48 / 107
第一章 中盤
第48話:名探偵
しおりを挟む
相変わらずぜんぜん困ってなさそうに「困ったわね~」とウィンドアさんが呟いているが、それどころではない。今この人なんて言った?
「えっと……ウィンドアさん、今なんと……?」
間違いであって欲しいと思いながら聞き返してみるが……。
「あららら? 聞こえなかったかしら~? ビアンカさんはこの国の第一王女よ~。あと、王位継承権も第一位だから、ゆくゆくは女王様ね~」
嫌だこの人……さらなる情報をぶっこんできたよ……。
後の女王様だというさらなら衝撃の情報。
この国『トリアデン王国』の王様は、男女の差なく歳上で血筋の濃いものが王位を継ぐことになっているそうで、ビアンカさんに何か大きな問題が生じない限りは次期女王陛下なのだそうだ。
「な、なんでそんな人が学院で学生を……いや、そもそも護衛も付けずに見学ツアーの案内とか何してるんですか!?」
この国の後継者を護衛も付けずに見学ツアーの案内をさせるとか、学院側も本当に何を考えているんだ?
もし案内していたのがオレたちじゃ無かったら、今回命の危険もあったはずだ。
「あららら? 怒られてしまったわ~。でも、たしかに私の不手際なのよね~」
「待って! 学院長は悪くないのですわ! 私がこの国の第一王女『ゼシカ・フォン・トリアデン』なのは事実だけど、この事実を知っているのは学院長と王様だけなの! だから私も秘密を知られたってことでしょ? そもそも今回の件で私は命を救ってもらったようなものですし、絶対に秘密は守るわ!」
たしかに王女ってことがバレたくないのなら、お互いに秘密を守ろうって話もわかる気はするが……。
「一応ね~。ビアンカさんの送り迎えの馬車はもちろん、所要で学院外に出る時は護衛がついているのよ~」
学院内で危険に晒されるのは想定外だったのだろう。
でも、この国の情勢とかはわからないが、それでも学院内で誰かに狙われるとかないのだろうか?
まぁオレがこれ以上首を突っ込むことではないだろうし、国王様とも話がついているのならここでいろいろ異を唱えても仕方ないか。
「そうですか……。でも、正直驚きました。ずっとビアンカさん……ゼシカ様と呼んだ方がいいですね。ゼシカ様を驚かしてばかりで申し訳ないと思ってましたけど、最後に逆に心底驚かされました」
オレがそう言うと、ゼシカ様はすこし悲しそうな顔になり、その後迷った素振り見せてから口を開いた。
「あ、あの! コウガさん、あなたたちと出会ったのは『この国の第一王女ゼシカ』ではなく『ただの優秀な学生のビアンカ』だから、ででで出来れば、ととと友達として、今までみたいに『ビアンカさん』と呼んで欲しい! いや、むしろビアンカで!」
顔を真っ赤にさせながら目を瞑って言う姿は年相応の女の子だ。
オレはみんなと視線を交わして頷きあうと……。
「わかりました。呼び捨てはちょっと無理ですが……優秀な学生のビアンカさん、オレたちなんかでよければ友達になってください」
と言って手を差し出した。
「ぜ、ぜひですわ!」
その手を取るビアンカの笑顔はとても素敵だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
なんとかビアンカさんの件が片付いたので、その後はジルの手を借りて十一階に封印を施し、一度学院長室がある九階まで戻ってきていた。
封印結界はウィンドアさんが一人ですると数時間かかるらしいのだが、何をどうやったのかジルがサポートすると五秒で完成した。どうやったのかとかはもうオレには聞かないで欲しい。
「お婆ちゃん。それでなぜ封印結界が解かれていたのかはわかったのですか?」
リルラが、ウィンドアさんに淹れて貰った蜂蜜入り紅茶を美味しそうに啜りながら問いかける。
「そうね~。今日の見回り担当がドアンゴ先生なので彼が一番怪しいのですけれど~。確証がないわね~。そもそもドアンゴ先生に私の結界が解けるとも思えないのですけど~?」
不思議ね~と相変わらずマイペースなウィンドアさん。
しかし犯人が誰かはあっけなく解決する。
≪うむ。犯人はそのドアンゴとかいう男で間違いないぞ≫
ジルが千里眼を使ったからだ。
そして千里眼で確認しながら起こった事をみんなに説明してくれた。
「あららら? ジル様にかかったらどんな難事件でも一瞬で解決ね~。名探偵ジルさんね~」
そりゃぁ、ジルの千里眼があれば、どんな名探偵にも負けないだろう。
だって、離れた場所を見れるだけでなく、過去に起こったことまで見れるのだから。
でも、名探偵ジルはないと思う……。
「それでドアンゴ先生が犯人なのはわかったけど、目的はなんなのです? ……にゃ」
≪うむ。どうも魔族どもにたぶらかされたようだ≫
ジルの話を聞いてみると、そのドアンゴ先生とやらは物品鑑定のギフトを持っていて、その能力を魔族に目を付けられ、高額の報酬と引き換えにとある物を探して持ち出すように取引を持ちかけられたようだ。
「もしかしてそのとある物って!?」
ビアンカさんに心当たりがあるのか、すこし慌てた様子だ。
「あららら? そうね~。私たちより魔法が得意な魔族が欲しがるような物と言えば、ビアンカさんの思っている物で間違いないんじゃないかしら~?」
ウィンドアさんもその心当たりがわかったようだが、一体なんだろう?
