さっきまで勇気付けてくれた先輩は、あっけなく血みどろの肉片になって喰われてしまった。
そして次は自分なのだ。
そう考えた途端、頭は思考を放棄して、横隔膜が痙攣していた。
呼吸は浅く、いくら息を吸おうとしても肺が膨らまない。それなのに心臓は小動物みたいに素早い拍動を続けている。
やがて先輩の機体に張り付いていた怪物が、ゆっくりこちらに振り返った。
頭部の1つ目を見開くと、腕を振り回して何かを投げつけてくる。
どしんと衝突音がして、機体のモニターにべっとりと赤い手形がついた。
それを皮切りに、無数の青紫の物体が、少女の機体に殺到してきた。
少女は悲鳴を上げて機体を動かした。張り付いた敵を振り落とそうとしたのだが、敵は簡単には離れてくれない。
「そ、そうだ、電磁シールド!」
属性添加機を作動させると、装甲表面に青い光が満ちていく。
その光に触れた途端、張り付いた青紫の物体は、くぐもった悲鳴を上げて離れていった。
「や、やった、助かった……!」
だが安堵したのも束の間。
突然前方の建物が吹き飛んだかと思うと、新たな巨体が躍り出たのだ。
3階建ての家ほどもあるだろうか。全身を青紫の皮膚で覆われ、所々に極彩色の組織が露出している。
一見して目のない頭部は、兜のような白い硬皮に包まれ、大きく開いた口腔には、人と同じ形の歯列が幾重にも並んでいた。
なで肩から続く2本の腕は、地に届くほどに長く巨大で、指先には鉤状になった黄色の爪が、猛獣のそれよりも禍々しく並んでいた。
「お、大型のは、来ないって、先輩……」
彼女が切れ切れに言うや否や、餓霊が大口を開け、耳も割れんばかりの怒声で咆えた。
少女は悲鳴を上げて銃を乱射するが、餓霊の眼前に赤い幾何学模様が浮かび、弾は全てはじかれてしまう。
やがて相手が身を屈めたかと思うと、少女の全身に衝撃が走った。突進して頭突きされたのだ。
「!!!!!!!」
少女の機体は大きく飛ばされ、背から地面に倒れこんだ。
機体の損傷を示すウインドウが次々表示され、警告音が鳴り響いている。
少女は尚も射撃するが、座り撃ちとも呼べぬ不安定な体勢のため、着弾は上下左右にぶれてしまう。
銃の属性添加機は電磁過負荷で明滅し、出力が大幅に落ちていった。
闇雲な乱射は添加機の消耗を招く……理屈で知っていたものの、いざ実戦になると、トリガーを握る手が言う事を聞いてくれない。
弾丸! 武器! 相手に向けろ! 身を守れ!
恐怖が理性を鷲掴みにし、そんな原始的な思考しか出来なくなっていたからだ。
属性添加を前提とし、小型軽量化された弾丸は装弾数も多かったが、モニターの残弾表示はみるみるうちに減少していく。
餓霊はゆっくりこちらに迫り、やがて片手を振りかぶった。
だが次の瞬間、カーン!と乾いた衝撃音と共に、餓霊の首が大きく傾いだ。青い光が飛来して、敵を横から叩いたのだ。
餓霊がその方向に向き直った時、長い剣のようなものが敵の頭を貫いていた。
先輩の叫び声が響き渡る。
同時に周囲の建物からも、青紫の何かが一斉に飛び出し、彼女の機体に襲いかかった。
機体は振り払おうと抵抗するが、相手は次々物陰から飛び出してくる。
「宇部、助けて! 助けてよ!」
先輩の叫びで、少女は反射的に銃を構えた。
だが敵はぴったり機体に密着している。
(先輩の機体、防御機能が壊れてるんだ。撃ったら先輩も死んじゃう……!)
