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第一章 中盤
第60話:非公式
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オレたちはその後コルナさんにドアラの街でのことを白状させられ、お説教を受けていた。
「どうしてそんな大事なことを黙っていたのですか!?」
どうやら国王様にも報告されるそうで、またさらに厄介なことになりそうだ。まぁ自業自得なんだけど……。
「コウガ様。良い行いをしたのですから、堂々としていればいいと思いますが?」
リルラがフォローしてくれるが、はたから見たら優等生な妹に慰められるダメな兄貴みたいな図だな……。本当に面目ない。
そうこうしているうちに今度は王城の門に到着する。
「学術都市セデナのコルナです。先触れが来ているかと思いますが『恒久の転生竜』の皆様をお連れ致しました」
「話は聞いております。ご案内致しますのでどうぞこちらに」
対応してくれた衛兵に馬車を預け、オレたちはそのまま王城へと案内される。
あまり華美な装飾ではないが、質実剛健なその作りは実際に過去幾度となく戦いをくぐり抜けて来た歴史を感じさせた。
城の中は凝った作りでこそないが、花や壺、絵画などが飾られており、まさに中世のお城のイメージそのまま。特に中庭の花壇は、この世界で初めて見るほど色とりどりの花が咲き乱れており、思わず足を止めてしまうほどだった。
そんな石造りの城内を歩くこと十数分。すこし大きめの扉の前へと案内される。
「それではここでお待ちください」
オレたちが案内された部屋は三〇人ぐらいはゆっくり過ごせるのではないかという広さの部屋。
ここに来るまでの比較的シンプルな装飾とは異なり、部屋には様々な調度品が並び、中央に設けられた大きなソファーなどは座るのを躊躇するほどの豪奢な作りのものだった。
「なんか座るの気が引けるな……」
「「ちょっと落ち着かない……にゃ」」
オレやリリーとルルーが所在なげにしているのとは対照的に、リルラは気にしたそぶりもなくソファーでぽんぽん跳ねながら寛いでおり、ジルもソファの上で丸くなって静かに目を閉じていた。
ちなみにコルナさんは、話があるということで先ほどわかれたので、この場には恒久の転生竜の仲間だけだ。そのため室内には気のおける面子だけしかいないので、そこだけは救いだ。
「それでコウガ。ジルさんのことはどうするのですか? ……にゃ」
ジルも『知恵ある竜』ということで話をしたお陰か、厩舎や檻などではなく、敬意を払ってもらって今も同じ部屋で待たせてもらえている。
つまり恐らくこのあと、そのことについても話をすることになるのだ。
≪主よ。話を合わせるのは馬車の中で話したのでだいたい理解しているが、我は結局『古代竜』で名は『ジル』ということで良いのだな?≫
「さっきは話が二転三転して悪かったが、それで頼むよ」
最終的に、結局ウィンドアさんに説明した内容で話せることだけ話す感じで押し通すことになった。だから、ジルはフェアリードラゴンの古代種だということで話をすることになっていた。
そしてセデナの街で見せた飛竜のような大きさは、元が飛竜サイズのではなく、魔法で大きくなった姿だということにしてある。
あくまでも印象の問題だが、元のサイズが大きいより、小さい方が受ける印象がマシだろうと思っての苦肉の策だ。焼け石に水かもしれないが……。
「恒久の転生竜様。大変お待たせいたしました」
部屋のドアがノックされ、コルナさんが二人の騎士と共に戻ってきた。
ただ、騎士の二人は部屋の外で待っているようで入ってきたのはコルナさんだけだった。
どうやら今後の予定に変更があったらしい。
「それで、この後のことなのですが……」
話を聞いてみると、謁見は公の場ではなく、ひとまずは内々で行われることになったとのことだった。そのことに内心ちょっと喜ぶが、結局あとで公式の場でも謁見があるそうなので、問題の先延ばしでしかなかった。
「え? このままの格好でいいのですか?」
服装を着替えるものとばかり思っていたのだが、王様がそのままで良いと指示したそうで、いつもの冒険者装備のままお会いすることになってしまった。
本当にこのまま会ってもいいのだろうか。
一応、槍などの武器はジルの次元収納に入れてもらってはいる。
しかし、オレがジルとのつながりを通して武器を出すように伝えれば、すぐさま全員に武器が渡される練習をしてあるので、実質フル装備のようなものなのだ。
まぁそもそも、ジルがその気になれば警備も何もまったくもって無意味なことではあるのだけれど……。
「それでは時間になりましたので、そろそろ参りましょう」
「はい。わかりました。じゃぁみんな、頼むぞ」
いろんな意味で本当に頼むぞ……。
コルナさんの後に続き五分ほど城内を歩くと、目的と思われる部屋の前にたどり着いた。
「こちらです。どうぞお入りください」
扉の前にいた近衛騎士と思われる人にも許可を得て部屋へと通される。
あれ? そう言えば正式な謁見での作法は習ったけど、こういう非公式な場でどうすればいいかは習ってないぞ!?