「「ビアンカさん、それは何なの? ……にゃ」」
ビアンカさんは、双子らしくハモって聞き返す二人に一瞬微笑みを浮かべるが、ふたたび表情を引き締めてこうこたえた。
「それは……太古より伝わる王家の秘宝『破戒の宝玉』よ」
「えっと……ウィンドアさん、今なんと……?」
間違いであって欲しいと思いながら聞き返してみるが……。
「あららら? 聞こえなかったかしら~? ビアンカさんはこの国の第一王女よ~。あと、王位継承権も第一位だから、ゆくゆくは女王様ね~」
嫌だこの人……さらなる情報をぶっこんできたよ……。
後の女王様だというさらなら衝撃の情報。
この国『トリアデン王国』の王様は、男女の差なく歳上で血筋の濃いものが王位を継ぐことになっているそうで、ビアンカさんに何か大きな問題が生じない限りは次期女王陛下なのだそうだ。
「な、なんでそんな人が学院で学生を……いや、そもそも護衛も付けずに見学ツアーの案内とか何してるんですか!?」
この国の後継者を護衛も付けずに見学ツアーの案内をさせるとか、学院側も本当に何を考えているんだ?
もし案内していたのがオレたちじゃ無かったら、今回命の危険もあったはずだ。
「あららら? 怒られてしまったわ~。でも、たしかに私の不手際なのよね~」
「待って! 学院長は悪くないのですわ! 私がこの国の第一王女『ゼシカ・フォン・トリアデン』なのは事実だけど、この事実を知っているのは学院長と王様だけなの! だから私も秘密を知られたってことでしょ? そもそも今回の件で私は命を救ってもらったようなものですし、絶対に秘密は守るわ!」
たしかに王女ってことがバレたくないのなら、お互いに秘密を守ろうって話もわかる気はするが……。
「一応ね~。ビアンカさんの送り迎えの馬車はもちろん、所要で学院外に出る時は護衛がついているのよ~」
学院内で危険に晒されるのは想定外だったのだろう。
でも、この国の情勢とかはわからないが、それでも学院内で誰かに狙われるとかないのだろうか?
まぁオレがこれ以上首を突っ込むことではないだろうし、国王様とも話がついているのならここでいろいろ異を唱えても仕方ないか。
「そうですか……。でも、正直驚きました。ずっとビアンカさん……ゼシカ様と呼んだ方がいいですね。ゼシカ様を驚かしてばかりで申し訳ないと思ってましたけど、最後に逆に心底驚かされました」
オレがそう言うと、ゼシカ様はすこし悲しそうな顔になり、その後迷った素振り見せてから口を開いた。
「あ、あの! コウガさん、あなたたちと出会ったのは『この国の第一王女ゼシカ』ではなく『ただの優秀な学生のビアンカ』だから、ででで出来れば、ととと友達として、今までみたいに『ビアンカさん』と呼んで欲しい! いや、むしろビアンカで!」
顔を真っ赤にさせながら目を瞑って言う姿は年相応の女の子だ。
オレはみんなと視線を交わして頷きあうと……。
「わかりました。呼び捨てはちょっと無理ですが……優秀な学生のビアンカさん、オレたちなんかでよければ友達になってください」
と言って手を差し出した。
「ぜ、ぜひですわ!」
その手を取るビアンカの笑顔はとても素敵だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
なんとかビアンカさんの件が片付いたので、その後はジルの手を借りて十一階に封印を施し、一度学院長室がある九階まで戻ってきていた。
封印結界はウィンドアさんが一人ですると数時間かかるらしいのだが、何をどうやったのかジルがサポートすると五秒で完成した。どうやったのかとかはもうオレには聞かないで欲しい。
「お婆ちゃん。それでなぜ封印結界が解かれていたのかはわかったのですか?」
リルラが、ウィンドアさんに淹れて貰った蜂蜜入り紅茶を美味しそうに啜りながら問いかける。
「そうね~。今日の見回り担当がドアンゴ先生なので彼が一番怪しいのですけれど~。確証がないわね~。そもそもドアンゴ先生に私の結界が解けるとも思えないのですけど~?」
不思議ね~と相変わらずマイペースなウィンドアさん。
しかし犯人が誰かはあっけなく解決する。
≪うむ。犯人はそのドアンゴとかいう男で間違いないぞ≫
ジルが千里眼を使ったからだ。
そして千里眼で確認しながら起こった事をみんなに説明してくれた。
「あららら? ジル様にかかったらどんな難事件でも一瞬で解決ね~。名探偵ジルさんね~」
そりゃぁ、ジルの千里眼があれば、どんな名探偵にも負けないだろう。
だって、離れた場所を見れるだけでなく、過去に起こったことまで見れるのだから。
でも、名探偵ジルはないと思う……。
「それでドアンゴ先生が犯人なのはわかったけど、目的はなんなのです? ……にゃ」
≪うむ。どうも魔族どもにたぶらかされたようだ≫
ジルの話を聞いてみると、そのドアンゴ先生とやらは物品鑑定のギフトを持っていて、その能力を魔族に目を付けられ、高額の報酬と引き換えにとある物を探して持ち出すように取引を持ちかけられたようだ。
「もしかしてそのとある物って!?」
ビアンカさんに心当たりがあるのか、すこし慌てた様子だ。
「あららら? そうね~。私たちより魔法が得意な魔族が欲しがるような物と言えば、ビアンカさんの思っている物で間違いないんじゃないかしら~?」
ウィンドアさんもその心当たりがわかったようだが、一体なんだろう?
「「ビアンカさん、それは何なの? ……にゃ」」
ビアンカさんは、双子らしくハモって聞き返す二人に一瞬微笑みを浮かべるが、ふたたび表情を引き締めてこうこたえた。
「それは……太古より伝わる王家の秘宝『破戒の宝玉』よ」
77
あなたにおすすめの小説
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる