【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

文字の大きさ
104 / 107
第一章 後半

第104話:軽くない?

しおりを挟む
 グランドギルドマスターのネギさんは、オレの報告を受けた後、虚ろな表情を浮かべて呆けていた。
 嘘を言っていないのは、説明で使った記録結晶の映像のお陰で信じてくれたようなのだが、あまりにも現実離れしている出来事の連続で、どう受け止めたらいいのかわからないといった様子だ。

「こんなわけのわからんレベルのこと………………儂一人で決められるかぁ!!」

 そして切れた。
 いや、気持ちはわかるけれども……。

 ギルド職員が何事かと部屋に飛び込んできて必死に取り押さえようとしているが、さすが元S級冒険者。
 駆け寄るギルド職員を蹴散らし、まるで収まる様子がない。

 そんな光景に今度はオレたちが呆気にとられていると……。

≪ネギよ。なにを取り乱しておる? 落ち着くのだ。精神安定化魔法でもかけてやろう≫

 ネギさんも一番の原因であるジルにだけは言われたくはないだろう。

 だが、問答無用で精神安定化魔法を放つジル。
 あっと思った時には一瞬でもう魔法を発動させていた。

 しかし、意外と今回は良い仕事をしたようだ。

「あぁ……すまんすまん。ちょっと取り乱してしもうたわ」

 精神安定化魔法の効果は凄まじく、さっきまでの取り乱しようが嘘のように落ち着いていた。

「じゃぁ……とりあえずもうお主ら『恒久の転生竜』は、みんなS級って事で」

 は? 何言ってるんだこの爺さん?
 もう決定じゃからと言って、部下のギルド職員を呼び、さっさと指示を出していく。

「え……? あ、あの! 私たちは試験辞退して受けてないです! ……にゃ」

 慌ててリリーがそう言うが答えは変わらなかった。どうやら本気のようだ。

「はぁ……あの六魔将の二人を圧倒しておいて何を言っておる。もう色々合わせ技でS級合格じゃ」

 呆然とするオレたちをスルーしてテキパキと職員へ指示を出すネギさん。
 でも、昇級試験で合わせ技ってなに……?



 それからほどなくして、先程出ていったギルド職員が興奮気味に戻ってきた。

「ギルマス! S級冒険者様用のギルドカード一式の手続きが終わりましたので、急いでお持ちいたしました!!」

 S級冒険者の誕生。
 普通、それだけでちょっとした騒ぎになるほどの出来事だ。
 それが複数人同時に誕生ということでえらく興奮しているようだ。

 まぁ普通はS級冒険者パーティーと言ってもリーダーだけがS級冒険者の場合がほとんどだ。
 それがS級冒険者が何人も所属しているパーティーなどギルド史上初かもしれない。

 しかし、そう言って渡されたギルドカードの数は五枚。多くね?

「あれ? 五枚? 三枚なんじゃ?」

 オレとリリー、ルルーの三枚で良いはずだ。
 リルラはまだ戻ってきていないので達成報告は終わっていないし、そもそもリルラの分を入れても四枚だ。

「もう面倒だからリルラの分も用意させておいた。それと残りの一枚はヴィーヴルの分だ。竜言語魔法を使いこなす竜人ドラゴニュート。しかも、あの古代竜ヴィーヴルの知識を受け継ぐ上に、一族の姫じゃろ? おまけにお主らのパーティーに加わると言う。お主の従魔でもあるという主張はようわからんが、とにかくこちらも合わせ技でS級合格じゃ。そもそも、もう全員S級にしておいた方がなにかと都合が良いんじゃ! どうせこれから問題いろいろ起こすじゃろうから、その時にお主ら全員S級なら言い訳しやすいんじゃ!」

 だから合わせ技ってなんだ……。
 あと、最後に本音が漏れてるぞ……。

 リルラに関してはもう依頼を終えてこちらに向かっているという話をしたので、先に用意させたのはまだわかる。
 と言っても、依頼の達成報告とかもろもろ終わっていないので、本来ならこちらもありえない対応なのだが……。
 記録結晶は見なくていいのか? え? いらない? なんで持たせたし。

 S級冒険者の授与ってそんな軽くていいのかとか色々言いたいことはあるが……とりあえずリルラの方こちらは置いておこう。

 しかし、ヴィーヴルの方は絶対にもういろいろ面倒になったからだろ!?

 たしかにS級冒険者パーティーに一人だけE級とかトラブルの臭いがプンプンするのは確かなのだが……。ヴィーヴルが驚きながらも一人仲間外れにならずにすんだと喜んでいるし、もう諦めるか……。

 でもオレ……S級冒険者になるのって人生の最終目標であり、夢だったんだけど……。
 オレの夢……なんか扱い軽くない?

「あと、ホレ。これも受け取れ」

 オレが地味にショックを受けて凹んでいると、みんなのギルドカードの他にタグのような物を二枚渡された。

「これはいったい?」

「それは一定以上の強さの従魔に特別に発行される高位従魔の証じゃ。その中でも最上位のSランクのな」

 セツナとジルの分だそうだ。
 ネギさんにだけはセツナの正体は伝えたので、ジル同様の扱いにしたらしい。
 何かあって街に入れない、弱い従魔と思われて不適切な扱いを受ける、などということが起こってトラブルにならないようにという話を聞かされた。

 要約すると「これをやるからトラブルを起こさないでくれ」って話だった。


 その後、結局ゼクトたちにも最初からB級のギルドカードを渡される事になってまた少し話が拗れそうになったが、ようやく一通りの手続きを終える事ができた。

「これで冒険者ランク関係の手続きは、一通り終わりじゃの」

 こうして、冒険者ギルド始まって以来のS級冒険者が一度に五人も誕生するというイベントは終わりを告げた……のだが……。

「さて……では次は王城に向かうとするかの。一緒に来て報告してもらうからな」

 どうやらまだ大きなイベントが残っていたようだ……。


************************
第一章完結まで毎日更新予定です!
お楽しみに!
************************
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

処理中です...