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第一章その3 ~とうとう逢えたわ!~ 鶴ちゃんの快進撃編
こちら夢スタジオ
しおりを挟むその少女は、長らく希望を忘れていた。
早くに親を亡くし、幸い(?)にして人型重機のパイロット適性も無かったので、日々へとへとになって働き、生きていくのに必死だった。
少女の暮らす城砦都市は、もう一週間近く断続的な攻撃を受け続けていた。
何度となく血に飢えた餓霊が押し寄せ、いつまで守り切れるかも分からない。
だが少女はある日、不思議な夢を見た。不思議と言うとオブラードに包みすぎなので、端的に言うと変な夢だ。
ニュース番組のようなスタジオから、鎧姿の女の子が語りかけてくるのだ。
テーブルにはライオンのような、はたまた子犬のような生き物がちょこんと座っている。
あのモフモフした鬣は触ってみたいと思いつつ、少女は夢を見続ける。
「ニュースをお伝えします。第5船団に降臨した聖女・鶴ちゃんの活躍により、餓霊の軍勢は次々撃退されています。解放された現地から、モウちゃん?」
画面が切り替わると、メガネをかけた賢そうな牛が映し出された。
「こちら特派員の牛太郎です。姫様とその部下達の活躍により、悪鬼どもは次々逃げ出しております。モウ最高です!」
画面はどんどん切り替わり、同じように小さな生き物がレポーターとして受け答えしていくのだが……ちゃっかり温泉に浸かっていたり、お城の屋根に上っていたりと、普通に観光しているように見えるのは気のせいだろうか。
画面は再び少女の映像に戻った。
「信じられない活躍です。強く賢く、おまけに可愛い! 聞くところによりますと、生後百日で喋り、幼い頃から大層かしこかったと言うことですきゃあ!」
「だから、話を盛るなと言っておろうがっ!」
長身の女性が怒鳴り込んできて、少女は風のように逃げ去って行く。
テーブルにいた子犬のような生き物は、手を振ってこちらに語りかけた。
「ちょっとグダグダになったけど、日本はきっと立ち直るよ。必ず助けに行くから、希望を捨てないでね!」
映像はそこで砂嵐になり、少女は荒い呼吸で目を覚ました。
「……な、何なのよ? 変な夢……」
少女は額の汗を拭い、最初はその夢を忘れようとした。だが妙な事に、同じ夢が毎日毎日続くのだ。
さすがに気味悪くなって、少女は携帯端末から電子掲示板に書き込んでみた。
『変な夢を見た人いませんか? 鎧姿の女の子が出てきます』
数日が経過した時、掲示板は書き込みで溢れていた。『見た見た!』『牛可愛い』『私はキツネ派』『あのワンちゃんモフモフしたい』などなど……
こうなると直接尋ねる勇気も出てきて、少女は周囲の若者達に聞いてみるのだ。
「えっ、お前も見たの?」
「うそ、私も!」
「俺も!」
驚くべき事に、かなりの人が同じ夢を見ていたらしい。
「ていうか夢じゃないだろ。その町、解放されたって言ってたじゃん」
「えっ!? 囲まれてたんじゃなかったのかよ」
「そこってここからあんまり離れてないだろ。まだ諦めるのは早いかもな」
先日まで絶望に喘いでいた若者達は、興奮して口々に語り合っている。
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