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アルバイト勧誘編
家庭訪問②
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「合計6人……どこでやるかが問題だな」
「俺はニノの家を推薦するぜ」
「ラ行変格活用は基本中の───僕の家?」
古典の話に夢中になっていたニノが振り向いた。
「何でニノの家?」
「実は前に一度行ったことがあるんだよ。ニノの家は家政婦と執事がいるって聞いたから」
そういやニノの昼飯は家政婦が作ってるって前に聞いたな。
もしかして金持ちなのかとも思ったが、新之助のやつ、こっそり確認しに行きやがったな。
俺も誘えっての。
「広いの?」
「広いなんてもんじゃねぇ。ありゃもう屋敷だな」
「えー行きたい行きたい! ニノの家!」
屋敷と聞いて梨音がはしゃいだ。
人の家がお金持ちと聞いてはしゃぐのもどうかと思うが、正直なところ俺も気になっているので梨音の意見に同調していく流れにする。
「じゃあニノの家で決まりだな」
「僕の意見は?」
「ダメなの?」
「い、いや、別に」
梨音と八幡に懇願されるように顔を覗かれ、ニノの目があちこちに泳いでいた。
今度からこの二人にお願いさせれば何でも力押しで要求通りそうだな。
「んじゃあ決まりだな! とりあえず今から行こうぜ!」
「勉強会目的じゃないの!? 期末はまだまだ先だよ!?」
「勉強会関係なくみんなニノの家に行きたいらしいし」
確かに、期末テストの範囲が分かるとしたら1ヶ月後ぐらいだもんな。
それまでニノの家はお預けって言われたら、そこまで待てないし。
いいぞ新之助。
もっと押せ押せ。
顔合わせのためにも前橋も呼んでおくか。
「前橋のやつまだ帰ってないよな?」
「さっそく呼ぶ? 連絡してみる」
梨音が電話を掛けてみると、ちょうど帰るところだったらしく下駄箱で待っているとのことだった。
知らない人がいても来てくれるのな。
「それじゃあレッツゴーだ」
少し不服そうなニノを連れて教室を出て下駄箱へ向かい、壁にもたれるようにして待っていた前橋と合流した。
「きい、お待たせ」
「……うん」
「新之助も会ったことあんだろ。生徒会会計の前橋」
「修斗が逃げ回っていた時に話していた美少女!」
「嫌な覚え方だな」
前橋的には新之助の第一印象はあまり良くなかったらしい。
少しびくついている。
「前橋さん初めまして。八幡冬華です」
「よ、よろしく……」
うーん、人見知り。
でも俺の時みたいに冷たく言い放つ感じではないから、本人も少し意識して治そうとしてるっぽい。
前橋のことは神奈月先輩にも頼まれているし、こうやって徐々に交友関係を増やせていければな。
自分のクラス内で友達ができればいいんだけど……。
「…………!!」
「…………!!」
ん? なんかニノと前橋の波長が合ったような気がする。
コミュ障同士、何か通ずるものでもあんのか?
「僕、一」
「前橋」
おお自己紹介。
素気ない感じでお互い目も合っていないけど、だれも仲介していないのに自己紹介ができるとは、成長してるなぁ。
ニノの家は最寄駅から電車で3駅隣にあるということなので電車移動となった。
自然と俺、梨音、前橋と新之助、ニノ、八幡のグループに分かれて会話をしながら移動し、目的の駅に辿り着き、ニノの家の人が迎えに来るということでロータリーの方へ向かった。
「ちなみにニノは普段からお迎えが来るらしいぜ」
「え~すごーい!」
「牧村さんが心配症なんだ」
「牧村さん?」
「執事の人。今日は友達が来るからって断りを入れたんだけど、なおさら迎えに行きますって」
「人数多いけど大丈夫か?」
「6人ぐらい余裕ですって言ってたよ」
車はあんまり詳しくないからよく分からないが、牧村さんって人を含めたら7人だよな?
結構大きめの車ならそれぐらい余裕だったりすんのかな。
ロータリーに着くと市営バスに混じって一際目立つ車が停まっていた。
胴体が長く、黒く光沢のある車。
車に詳しくない俺でも知ってる。ありゃリムジンだ。
「こんなところにあんな高級車似合わねーな」
「有名人とか乗ってるのかしら」
「あ、ごめん。あれ僕の家の車」
「「「えっ!!」」」
運転席から温和そうなお爺さんがスーツ姿で降りてきた。
とても落ち着いた雰囲気で、歳を取るならあんな取り方がいいと思わされてしまうほどだ。
「お待ちしておりました。坊っちゃまの御友人の方々ですね?」
「坊っちゃまて」
いや別に茶化すつもりはないんだよ。
ただちょっと聞きなれない単語が出てきたもんだから思わず復唱してしまっただけで。
「牧村さん久しぶり!」
「新之助様。再びお越し頂けたようで、歓迎致します」
何でこいつはこんなにフランクなんだよ。
一回行っただけでそんな仲良くなれるもんなのか?