「失礼致します! C級冒険者パーティー『恒久の転生竜』です!」
こういう場での礼儀や作法などぜんぜんわからないので、咄嗟に普通に名乗りをあげて部屋に入った。
一瞬、不敬だと怒られたらどうしようかと心配したが、返ってきたのは嬉しそうな声色の言葉だった。いきなり国王様の不興を買わなくて良かった……内心かなり焦った。
「おぉぉ! よくぞ参ったな!! そう肩肘張らずとも良い。まずはそこに座ってくれ」
四〇歳前後に見える若い国王様は、歓迎の意を表すように立ち上がると両手を広げて迎え入れてくれた。意外と気さくそうな人でちょっとホッとする。
「はい! それでは失礼致します!」
緊張しつつも勧められるがままに椅子に座ろうと一歩足を踏み出すと、見知った声でクスクスという笑い声が聞こえてきた。
「ふふふ。コウガも緊張とかするんですね」
「え!? ビアン……ぜ、ゼシカ様もおられたのですね」
そこには学院で会った時とは様相をガラリと変えたビアンカさんが座ってこちらに手を振っていた。いかにもお姫様というその可憐な姿に驚く。
「おぉぉ! ゼシカが男にそのように笑いかけるのは初めて見るな! そうかそうか!」
なにか王様が変な納得の仕方をしているが、まさか突っ込むわけにもいかず聞き流す……。
「お、お父様!? 変な言い方しないでくださいませ! 先日も報告したようにコウガたちは命の恩人なのですから、親しみを感じるのは当然です!」
ビアンカさんもあまりこの手のことに慣れていないようで、びっくりするぐらい顔を真っ赤にしていてちょっと可愛い。
そして人が焦っているとなんだか逆に冷静になるもので……お陰でオレもいくぶん緊張をほぐすことが出来た。
「私たちも事件の次の日にはすぐにこちらに向かいましたのに、ゼシカ様が先に着かれているのは不思議ですね?」
リルラが顎に人差し指をあてて、ふと疑問を呟く。
たしかにこちらが先に着くと思っていたので、オレもビアンカさんがいて驚いた。
だが、オレたちの様子を見た王様は、ちょっと嬉しそうに……。
「それは我が国の国防に関することだから説明できぬが……まぁそのような手段があるということだ」
と答えてくださった。
でも、横からビアンカさんに注意されているので、今の言葉も聞かなかったことにしよう……。
「それで……話をこれから改めて聞くわけじゃが、先に一人の親として礼を言わせてくれ。ゼシカを救ってくれてありがとう。君たちがたまたま学院に見学に来ていなければ、もうこうして娘と話をすることも出来なかったであろう。本当に感謝する。何か欲しい物があれば何でも申してくれ」
と言って、国王様はただの冒険者に頭をさげた。
「あ、頭を上げてください!? オレたちは偶然そこに居合わせたことで、たまたまお救いすることが出来たにすぎません! 特になにも望んでおりませんので、その言葉だけで十分です!」
オレが慌ててそう伝えると、王様は頭をあげてにかっと笑みを浮かべる。
「うむ。性根も良さそうだし合格だな! いや、感謝しているのは本当だぞ?」
と告げてきた。
ん? これは軽く試されたのか?
