怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

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生徒会勧誘編

後半戦①

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 後半戦キックオフ、俺達の攻撃から始まった。

「ん?」

 相手のポジションが変わっていた。
 前橋のところにいたのは宮本と呼ばれる人ではなく、山田がいた。
 前橋を封じに来たか?

 俺は神奈月先輩に一度ボールを預けてから、前へ移動した。
 神奈月先輩がキョロキョロと受け手を探すも、足が止まってしまった。

「……なるほど」

 前橋に山田がピッタリマーク、俺には堂大寺会長と宮本がピッタリとマークしているせいで、ボールを出すところがないのだ。
 織田という人が神奈月先輩にゆっくり近づいていくおかげで新波先輩がフリーだが、恐らくそのパスを堂大寺会長が狙っている。
 パスを出せば取られてしまうはずだ。

「俺か前橋を完全に封じる作戦ですか」

「あっちの女には山田を当てときゃ何とかなるからな。遠慮なくやらしてもらうぜ」

 流石に前橋と山田では、山田の方が上手うわてだろう。

 俺が少しポジションを下げる動きを見せるも、二人はしっかり付いてくる。
 急なギアチェンジができない以上、振り切るのは難しいか。

「どうするべきか……」

 一瞬の動き出しを見せた前橋に合わせるように神奈月先輩がパスを出した。
 が、山田がなんなくカットした。

「あっ!」

「いただき!」

 そのままゴールに駆け上がり、神奈月先輩をかわしてゴールを決められた。

「よっしゃあ! よくやったぜ山田ぁ!」

「上手くハマりましたね」

 簡単にしてやられた。
 未だ勝っているとはいえ、点差は1点。
 流れでいつ逆転されてもおかしくない。

「……ごめんなさい未来さん」

「私が雑なパスを出してしまった。どうやら向こうはなりふり構わずって感じで来たみたいだね」

「今のままだと、今後も攻撃は厳しくなりますね」

「私、何かした方がいいですかね~」

「ニーナは…………今のままで大丈夫」

「そうですか~?」

「高坂君、何か策はないかい?」

 神奈月先輩が聞いてきた。
 俺は既にいくつか対抗策を考えていた。
 その中でも実行できるのは恐らく二つぐらいだろう。

「一応、二つほど考えてありますよ」

「お、流石だね」

「一つは、大鳥先輩にかなり負担がかかる作戦ですけど……」

「え? 僕?」

 ────────────

 ──────

 ───

 改めて俺達のキックオフでスタート。
 山田が寄せてくるのを見て俺は再び神奈月先輩にボールを戻した。
 相手も先程と同じようなマークの付き方で対応してくる。

「どうする気だ? どこにもパスを出すところなんかねーぜ?」

 ニヤリとしながら堂大寺会長が言ってきた。

「いや、ありますよ」

「なに?」

 神奈月先輩はくるりと反転すると大鳥先輩へパスを出した。

「あ」

「……なるほど」

 大鳥先輩が少しづつボールを運んでくる。
 神奈月先輩はフリーになり、俺の近くまで上がってきた。

「キーパーが上がってくんのかよ!」

「大鳥君、ほら頑張って!」

「うわああああ怖ええええええ!」

 大鳥先輩がたどたどしくボールを持っていくのに対し、相手は誰がディフェンスに行くかで迷っていた。

「織田さん! 当たってください!」

「おお!」

 山田の指示で織田が当たりに行ったことで、神奈月先輩と新波先輩が完全にフリーとなった。
 どちらに出しても俺が二人の間にいるためカバーに入れる。

「大鳥君!」

「どうぞ会長! あっ……」

「えっ」

 大鳥先輩が出したボールはズレ、寄せてきていた織田にまるでパスするかのようにボールが渡った。

「お、と、うおりゃ」

 そのままガラ空きのゴールにシュートを撃たれ、勢いの無いボールはコロコロとゴールネットを揺らした。

 まるで時が止まったかのような静寂がフットサルコートを包んでいた。

「うわあああああやらかしたあああああ!!」

「やったぜ初得点だ!」

 キーパーが前に出ることで数的有利を作る作戦だったが、やはり運動があまり得意ではない大鳥先輩には荷が重かったみたいだ。

「大鳥君……」

「か、かかか会長…………すいませんわざとじゃないんです!」

「うん、分かってるよ大丈夫。怒ってないよ」

「会長…………!」

「でも後でお仕置きだからね」

「あわわわわわわ……!」

 すまない大鳥先輩……!
 俺のせいで大惨事に……!

「これで同点か。どうやらこの作戦は難しいみたいだね」

「…………それじゃあもう一つの?」

「でももう一つは先輩方や前橋にもっと負担が掛かるんだよ」

「でも勝てる可能性があるんだろ? なら今さらじゃないか。私はまだまだ走り回れるよ」

「……私も」

「できる限りのことはしますよ~」

「……僕もキーパーとして頑張るよ」

「…………それじゃあもう一つの作戦をお話しします」

 ────────────

 ──────

 ───

「ん? ポジション入れ替えたのか?」

 俺と神奈月先輩のポジションが変わった。
 ポジション的には一つしか変わっていないが、前線は女子3人というなんとも珍しい形になった。

「ウチの女性達は攻撃的ですからね、皆さんに防げるかどうか」

「…………攻撃的じゃないし」

 むくれたように前橋が否定した。

「確かに神奈月は当てはまるな」

「そんなよしてくれよ、恥ずかしいじゃないか」

「褒めてねぇ!」

 ボールが俺まで下げられた。
 前線横一列に左から新波先輩、神奈月先輩、前橋。
 それぞれにマークが付いており、俺のところには山田が来た。

「今度は抜かせねぇ」

「ああ、止めてみろ」

 山田が前橋に付いていないことで、既に相手の戦術は崩れている。
 ここからは前線の3人の頑張り次第だ。
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