「どうぞ、お乗りください」
ガチャリと後部座席の扉が開けられる。
わざわざ開けに来るのも大変でしょこれ、凄い離れてるぞ運転席と。
「うわ~すごーい……」
内装を見て思わず梨音が感嘆の声を漏らす。
車の中じゃないよこれ。
部屋だよ部屋。
フッカフカなソファーあるし。
「やっぱスゲーよなこの車!」
「目立つから僕的にはやめてほしいんだけどね。僕一人の時はもっと普通の車だし」
「お客用ってこと?」
「うん」
「うう……なんか身の丈に合わない気がする」
「分かるぞ前橋。落ち着かなくてしょうがない」
クラブバスや飛行機なら何回も乗ってきたが、さすがにリムジンはない。
世界的なスター選手にでもならないと縁無さそうだ。
「俺はニノの家を推薦するぜ」
「ラ行変格活用は基本中の───僕の家?」
古典の話に夢中になっていたニノが振り向いた。
「何でニノの家?」
「実は前に一度行ったことがあるんだよ。ニノの家は家政婦と執事がいるって聞いたから」
そういやニノの昼飯は家政婦が作ってるって前に聞いたな。
もしかして金持ちなのかとも思ったが、新之助のやつ、こっそり確認しに行きやがったな。
俺も誘えっての。
「広いの?」
「広いなんてもんじゃねぇ。ありゃもう屋敷だな」
「えー行きたい行きたい! ニノの家!」
屋敷と聞いて梨音がはしゃいだ。
人の家がお金持ちと聞いてはしゃぐのもどうかと思うが、正直なところ俺も気になっているので梨音の意見に同調していく流れにする。
「じゃあニノの家で決まりだな」
「僕の意見は?」
「ダメなの?」
「い、いや、別に」
梨音と八幡に懇願されるように顔を覗かれ、ニノの目があちこちに泳いでいた。
今度からこの二人にお願いさせれば何でも力押しで要求通りそうだな。
「んじゃあ決まりだな! とりあえず今から行こうぜ!」
「勉強会目的じゃないの!? 期末はまだまだ先だよ!?」
「勉強会関係なくみんなニノの家に行きたいらしいし」
確かに、期末テストの範囲が分かるとしたら1ヶ月後ぐらいだもんな。
それまでニノの家はお預けって言われたら、そこまで待てないし。
いいぞ新之助。
もっと押せ押せ。
顔合わせのためにも前橋も呼んでおくか。
「前橋のやつまだ帰ってないよな?」
「さっそく呼ぶ? 連絡してみる」
梨音が電話を掛けてみると、ちょうど帰るところだったらしく下駄箱で待っているとのことだった。
知らない人がいても来てくれるのな。
「それじゃあレッツゴーだ」
少し不服そうなニノを連れて教室を出て下駄箱へ向かい、壁にもたれるようにして待っていた前橋と合流した。
「きい、お待たせ」
「……うん」
「新之助も会ったことあんだろ。生徒会会計の前橋」
「修斗が逃げ回っていた時に話していた美少女!」
「嫌な覚え方だな」
前橋的には新之助の第一印象はあまり良くなかったらしい。
少しびくついている。
「前橋さん初めまして。八幡冬華です」
「よ、よろしく……」
うーん、人見知り。
でも俺の時みたいに冷たく言い放つ感じではないから、本人も少し意識して治そうとしてるっぽい。
前橋のことは神奈月先輩にも頼まれているし、こうやって徐々に交友関係を増やせていければな。
自分のクラス内で友達ができればいいんだけど……。
「…………!!」
「…………!!」
ん? なんかニノと前橋の波長が合ったような気がする。
コミュ障同士、何か通ずるものでもあんのか?
「僕、一」
「前橋」
おお自己紹介。
素気ない感じでお互い目も合っていないけど、だれも仲介していないのに自己紹介ができるとは、成長してるなぁ。
ニノの家は最寄駅から電車で3駅隣にあるということなので電車移動となった。
自然と俺、梨音、前橋と新之助、ニノ、八幡のグループに分かれて会話をしながら移動し、目的の駅に辿り着き、ニノの家の人が迎えに来るということでロータリーの方へ向かった。
「ちなみにニノは普段からお迎えが来るらしいぜ」
「え~すごーい!」
「牧村さんが心配症なんだ」
「牧村さん?」
「執事の人。今日は友達が来るからって断りを入れたんだけど、なおさら迎えに行きますって」
「人数多いけど大丈夫か?」
「6人ぐらい余裕ですって言ってたよ」
車はあんまり詳しくないからよく分からないが、牧村さんって人を含めたら7人だよな?
結構大きめの車ならそれぐらい余裕だったりすんのかな。
ロータリーに着くと市営バスに混じって一際目立つ車が停まっていた。
胴体が長く、黒く光沢のある車。
車に詳しくない俺でも知ってる。ありゃリムジンだ。
「こんなところにあんな高級車似合わねーな」
「有名人とか乗ってるのかしら」
「あ、ごめん。あれ僕の家の車」
「「「えっ!!」」」
運転席から温和そうなお爺さんがスーツ姿で降りてきた。
とても落ち着いた雰囲気で、歳を取るならあんな取り方がいいと思わされてしまうほどだ。
「お待ちしておりました。坊っちゃまの御友人の方々ですね?」
「坊っちゃまて」
いや別に茶化すつもりはないんだよ。
ただちょっと聞きなれない単語が出てきたもんだから思わず復唱してしまっただけで。
「牧村さん久しぶり!」
「新之助様。再びお越し頂けたようで、歓迎致します」
何でこいつはこんなにフランクなんだよ。
一回行っただけでそんな仲良くなれるもんなのか?
「どうぞ、お乗りください」
ガチャリと後部座席の扉が開けられる。
わざわざ開けに来るのも大変でしょこれ、凄い離れてるぞ運転席と。
「うわ~すごーい……」
内装を見て思わず梨音が感嘆の声を漏らす。
車の中じゃないよこれ。
部屋だよ部屋。
フッカフカなソファーあるし。
「やっぱスゲーよなこの車!」
「目立つから僕的にはやめてほしいんだけどね。僕一人の時はもっと普通の車だし」
「お客用ってこと?」
「うん」
「うう……なんか身の丈に合わない気がする」
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