【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

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第一章 中盤

第61話:報奨

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 トリアデン王国の国王『アレン・フォン・トリアデン』様はジルに興味津々だったが、まずは今回の出来事の説明ということになり、オレたちは今までのことを順をおって報告することになった。

 ただ、今回の一連の出来事を説明するには、獣人族で起こった事件を避けて通ることはできない。
 事の始まりが獣人族の灰色狼族の男に成りすましていたアモンなので話さないわけにはいかず、リリーとルルーの二人には辛い記憶を掘り起こすことになり悪いことをした。

「そうか。お主たち獣人族でそのような事件が起こっておったのだな。魔王軍が現れたという報告だけは受けていたが……。して、その『技巧のアモン』というのが、その後どうなったかまではわからぬのか?」

≪うむ。どうやらその魔族は、かなり高位の隠蔽の魔道具を使っておるようでな。我の千里眼でもその所在が掴めぬのだ≫

 国王様に対して少々不遜な物言いだが、設定においても恒久の時を生きるフェアリードラゴン古代竜となっているので、いつも通りの話し方で良いことになった。
 ちなみに、国王様と話すちいさなドラゴンの絵面は突っ込んではいけない。

 そして話の通り、アモンの件はジルに頼んでたまに行方を探ってもらっているのだが、中々用心深い魔族のようだ。ジルの探査能力をもってしても未だにその居場所は掴めていなかった。

「それで……その次が『叡智の塔』か?」

 そこで封印が破られ、石の魔物が大量に現れたこと、その後確認に戻ると今度は『神造機兵メグスラシル』が現れ、そこでリルラが撃退したことを説明する。

 さらにそこから魔界門、最後の魔王軍十四万の所の説明まで話し終えた頃には、もう二時間近くの時間が過ぎていた。

「はぁ~ようやく終わったか……。まったく……どれか一つでもお主らがその場に居なければ、大惨事になっていたようなものばかりではないか」

「はぁ~あの塔での出来事だけでもとんでもないことだと思っていたのに……。あなたたちは自分が何をしてきたか理解しているのかしら?」

 王様とビアンカさんが盛大にため息をつきながらそう言うが、そんなことを言われてもというのが正直な気持ちだ。別に悪いことはしてないはずだしな。たぶん……。

「しかし、ここまでとんでもない話となると、素直にすべてを公表するわけにはいかぬな。名誉騎士の授与と冒険者ランクA級への推薦、あとは報奨金をと思っておったのだがとても足りぬ」

 たしかに馬鹿正直に「実は魔王軍が暗躍して二度も攻め込んで来てました~」とか、それを「でも冒険者がサクッと全滅させてくれたので事なきを得ました~」などとは公表できない。
 しかしだからといって、実際に二度も攻め込まれているのは事実なので、緊急事態宣言のようなものを出さないわけにはいかないらしい。

 ん~ジレンマだな。

「コウガ……なんか他人事みたいな感じに思ってない?」

 なぜバレた……。
 でもビアンカさんはそう言うが、国の今後の方針に関わるようなことを冒険者になってまだ一年にも満たないオレが決められるわけがない。

「そう言われても……オレたちはちょっと腕が立つだけのただの・・・冒険者だし?」

ただの・・・冒険者が魔王軍を返り討ちにして全滅なんて出来ないわよ!!」

 実際ただのC級冒険者なのは事実で、肩書きも地位もその通りでしかないのだが……。ちょ~っと戦力が異常だけどな!

「しかし、そのギフトを授かったのがコウガのような善良な若者で本当に良かった。もうそこにいるジル殿には見抜かれているようだからばらすがな、我はこの魔道具でコウガの心の善悪を判定しておったのじゃ」

 国王様はそう言って、右手を挙げて指にはめたクリスタルの付いた指輪を見せてくれた。

「え? 心の善悪? どういう事ですか?」

「コウガ……ごめんね。私も知っていたのだけど、コウガならきっと大丈夫と思って黙ってたの。この魔道具はね、その会話に悪意がこもっていないかを判定する力があるの。悪意があればこのクリスタルは濁っていくのよ」

 ビアンカさんは説明を終えると、国王様の指のクリスタルを指差し「ね? 綺麗なままでしょ?」と言ってほほ笑んだ。

「『ね?』じゃないですよ……悪だくみとかするつもはないですから、いいですけど……」

 そう言いながらも、内心ちょっとホッとしたのは内緒だ。
 というかジル、気付いていたのなら教えてくれ……。

「まぁそう言うことだから儂もコウガのことは信用する。都合が良いのはわかっておるが、コウガも儂たちを信用してくれまいか? 決して悪いようにするつもりはない」

 こういう試すようなことはしないで欲しいが、国王様ともなるとリスクはできるだけ回避するのは当然だろうし仕方ないのだろうな。
 それに、ちゃんとこうして後出しでも話をしてくれて誠意を見せてくれたのなら、こちらも応えるべきか。

「わかりました。正直言うと最初はすこし王侯貴族の方々とは距離を置きたいと思っていたのですが、魔王が動き出したこのような状況です。覚悟を決めました」

 最初はこの【ギフト:竜を従えし者】を利用されないために当面は出来る限り隠すつもりだったが、今はジルはもちろん、リルラにリリーとルルーもいる。

 心強い仲間がいる。

「そうか。すまぬな。では、今回の件は、ある程度の内容を公表し、功績に見合った報酬を与えることとする」

「お父様。でも、功績に見合ったと言いましても、このような出来事は初めてですしどうされるおつもりですか?」

 ビアンカさんがそう尋ねると、国王様はオレたちを見渡して宣言した。

「うむ。『恒久の転生竜』のメンバー全員には、英雄にのみ贈られる勲章『月下の騎士』を授け、名誉子爵としての貴族特権を与える! また、別途報酬として、それぞれに白金貨一〇枚を与えるものとする!」

 後ろでジルとリルラが勲章って何? とか言っているが説明は後でしよう……。
 と言っても、オレも聞いたことない名前の勲章だな。

 名誉子爵や名誉騎士などの名誉職は、領地などを持たない一代限りの貴族だ。
 たしか、国が危急の時に駆け付け力を貸すことぐらいしか義務が無かったはずだ。

 つまりは何もなければ貴族特権と給金だけが貰えるのだから、おそらくこちらに配慮してもらった報酬を頂けたと思っていいだろう。もちろん魔王軍が二度も攻めてきているような状況だから、一概に楽だとも思わない。だが、国としても戦力のあてはなんとしても押さえておきたい状況だし、そこはオレたちも望むところだ。

 それに約一億円相当のお金をメンバーそれぞれ全員にというのだから、王様がオレたちのことを高く評価してくれているのも嬉しい。

 まぁお金はジルの次元収納の宝石とか売るだけで、永遠に使いきれないぐらいあるのだけれど。
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