怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
96 / 203
アルバイト勧誘編

家庭訪問②

しおりを挟む
「合計6人……どこでやるかが問題だな」

「俺はニノの家を推薦するぜ」

「ラ行変格活用は基本中の───僕の家?」

 古典の話に夢中になっていたニノが振り向いた。

「何でニノの家?」

「実は前に一度行ったことがあるんだよ。ニノの家は家政婦と執事がいるって聞いたから」

 そういやニノの昼飯は家政婦が作ってるって前に聞いたな。
 もしかして金持ちなのかとも思ったが、新之助のやつ、こっそり確認しに行きやがったな。
 俺も誘えっての。

「広いの?」

「広いなんてもんじゃねぇ。ありゃもう屋敷だな」

「えー行きたい行きたい! ニノの家!」

 屋敷と聞いて梨音がはしゃいだ。
 人の家がお金持ちと聞いてはしゃぐのもどうかと思うが、正直なところ俺も気になっているので梨音の意見に同調していく流れにする。

「じゃあニノの家で決まりだな」

「僕の意見は?」

「ダメなの?」

「い、いや、別に」

 梨音と八幡に懇願されるように顔を覗かれ、ニノの目があちこちに泳いでいた。
 今度からこの二人にお願いさせれば何でも力押しで要求通りそうだな。

「んじゃあ決まりだな! とりあえず今から行こうぜ!」

「勉強会目的じゃないの!? 期末はまだまだ先だよ!?」

「勉強会関係なくみんなニノの家に行きたいらしいし」

 確かに、期末テストの範囲が分かるとしたら1ヶ月後ぐらいだもんな。
 それまでニノの家はお預けって言われたら、そこまで待てないし。
 いいぞ新之助。
 もっと押せ押せ。
 顔合わせのためにも前橋も呼んでおくか。

「前橋のやつまだ帰ってないよな?」

「さっそく呼ぶ? 連絡してみる」

 梨音が電話を掛けてみると、ちょうど帰るところだったらしく下駄箱で待っているとのことだった。
 知らない人がいても来てくれるのな。

「それじゃあレッツゴーだ」

 少し不服そうなニノを連れて教室を出て下駄箱へ向かい、壁にもたれるようにして待っていた前橋と合流した。

「きい、お待たせ」

「……うん」

「新之助も会ったことあんだろ。生徒会会計の前橋」

「修斗が逃げ回っていた時に話していた美少女!」

「嫌な覚え方だな」

 前橋的には新之助の第一印象はあまり良くなかったらしい。
 少しびくついている。

「前橋さん初めまして。八幡冬華です」

「よ、よろしく……」

 うーん、人見知り。
 でも俺の時みたいに冷たく言い放つ感じではないから、本人も少し意識して治そうとしてるっぽい。
 前橋のことは神奈月先輩にも頼まれているし、こうやって徐々に交友関係を増やせていければな。
 自分のクラス内で友達ができればいいんだけど……。

「…………!!」

「…………!!」

 ん? なんかニノと前橋の波長が合ったような気がする。
 コミュ障同士、何か通ずるものでもあんのか?

「僕、にのまえ

「前橋」

 おお自己紹介。
 素気ない感じでお互い目も合っていないけど、だれも仲介していないのに自己紹介ができるとは、成長してるなぁ。


 ニノの家は最寄駅から電車で3駅隣にあるということなので電車移動となった。
 自然と俺、梨音、前橋と新之助、ニノ、八幡のグループに分かれて会話をしながら移動し、目的の駅に辿り着き、ニノの家の人が迎えに来るということでロータリーの方へ向かった。

「ちなみにニノは普段からお迎えが来るらしいぜ」

「え~すごーい!」

「牧村さんが心配症なんだ」

「牧村さん?」

「執事の人。今日は友達が来るからって断りを入れたんだけど、なおさら迎えに行きますって」

「人数多いけど大丈夫か?」

「6人ぐらい余裕ですって言ってたよ」

 車はあんまり詳しくないからよく分からないが、牧村さんって人を含めたら7人だよな?
 結構大きめの車ならそれぐらい余裕だったりすんのかな。

 ロータリーに着くと市営バスに混じって一際目立つ車が停まっていた。
 胴体が長く、黒く光沢のある車。
 車に詳しくない俺でも知ってる。ありゃリムジンだ。

「こんなところにあんな高級車似合わねーな」

「有名人とか乗ってるのかしら」

「あ、ごめん。あれ僕の家の車」

「「「えっ!!」」」

 運転席から温和そうなお爺さんがスーツ姿で降りてきた。
 とても落ち着いた雰囲気で、歳を取るならあんな取り方がいいと思わされてしまうほどだ。

「お待ちしておりました。坊っちゃまの御友人の方々ですね?」

「坊っちゃまて」

 いや別に茶化すつもりはないんだよ。
 ただちょっと聞きなれない単語が出てきたもんだから思わず復唱してしまっただけで。

「牧村さん久しぶり!」

「新之助様。再びお越し頂けたようで、歓迎致します」

 何でこいつはこんなにフランクなんだよ。
 一回行っただけでそんな仲良くなれるもんなのか?

「どうぞ、お乗りください」

 ガチャリと後部座席の扉が開けられる。
 わざわざ開けに来るのも大変でしょこれ、凄い離れてるぞ運転席と。

「うわ~すごーい……」

 内装を見て思わず梨音が感嘆の声を漏らす。
 車の中じゃないよこれ。
 部屋だよ部屋。
 フッカフカなソファーあるし。

「やっぱスゲーよなこの車!」

「目立つから僕的にはやめてほしいんだけどね。僕一人の時はもっと普通の車だし」

「お客用ってこと?」

「うん」

「うう……なんか身の丈に合わない気がする」

「分かるぞ前橋。落ち着かなくてしょうがない」

 クラブバスや飛行機なら何回も乗ってきたが、さすがにリムジンはない。
 世界的なスター選手にでもならないと縁無さそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

処理中です...