こういうやりとりに慣れておらず、本心なのか、それとも態度や欲などを探られたのか、さっぱりわからない……。
ただ、感謝しているという部分は気持ちがすごく込められてた気がするので、素直に受け取っておこう。
まぁでも、あまり油断しすぎないようにしないとかな……。
「どうしてそんな大事なことを黙っていたのですか!?」
どうやら国王様にも報告されるそうで、またさらに厄介なことになりそうだ。まぁ自業自得なんだけど……。
「コウガ様。良い行いをしたのですから、堂々としていればいいと思いますが?」
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「学術都市セデナのコルナです。先触れが来ているかと思いますが『恒久の転生竜』の皆様をお連れ致しました」
「話は聞いております。ご案内致しますのでどうぞこちらに」
対応してくれた衛兵に馬車を預け、オレたちはそのまま王城へと案内される。
あまり華美な装飾ではないが、質実剛健なその作りは実際に過去幾度となく戦いをくぐり抜けて来た歴史を感じさせた。
城の中は凝った作りでこそないが、花や壺、絵画などが飾られており、まさに中世のお城のイメージそのまま。特に中庭の花壇は、この世界で初めて見るほど色とりどりの花が咲き乱れており、思わず足を止めてしまうほどだった。
そんな石造りの城内を歩くこと十数分。すこし大きめの扉の前へと案内される。
「それではここでお待ちください」
オレたちが案内された部屋は三〇人ぐらいはゆっくり過ごせるのではないかという広さの部屋。
ここに来るまでの比較的シンプルな装飾とは異なり、部屋には様々な調度品が並び、中央に設けられた大きなソファーなどは座るのを躊躇するほどの豪奢な作りのものだった。
「なんか座るの気が引けるな……」
「「ちょっと落ち着かない……にゃ」」
オレやリリーとルルーが所在なげにしているのとは対照的に、リルラは気にしたそぶりもなくソファーでぽんぽん跳ねながら寛いでおり、ジルもソファの上で丸くなって静かに目を閉じていた。
ちなみにコルナさんは、話があるということで先ほどわかれたので、この場には恒久の転生竜の仲間だけだ。そのため室内には気のおける面子だけしかいないので、そこだけは救いだ。
「それでコウガ。ジルさんのことはどうするのですか? ……にゃ」
ジルも『知恵ある竜』ということで話をしたお陰か、厩舎や檻などではなく、敬意を払ってもらって今も同じ部屋で待たせてもらえている。
つまり恐らくこのあと、そのことについても話をすることになるのだ。
≪主よ。話を合わせるのは馬車の中で話したのでだいたい理解しているが、我は結局『古代竜』で名は『ジル』ということで良いのだな?≫
「さっきは話が二転三転して悪かったが、それで頼むよ」
最終的に、結局ウィンドアさんに説明した内容で話せることだけ話す感じで押し通すことになった。だから、ジルはフェアリードラゴンの古代種だということで話をすることになっていた。
そしてセデナの街で見せた飛竜のような大きさは、元が飛竜サイズのではなく、魔法で大きくなった姿だということにしてある。
あくまでも印象の問題だが、元のサイズが大きいより、小さい方が受ける印象がマシだろうと思っての苦肉の策だ。焼け石に水かもしれないが……。
「恒久の転生竜様。大変お待たせいたしました」
部屋のドアがノックされ、コルナさんが二人の騎士と共に戻ってきた。
ただ、騎士の二人は部屋の外で待っているようで入ってきたのはコルナさんだけだった。
どうやら今後の予定に変更があったらしい。
「それで、この後のことなのですが……」
話を聞いてみると、謁見は公の場ではなく、ひとまずは内々で行われることになったとのことだった。そのことに内心ちょっと喜ぶが、結局あとで公式の場でも謁見があるそうなので、問題の先延ばしでしかなかった。
「え? このままの格好でいいのですか?」
服装を着替えるものとばかり思っていたのだが、王様がそのままで良いと指示したそうで、いつもの冒険者装備のままお会いすることになってしまった。
本当にこのまま会ってもいいのだろうか。
一応、槍などの武器はジルの次元収納に入れてもらってはいる。
しかし、オレがジルとのつながりを通して武器を出すように伝えれば、すぐさま全員に武器が渡される練習をしてあるので、実質フル装備のようなものなのだ。
まぁそもそも、ジルがその気になれば警備も何もまったくもって無意味なことではあるのだけれど……。
「それでは時間になりましたので、そろそろ参りましょう」
「はい。わかりました。じゃぁみんな、頼むぞ」
いろんな意味で本当に頼むぞ……。
コルナさんの後に続き五分ほど城内を歩くと、目的と思われる部屋の前にたどり着いた。
「こちらです。どうぞお入りください」
扉の前にいた近衛騎士と思われる人にも許可を得て部屋へと通される。
あれ? そう言えば正式な謁見での作法は習ったけど、こういう非公式な場でどうすればいいかは習ってないぞ!?
