【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

文字の大きさ
47 / 107
第一章 中盤

第47話:他言無用

しおりを挟む
 戦いの余韻が残る中、オレはリルラのもとへと駆けていく。
 どうやら最後の白い嵐あの攻撃は召喚者にも大きな負担をかけるようで、呆然としており今にも倒れそうだ。

「リルラ! 大丈夫か!」

 オレの呼びかけに我に返ったリルラは、あわててシグルステンペストを精霊界に送り返すと、フラフラになりながらも駆け寄って来て……。

「や、やりましたよ! コウガ様!」

 嬉しそうにオレの腰にぎゅっと抱きついてきた。
 ちょっと気恥ずかしいが、あれだけ頑張ったのだからリルラの好きにさせてあげよう。

「よくやった。さすがリルラだ」

「はい! 頑張りました!」

 リルラの頭をワシャワシャ撫でてあげると嬉しそうに目を細める。

「すごいのはわかっていたが、最後の攻撃は特にすごかったな」

「あれは『ホワイトテンペスト』という技で、シグルステンペスト最大の攻撃力を誇ってるんですよ」

 心のなかで勝手に白い嵐と言っていたが、ほぼ当たってたな。
 なんなら本物の嵐よりはるかにすごい威力だったし、まさにホワイトテンペストって名前にぴったりなとんでもない技だった。

「ホワイトテンペストか……。かっこいい名だな。しかしリルラは本当にすごいよ。オレももっと頑張らないといけないようだ」

「何を言っているのですか! コウガ様は十分お強いです!」

 そんな風にオレのことを思って怒ってもらえるのはありがたいが、やっぱりもっと頑張らないとと本当に思う。

「いや。まだまだだ。でも、これからもっと強くなる! 見ててくれ!」

「はい!」

 しばらくリルラと話し込んでいると、戦いが終わったのを知ったリリーとルルー、それにビアンカさんが戻ってきた。

「リルラ、お疲れ様。すごかったわ。ホントにびっくりしちゃった……にゃ」

「リルラ、これからリルラちゃん・・・とは呼ばない……にゃ」

「えっと……ちゃん付けじゃなくなるのは嬉しいのですけど、私の方がお姉ちゃんなのに呼び捨てなのですね……」

「リルラを『リルラお姉ちゃん』って呼んでたら、私たち変な目で見られる……にゃ」

 たしかにリリーの言う通りだろう。リルラの見た目はどう上に見ても一〇歳が限度だ。
 リリーとルルーはオレと同じ一五歳だが、どちらかと言うと大人びていてもうすこし上に見えるからな。

「あららら? リルラもお姉ちゃんぶりたい年頃なのね~」

 一二〇〇歳はお姉ちゃんぶりたい年頃なのか……? 怒られるから聞かないけど。

「しかし……あの圧倒的な強さのシグルステンペストをジルさんは歯牙にも掛けないんですよね? ……にゃ」

「ジルさんの本気を見たことがないから、あの大精霊を圧倒する力と言われても、もう想像がつかない……にゃ」

 そんな風に先ほどの戦いを振り返っていろいろ話していると、急にビアンカが大声をあげた。

「もうぅぅぅぅっ!! あなたたちいったい何者なんですの!? 私、もうさっきからずっと訳がわからなくて一人置いてけぼりじゃないですか!?」

 そう言えばビアンカさんにどう説明するのか決めてなかったな……。

「えっと……秘密ってことで?」

 とりあえず秘密ってことで頼んでみた。

「えっ!? そんな簡単な問題ですの!? このとんでもない出来事を私は『ってことで?』の一言でずっと秘密にしておかないといけないんですの!?」

 ビアンカさんは既にこの塔の攻略失敗の真実を知っているんだし、同じように秘密にしてもらうのは駄目かな……?

「え? ダメですか?」

 とりあえず押し切れるか試してみた。

「えっ? 何さも当然のように『ダメですか』とか聞いてるんですか!? せめてあなたたちが何者なのか? 何をどこまで秘密にすればいいのか事情など説明して頂かないと!」

 やっぱりここまでのことを目撃したのに、事情も説明しないで秘密っていうのは無理があるか。
 頬を膨らませて怒る姿は可愛いが、いつまでも冗談言ってても仕方ない。

 だけど説明するにしてもどこから話せばいいかと悩んでいると、ジルがいきなりとんでもないことを言い出した。

≪主よ。何なら我がその娘の記憶を消しておこうか?≫

「えぇ!? ジルってそんなことまで出来るのか?」

 今回そんなことを頼むつもりはなが、これができるのなら今後なにかの役に立つかもしれない。

≪出来るぞ。ただ、自分の名前も忘れてしまうのでそれでも良け……≫

「却下だぁ!!」

 あぶない……最近ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ常識が身についてきていたから油断してた……。

