新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART1 ~この恋、日本を守ります!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第一章その2 ~黒鷹、私よ!~ あなたに届けのモウ・アピール編

変態ハウスと呼ばれた場所

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 階段を上ってドアを開けると、誠の作業場へと辿りつく。構造的には中二階であり、格納庫の隅をガルバリウムの板で囲っただけの空間である。

 機材から発せられる青いLED光があちこちに輝き、配線収納溝フロアダクトから溢れたコードは、山肌を這う木の根がごとく室内を駆け巡っている。

 誠は奥のデスクに座ると、機体のレコーダー映像を再生し、データをひたすら整理していった。

 戦闘した地域における、敵軍の数、種類、攻撃や行動のパターン、弱点ウィークポイントなどを、船団の情報サイトに公開しているのだ。

 誠のこうした情報は、特に新米兵に重宝されているという。初めて出会う敵でも、あらかじめ情報を見ておけば、何をどうすればいいかが分かるからだ。

 ちなみにこの中二階は、難波に『変態ハウス』と呼ばれていたが、室内には誠しかいないため、特に変態などは見当たらない。

 手馴れた作業のため、データ整理はすぐに終わった。

「…………よし、と」

 誠は椅子から立ち上がると、防護手袋ガードグラブを外した。

 左手の甲には、まるで青い宝石のような、直径数センチほどの細胞片……いわゆる逆鱗が輝いていた。かの祭神・ガレオンの細胞を培養し、人体に移植したものである。

 人の思考をこの細胞が読み取り、それを機体に送る事で、手や言葉を使って機体を操作するより、遥かに素早い行動が出来るわけだ。

 誠は冷凍庫から円筒形のケースを取り出す。中には赤い細胞片が入っていたが、これは元々、雪菜のものであった。

 かつて雪菜が魔王ディアヌスと対峙した際、激しい邪気を受けて性質を一変させた逆鱗の細胞片を、病院から譲り受けていたのだ。雪菜が聞いたら、さすがに気持ち悪がられるだろうが、それでも誠には目的があった。

 誠は属性添加カッターを使い、その細胞からごく薄い一片を切り取ると、ピンセットでガラスシャーレに乗せた。

 細胞は赤く明滅し、湯気を立てて自らを解凍していく。

 そもそも竜芽細胞ドラゴンセルは、それぞれ固有の電磁パターンを持ち、その作用で自己を増殖・修復させるし、生命活動の全てに電磁式……いわゆる魔法を必要としていた。

 逆に言えば、細胞が持つ電磁パターンを解析し、それを阻害出来れば、細胞は死滅するというわけだ。

 誠は呼吸を整えると、椅子に座り、左手を計測機器にセットした。暴れても腕が抜けないよう、ベルトで左腕を固定し、解凍した赤い細胞を己の腕に乗せたのだ。

「~~~~っっっ!!!!!!」

 どんなに我慢しても、呼気が肺から漏れ出てくる。細胞は異常な蒸気を上げて腕に食い込み、誠自身の逆鱗の細胞は、侵略者と戦うかのように明滅している。

 ……やがて赤い細胞が壊死してはがれ落ちた時、計器から小さなビープ音が発せられた。

 誠は身を起こしてモニターの測定結果を確認した。

 UNKNOWN PATTERN CODE ; 00158

 未知の電磁パターン……つまり解析は失敗だった。

 誠は大きく息をつき、引きずるように身を起こした。

 もう時間がない。

 一刻も早く、あの人を喰らう悪魔の細胞を引き剥がさなければならない。

 せめてもっと設備があれば、解析を依頼できる研究機関があれば……
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