助けを求める先輩の声は、次第に絶叫に変わっていく。モニターにノイズが走り、装甲を叩きつける音が、雷のように耳を叩いた。
やがて装甲がこじ開けられたのか、先輩が上を見た瞬間。モニターに無数の手が映り、彼女の髪や腕を掴んだ。
「いや、いやっ、いやあああああ!!」
見た事も無い顔で泣き叫ぶ先輩は、そのまま上に引っ張り上げられ……モニターには赤い液体がぶちまけられた。
最早何も映さなくなった画面をよそに、何かを噛み砕く音だけが聞こえてくる。
「……あ、……あっ、」
少女は温かい液体が滴っているのを感じた。いつの間にか失禁していたのだ。
さっきまで勇気付けてくれた先輩は、あっけなく血みどろの肉片になって喰われてしまった。
そして次は自分なのだ。
そう考えた途端、頭は思考を放棄して、横隔膜が痙攣していた。
呼吸は浅く、いくら息を吸おうとしても肺が膨らまない。それなのに心臓は小動物みたいに素早い拍動を続けている。
やがて先輩の機体に張り付いていた怪物が、ゆっくりこちらに振り返った。
頭部の1つ目を見開くと、腕を振り回して何かを投げつけてくる。
どしんと衝突音がして、機体のモニターにべっとりと赤い手形がついた。
それを皮切りに、無数の青紫の物体が、少女の機体に殺到してきた。
少女は悲鳴を上げて機体を動かした。張り付いた敵を振り落とそうとしたのだが、敵は簡単には離れてくれない。
「そ、そうだ、電磁シールド!」
属性添加機を作動させると、装甲表面に青い光が満ちていく。
その光に触れた途端、張り付いた青紫の物体は、くぐもった悲鳴を上げて離れていった。
「や、やった、助かった……!」
だが安堵したのも束の間。
突然前方の建物が吹き飛んだかと思うと、新たな巨体が躍り出たのだ。
3階建ての家ほどもあるだろうか。全身を青紫の皮膚で覆われ、所々に極彩色の組織が露出している。
一見して目のない頭部は、兜のような白い硬皮に包まれ、大きく開いた口腔には、人と同じ形の歯列が幾重にも並んでいた。
なで肩から続く2本の腕は、地に届くほどに長く巨大で、指先には鉤状になった黄色の爪が、猛獣のそれよりも禍々しく並んでいた。
「お、大型のは、来ないって、先輩……」
彼女が切れ切れに言うや否や、餓霊が大口を開け、耳も割れんばかりの怒声で咆えた。
少女は悲鳴を上げて銃を乱射するが、餓霊の眼前に赤い幾何学模様が浮かび、弾は全てはじかれてしまう。
やがて相手が身を屈めたかと思うと、少女の全身に衝撃が走った。突進して頭突きされたのだ。
「!!!!!!!」
少女の機体は大きく飛ばされ、背から地面に倒れこんだ。
機体の損傷を示すウインドウが次々表示され、警告音が鳴り響いている。
少女は尚も射撃するが、座り撃ちとも呼べぬ不安定な体勢のため、着弾は上下左右にぶれてしまう。
銃の属性添加機は電磁過負荷で明滅し、出力が大幅に落ちていった。
闇雲な乱射は添加機の消耗を招く……理屈で知っていたものの、いざ実戦になると、トリガーを握る手が言う事を聞いてくれない。
弾丸! 武器! 相手に向けろ! 身を守れ!
恐怖が理性を鷲掴みにし、そんな原始的な思考しか出来なくなっていたからだ。
属性添加を前提とし、小型軽量化された弾丸は装弾数も多かったが、モニターの残弾表示はみるみるうちに減少していく。
餓霊はゆっくりこちらに迫り、やがて片手を振りかぶった。
だが次の瞬間、カーン!と乾いた衝撃音と共に、餓霊の首が大きく傾いだ。青い光が飛来して、敵を横から叩いたのだ。
餓霊がその方向に向き直った時、長い剣のようなものが敵の頭を貫いていた。
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