「失礼致します! C級冒険者パーティー『恒久の転生竜』です!」
こういう場での礼儀や作法などぜんぜんわからないので、咄嗟に普通に名乗りをあげて部屋に入った。
一瞬、不敬だと怒られたらどうしようかと心配したが、返ってきたのは嬉しそうな声色の言葉だった。いきなり国王様の不興を買わなくて良かった……内心かなり焦った。
「おぉぉ! よくぞ参ったな!! そう肩肘張らずとも良い。まずはそこに座ってくれ」
四〇歳前後に見える若い国王様は、歓迎の意を表すように立ち上がると両手を広げて迎え入れてくれた。意外と気さくそうな人でちょっとホッとする。
「はい! それでは失礼致します!」
緊張しつつも勧められるがままに椅子に座ろうと一歩足を踏み出すと、見知った声でクスクスという笑い声が聞こえてきた。
「ふふふ。コウガも緊張とかするんですね」
「え!? ビアン……ぜ、ゼシカ様もおられたのですね」
そこには学院で会った時とは様相をガラリと変えたビアンカさんが座ってこちらに手を振っていた。いかにもお姫様というその可憐な姿に驚く。
「おぉぉ! ゼシカが男にそのように笑いかけるのは初めて見るな! そうかそうか!」
なにか王様が変な納得の仕方をしているが、まさか突っ込むわけにもいかず聞き流す……。
「お、お父様!? 変な言い方しないでくださいませ! 先日も報告したようにコウガたちは命の恩人なのですから、親しみを感じるのは当然です!」
ビアンカさんもあまりこの手のことに慣れていないようで、びっくりするぐらい顔を真っ赤にしていてちょっと可愛い。
そして人が焦っているとなんだか逆に冷静になるもので……お陰でオレもいくぶん緊張をほぐすことが出来た。
「私たちも事件の次の日にはすぐにこちらに向かいましたのに、ゼシカ様が先に着かれているのは不思議ですね?」
リルラが顎に人差し指をあてて、ふと疑問を呟く。
たしかにこちらが先に着くと思っていたので、オレもビアンカさんがいて驚いた。
だが、オレたちの様子を見た王様は、ちょっと嬉しそうに……。
「それは我が国の国防に関することだから説明できぬが……まぁそのような手段があるということだ」
と答えてくださった。
でも、横からビアンカさんに注意されているので、今の言葉も聞かなかったことにしよう……。
「それで……話をこれから改めて聞くわけじゃが、先に一人の親として礼を言わせてくれ。ゼシカを救ってくれてありがとう。君たちがたまたま学院に見学に来ていなければ、もうこうして娘と話をすることも出来なかったであろう。本当に感謝する。何か欲しい物があれば何でも申してくれ」
と言って、国王様はただの冒険者に頭をさげた。
「あ、頭を上げてください!? オレたちは偶然そこに居合わせたことで、たまたまお救いすることが出来たにすぎません! 特になにも望んでおりませんので、その言葉だけで十分です!」
オレが慌ててそう伝えると、王様は頭をあげてにかっと笑みを浮かべる。
「うむ。性根も良さそうだし合格だな! いや、感謝しているのは本当だぞ?」
と告げてきた。
ん? これは軽く試されたのか?
こういうやりとりに慣れておらず、本心なのか、それとも態度や欲などを探られたのか、さっぱりわからない……。
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