怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
127 / 203
サマーバケーション勧誘編

夏休み①

しおりを挟む
「夏休みどこか行こうぜ!」

 期末テストが全て返却され、残すところは終業式を待つのみといったある日の放課後。
 新之助が後ろから声をかけてきた。

「どこかってどこだよ」

「それはこれから決めるんだよ。おいニノ、若元、八幡。ちょっとこっち集合」

 まるで執事を呼ぶように指をくいくいっと曲げて3人に呼びかけるも、その様子に反抗するかのように3人は無視していた。
 俺でもそうする。

「………………謝るからこっち来てえ!」

「情けなさすぎるだろ……」

「なんなのよ~もう」

 哀れむように渋々と3人が集まってきた。
 出会って3ヶ月も経てば、新之助の取り扱い説明書なんかを持ち合わせているようになるみたいだ。
 俺は出会って3日で手に入れたけどな。

「全員テストで赤点は無かったよな? 俺はそれが心配で仕方なかったんだぜ」

「お前が一番心配されてたんだよ」

「何はともあれこれで夏休みに補習があるやつはいないし、どこか遊びに行こうぜって話をしてんだ」

「いいね! 私もその意見に賛成ー」

「梨音が行くならもちろん私も。新之助の意見に珍しく賛同ね」

「珍しくってなんじゃい」

「それでどこに行くかって話なんだが」

「おいおい、夏って言えば選択肢なんて一つだろ」

 新之助が自信満々に言った。
 はて、夏に行く場所はそんなに限られてるもんなのか?
 今までの俺の選択肢と言えばグラウンドの一つに絞られてたわけだからな。まさかグラウンドとは言うまい。

「あれじゃない? 海」

「若元正解大正解!! 佐川ポイント10点進呈!」

「うわいらない。ちなみに貯めるとどうなるの?」

「100点で俺とデートできる権利を贈呈です」

「あー……受け取り拒否でいいかな」

「なんで!」

 ほぼ罰ゲームをプレゼント代わりにすんなよ。
 それ受け取ってくれんのお前の母ちゃんだけだぞ。

「プールとかでもいいよね~。僕、あんまり泳ぎとか得意じゃないけど」

「なるほどそっちもあったか…………どうやら選択肢は一つだけじゃなかったみたいだな」

「ぶれるの早っ。もう少し自分の言葉に責任持てよ」

「まぁまぁ修斗よく聞けって」

 新之助がガッと肩を組んで引き寄せ、女性陣二人に聞こえないような声で話してきた。

「要は女子の水着が見れりゃあどこでもいいんだ俺は」

「ほう…………お前、よく策士だって言われないか?」

「よせやい照れるだろ」

 俺かて年頃の男の子。
 サッカーを辞めてからはそういう部分にも否応なく心惹かれるものだ。
 水泳の授業時にも見れるだろって?
 そうじゃない、そうじゃないんだ。
 みんなは学校で見る制服とプライベートで見る私服、どっちの方が良いかって話よ。
 学校での制服姿はもちろん可愛いし、普段は見せない私服姿も可愛いってわけ。
 つまりはどっちも可愛いってこと。

 ん? なんか変な結論になったな。

「そこで修斗には前橋と桜川も誘って欲しいってわけよ」

「俺が?」

「二人と仲良いだろ、お前」

「さては俺をダシにしてるな」

「ニヒヒ、女子は何人いてもいいだろ」

 全員知らない仲でもないし構わないが…………桜川は部活の仕事もあるだろうし前橋に至っては海に行くような奴には見えん。
 まぁ予定合う合わないはともかくとして、一応声は掛けておくか。

「分かった。俺から連絡しとくよ」

「お! 話が分かるじゃねーの!」

「別にあんたのためなんかじゃないんだからね」

「修斗のツンデレとか誰得なんだよ」

 その後、日程調整を重ねることにより、海に行くのは一週間後となった。
 なにで行くか、というところだが普通に考えれば電車になるものの、ニノが牧村さんにお願いすれば車を出してくれるかもしれないとのことだ。
 ただし、荷物があることを考慮するとこの前のようなリムジンではなく、ワゴン系の車になるそうだ。何台車あるんだよというツッコミはこの際スルーした。
 そしてその車は7人乗りらしい。
 現状の人数であれば運転手の牧村さんを含めても6人で問題はないのだが、ここに前橋、桜川が加わるとなると定員オーバーとなってしまう。
 なので、向かう方法については二人の返事を待ってから改めて決めるということになり、俺達は解散した。

 俺と梨音はそのまま生徒会室へと向かう。
 生徒会長である神奈月先輩が終業式での生徒代表挨拶をすることになったので、それの下準備だ。
 そのついでに前橋を海に誘うことにしよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

処理中です...