怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

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文化祭勧誘編

OB目線②

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 周りを見ると1、2年生のヴァリアブルの選手の多くが残っていた。
 中には見に来ていた親と既に帰ってしまった人もいたが、それでもまだ半分以上も残っている。
 それに合わせて、大石さんの他にもこのミニゲームを見ている人達が観客席にはたくさんいた。
 中には当時、話をしたことのある親御さん達もいる。
 久しぶりの俺を見定めているのかあるいは───。

「怪我の無いようにな」

「はい」

 赤坂コーチにそう言われたが、それについてこの中で一番理解しているのは俺だろう。
 怪我だけは絶対にしてはならない。

 俺達は赤色のビブスを着て、向こうは黄色のビブスを着て配置についた。

「それでは……キックオフ」

 上空に蹴られたボールを即座に安達とアツが奪い取ろうと競り合った。
 上手く体を入れ込んだ安達が落ちてきたボールを足元でトラップし、忠姫にパスをした。
 そのままアツがプレッシングをかけるが、パスを回すようにして繋いできた。
 特に指定されていなくても多くても3タッチ以内にパスを回してきている。
 そもそものヴァリアブルの攻撃スタイルがショートパスによる素早いカウンターなので、短い距離感でのパス回しができなければベンチ入りすることすら出来ない。
 この程度のことが出来なくては話にならないのだ。

「ひらやん、中に向かせずに外に逃がせ。義助は───」

「縦のカバーっすよね!」

 俺が指示するよりも早く義助が動いていた。
 この守備意識の高さは驚いたな。

 ボールを持っていた優太がそれを見て一度バックラインに戻した。
 そこで瞬時に逆サイドで浮いていた健太に出すか、2対1を突破できる実力があれば感心ものだったけどさすがにそれは無理か。

 ボールが安達に渡った。

「みんなこんなチャンス滅多にないんだぜ? だったらやることは一つでしょ」

 安達がギアを上げて俺に向かってきた。

「修斗さん、尋常に勝~負!!」

「それでこそFWだぜ」

 重心を落として体を少し半身にする。
 左足を後ろにタイミングを見計らいながらステップをする。
 安達がスピードに乗った状態でボールを少し右に寄せた。
 左にカットか縦にスピードか。安達が得意なのは縦にスピードのはずだ───。

「はっ!」

 予測とは外れて安達は左にカットした。
 俺が知っている情報は既に1年前のもの、予測が外れるのは無理もない。
 だから意識をカットにも残していて正解だった。
 一瞬崩された体勢をすぐに戻し、残していた左足を使い、足裏でボールを奪取した。

「うっそ!?」

「甘いな!」

 本来であればそのままボールを前線に運ぶ。
 だが俺にはダイレクトタッチのみの制限があるため、もうボールに触ることはできない。
 なので誰かが取りに来るまでキープしなければならない。

「返せ修斗さん!」

「やなこった」

 安達がすぐに取りにきたが、体をボールとの間に入れ込んで防いだ。
 思ったよりも衝撃があって倒れそうになる。
 中三とは言ってもヴァリアブルジュニアユースのエースを張っている奴だ、フィジカルが普通じゃない。

「成長してるな、お前」

「修斗さん相手とは言え、怪我明けの人にタコられたら立つ瀬がないんで!」

 緋月がすぐに俺のボールを拾っていった。
 アツとのワンツーで忠姫をかわし、健太に体を当てられるもそのままボールを運んだ。
 ゴール前に優太がいるが、さらにアツとのワンツーを狙った。しかし、パスボールが少し伸びてしまい、アツがダイレクトでパスを出すことができず、その隙をつかれて忠姫にボールをカットされてしまった。

 ボールは簡易タッチラインを超えてしまった。
 とりあえずはマイボールだ。

「わりぃ、パスミスった」

「シュートでも良かったぜ今のは」

「ゴロだと止められそうだったから確実な方取ったんだよ」

「アツ、緋月、形は良かったぞ。次はミス無く行こう」

「はい、修斗さん」

 ヴァリアブルのメンバー同士のコンビネーションに問題はなさそうだ。
 ともすれば、あとは義助がどこまで合わせられるかってところだが…………。

「てめっ、ミニゲームまで俺にくっついてくるんじゃねーよ!!」

「さっきリベンジするって言ってたすけ、だから俺にマークつけってことじゃないんすかー?」

「ちっげーよ!」

 またやってるよあそこ……。
 義助は完全に守備の人間だな。
 逆によくもまぁあそこまで徹底して守備したがるもんだよ。
 点を取りたい俺にはいまいち分からん。賢治とかと気が合うんじゃないか?
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