「ひぃ!?」

 ほら見ろ……ビアンカさん、めちゃくちゃビビってしまっているじゃないか……。
 シレッと息をするようにとんでもない爆弾落とさないで欲しい。

「ビアンカさん! 絶対しないし、させないから安心して! ごめんね!」

「わわわ、わかったわ……ほほ、本当にお願いしますわよ……」

 お詫びじゃないけど、ちゃんと本当のことを話して黙っていてもらおう。
 まだ出会ったばかりだけど、ビアンカさんが悪い子じゃないのは確かだ。ウィンドアさんの信頼も得ているようだし大丈夫なはず。

 それに、もう最悪バレてもジルがいれば何とかなる気もしている。
 ただそれは最終手段ってことで、もう少しの間は普通の冒険者生活を送りたい。もう普通じゃないとか言うな。

「それじゃぁ、ウィンドアさんも一緒に聞いてもらえますか? それと秘密が漏れると国が・・混乱する可能性があるので絶対に他言無用でお願いします」

「あららら? それは絶対に口を滑らせないようにしないといけないわね~」

「混乱する? ……国が? ……わ、わかりましたわ!」

 いや、本当に冗談抜きでジルの存在がバレると国が混乱すると思うんだ。
 オレたちの生活が激変するのも嫌なのだけど、それよりも国のパワーバランスが崩れていろいろ問題が起こる可能性がある。少なくともジルがあの『邪竜ジルニトラ』であることだけは伏せておかないといけない。
 だからジルの正体このことだけは説明しないつもりだ。

 その後、リリーやリルラに補足してもらいながら、オレたち『恒久の転生竜』の秘密を話したのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 なんとかジルが悪名高い有名な邪竜ジルニトラであることを伏せた形で説明を終えることができた。
 ちなみにフェアリードラゴンの姿は仮の姿で、実は最上位の竜の一種である『古代竜』であり、『竜と道を共にする者』に似たギフトの力でテイムしたということにしてある。
 もちろんオレが転生者であり、前世の記憶を持っていることは誰にも言っていない。

 ちなみにギフト『竜と道を共にする者』とは、リシュテイン公国の公爵家にのみ代々授けられているギフトで、竜を完全にテイムするわけではなく、友として認められる力だと言われている。
 どんなギフトなのか一度詳しく話を聞いてみたいが、尋ねていっても絶対厄介な事になりそうなので出来る限りは公国には近づかないつもりだ。
 王族や貴族とかとかかわると、色々なしがらみに巻き込まれそうで怖いからな。

 とにかく我ながらうまく説明できた気がする。

「そのドラゴンが古代竜で先程の大精霊よりも強いなんてにわかには信じられないお話ですけれど……でも、人語も理解していますし信じる他ないですわね……」

「あぁ、嘘は言っていないと誓うよ」

 ジルは古代竜より古い神代の竜だが、古代竜の広義の意味では神代の竜も古代竜として扱われるから嘘ではない……はず。
 それにオレが転生者だということも、ジルがあの邪竜ジルニトラだということも、話していないだけで嘘は言っていない。うん。確かに嘘は言っていないぞ。

「そう。じゃぁ私はコウガを信じるわ」

「信じてもらえて良かったよ。後は先ほどお願いした部分は秘密で頼みます。命にかかわるような自体の時は漏らして貰ってかまわないけど、王族や貴族に知られて厄介ごとに巻き込まれるのは勘弁したいからな」

 ビアンカさんは貴族の令嬢っぽいが、今はオレたちの実力があがったし、まぁ王族や高位の貴族に漏れなければなんとかなるだろう。

「あららら? それは困ったわね~」

 ウィンドアさんが、なぜか何度も「困ったわね~」と頬に両手を当てて頭を傾けている。
 相変わらずぜんぜん困ってるふうには見えないけど。

「えっと、なにが困ったんですか?」

「あららら? だって~ね~?」

 あれ? どうしてだろう……急にすごく嫌な予感がしてきたぞ……。

「だって~。ビアンカさんは、この国の王女様ですもの~」

「「「え?……」」」

 やっぱりジルに記憶を消して貰ったらダメだろうか……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...