怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
131 / 203
サマーバケーション勧誘編

夏休み⑤

しおりを挟む
 生徒会室に戻り、神奈月先輩にお釣りを返して買ってきたケーキを堪能し、特段することもなく今日の俺達の生徒会活動は終了した。
 夕方、梨音と一緒に家に帰る途中、自転車に乗ったもっちーさんとバッタリ出会った。
 どうやら丁度アルバイトに向かってる所だったようだ。

「おお、梨音さんに修斗さんじゃないっすか。今帰りっすか?」

 もっちーさんは俺達に気付くと自転車から降り、俺達に合わせて歩き始めた。

「もっちーさん。これからウチにバイトですか?」

「そうなんすよ。大学もさっき終わったんでそのまま来たんす。梨音さん達も部活とかっすか」

「私達は生徒会の仕事で遅れたんです」

「ええ!? お二人とも生徒会に入ってるんすか? どひぇー」

 もっちーさんが大袈裟に驚いた。

「そんな驚かれるようなことじゃないですよ」

「いやいや、生徒会と言えば学校のカースト上位者じゃないっすか。内申にも響くし。お二人とも優秀なんすねぇー」

 別にカースト上位ではないだろ……。
 実際は教員と生徒の橋渡し的なもので、活動内容も地味な裏方活動ばっかりだしな。

「そういえば高校は間も無く夏休みなんじゃないっすか? どこか遊びに行ったり?」

「今週いっぱいで学校は終わりですね。来週にはさっそく海に行こうって話をしてるんですよ」

 梨音が楽しそうに話した。

「海、いいっすね~。お二人で行くんすか?」

「ち、ちち違いますよ! 他に友達もいますから!」

「こいつは失礼しました。電車とかで行くんすかね? 夏休みだと混んでそうっすね~」

「車か電車か迷ってるんですよね。最初は送ってくれる方がいたんですけど、思いのほか人数が多くなっちゃって一台の車じゃ乗り切らなくなっちゃったんです。だから電車にしようかなって……」

「良かったら車出しましょうか?」

 さらりと、思わずお願いしますと言いそうになるほどスムーズにもっちーさんが提案してきた。

「い、いやいやいや! 流石にそれは悪いですよ! そんなもっちーさんからしたら面識の無い人達ばかりなのに運転手みたいなことさせるなんて」

 梨音が慌てて遠慮する。

「いやぁ大学入る直前に合宿で免許取ったはいいんすけど、中々遠出する機会が無くて、このままじゃ免許にカビ生えちゃうとこなんすよね。だから運転訓練も兼ねてって感じなんすけど」

「いや……でも…………」

 梨音が困った表情をしながらチラリと俺の方を見てくる。
 この顔はもっちーさんが来ることに困惑しているのではなく、シンプルに申し訳無さがまさっているときの顔だ。
 もっちーさんが送ってくれるのであれば、2台に分けて乗ることができるので、俺達に取っては願ったり叶ったりだが…………。

「そういえばもっちーさん大学はいつから休みなんですか?」

「8月の頭からっすね。高校よりかは少し遅いんすよ」

 俺達が海に行くのは来週の8月に入ってから。
 そこは問題ないか。

「そしたら俺達に何かしてほしいこととかってありますか? 流石に無償で運転手をお願いするのは気が引けるので……」

 俺達ごときが大学生であるもっちーさんの手助けなんてできるものは無いのかもしれないが、ただ優しさに甘えるよりかはよっぽど梨音も納得できるだろう。

「してほしいことっすか? うーん特段ないんすけどね~………………あっ」

 もっちーさんは何かを思い出したかのように携帯を取り出して何かを調べ始めた。
 そして、一つのウェブサイトを俺達に提示した。

「実は、修斗さんがサッカー得意だっていうことを店長や梨花さんから聞いてまして…………もし良かったらこれを修斗さんに出場してもらって優勝してもらいたいというか……」

 もっちーさんが見せてくれたサイトのタイトルには『集え! 学生キックターゲット大会!!』と書かれていた。

 詳細を見ると、学生を対象としたミニゲームのようなもので、数字が書かれた的をボールを蹴って打ち抜くものらしい。
 ただ、条件にはクラブチーム経験者、もしくは過去に大会で優勝等の実績ある方のみと書かれていた。

「これの優勝賞金が3万円なんすけど、ぶっちゃけそれはどうでも良くて、副賞が新作サッカーゲームの試作品を貰えるってものなんすよねぇ……。そこの開発会社がスポンサーやってるみたいで」

 えへえへとだらしなく笑うもっちーさん。
 ゲーム目当てで歳下の高校生にお願いをしているということに少し恥ずかしさがあるらしい。
 ゲーム好きだというのは聞いていたけど、サッカーのゲームとかもやるんだこの人。
 参加申し込みが7月31日まで。開催が8月中旬か。

「修斗」

 梨音に言われて俺も頷く。
 答えは決まっている。二つ返事だ。

「もちろんいいですよ」

「ま、マジっすか? ありがとうございます~」

「ただ優勝できるかどうかまでは保証出来ないですよ」

「いやいやもちろん全然っすよ! いやぁなんかすいませんゲームオタク女で……」

「良いじゃないですか趣味に夢中になることは。恥ずかしいことじゃないですよ」

「そ、そうっすかねぇー…………」

 もっちーさんが恥ずかしそうに頬をかいた。

 曜日の日取り等はまだ決まっていないことなど話している内に家へと着き、俺達は裏口の方へと回った。

「じゃあまた日時とかは連絡しますので」

「よろしくっすね~」

 そこでもっちーさんとは別れた。
 俺達は家へと入り、お互いに目を見合わせて笑った。

「もっちーさん、良い人だね」

「逆の立場なら普通自分から言わねーな」

「でもごめんね修斗、全部任せるようになっちゃって」

「いや、むしろ面白そうじゃないか? キックターゲット。本音を言うと俺、少し楽しみにしてんだ」

「あはは。修斗も本当、サッカー好きだよね」

「まぁな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

処理中です...