【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

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第一章 後半

第81話:破壊と不死の王

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 結局ヴィーヴルに押し切られ、彼女はオレについてくることになってしまった。
 集落に戻って貰って説得してくれるって話はどこいった……。

 そもそも自分たちの姫様を出会ったばかりのオレに預けるとか絶対駄目だろうって思うのだが、ゼクトたちは竜人ドラゴニュートの女が惚れたのなら仕方ないとか、掟が……とか結局ぜんぜん説得に協力すらしてくれなかった。

 ジルにも一方的に主従契約を破棄できないかと念話で相談したのだが……。

≪一方的に契約を破棄する方法を我が知っていたとして、それを主に教えると思うか?≫

 と言われて諦めた。
 そのつもりがないので忘れていたが、ジルはオレとの契約が切れるとまた自我を失うんだった。

 うん、やっぱり知らない方がいい。世界の平和のために。

 しかし、帰ったらリリーたちに文句を言われそうで怖いな……。
 まぁ正直に話すしかないんだが。

「それとコウガさん。申し訳ないのですけど、一度私たちの集落まで着いて来てもらえるかしら?」

 旅立つのにいろいろと準備がしたいらしい。

「わかった。それで、その集落はここから遠いのか?」

 集落に寄るのはいいのだが、ここから何週間もかかるとか言われるとさすがに困る。
 まだ依頼達成報告をしないといけないし、あまりにも遠いようならちょっと方法を考えないといけない。

 と心配したのだが、思ったよりもずっと近かった。

「大丈夫だ。俺たちの集落はここから三時間ほどだ」

 竜化して飛んで移動した場合の時間のようだから、実際にはかなりの距離があるようだが、それでも三時間程度なら問題ないだろう。

「わかった。じゃぁオレは走って追いかけるから、できれば空が見える見通しのいいところを通るようにしてくれ」

 ジルがいないので飛んで追いかけることはできない。
 なので、頑張って走るしかない。

 でも、オレのその言葉にヴィーヴルがなぜか手をあげて待ったをかけた。

「ま、待って! そそ、それなら私が運びます! コウガさんもそれでいいですよね!」

「え……いやいや! オレは走っていくから!?」

 ヴィーヴルが竜化しても、ちいさいのでジルのように背に乗せてもらうことはできない。
 そうなると背には翼があるので、お姫様抱っこされることになる。

 さすがにそれは遠慮したい……。

 運ぶ! 走る! 抱っこする! 走る! と不毛な言い争いをしていると、急に悪寒が走った。

「ん……? ちょっと待て……話は後だ!」

 この気配は覚えがある!

「コウガさん! 上よ!!」

 ヴィーヴルの声とほぼ同時にオレも空を見上げていた。
 またもや転移の気配が空中に現れたのだ。

「まったく! 転移魔法って伝説級の魔法じゃなかったのかよ!」

「さっきまでとは気配がすこし違います! 気を付けてください!」

 距離を取ってヴァジュランダをかまえると、二つのちいさな影が空中に現れた。
 いや、ドラゴンゾンビと比べればちいさいが、人として見れば一人はかなり大きいな。

 そう。現れたのは人の形をしていた。
 それが二人。
 一人は魔術師風、もう一人はマッチョな大男の姿をしていた。

 ただ……人族ではなさそうだ。

「いやぁ、参りました。まさか送り込んだドラゴンゾンビを二体とも倒されるとは。これは竜人ドラゴニュートの力を上方修正しなければなりませんね」

 すごいすごいと言って嬉しそうに拍手をする黒いローブを纏ったやせ細った小男。
 頬骨が異様なほど出ていてまるで骸骨のような顔をしており、その姿はグールを連想させる。だが、纏っている魔力が尋常じゃない。グールとは格が違う。

 ただの魔族ではないだろう。

「笑っでる場合じゃないっ。ぜっがぐ良いドラゴンの死体材料を提供してやっだのに無駄にじやがっで」

 そしてもう一人は、身長2メートルを超える筋骨隆々の男。

 その話し方からは想像がつかない精悍な顔つきに、立ち姿一つとっても隙がなく、纏う邪気のようなものと相まって、こちらも只者じゃないのが見て取れた。

 二人とも間違いなく高位の魔族だ。
 戦う前からわかる……とんでもなく強い。

 以前戦った六魔将のアモン以上かもしれない……。

「良いではないですか。『アスタロト』も直接戦いたいとぐちぐち文句を言っていたではないですか?」

「ぞれはぞれだ。素材がもっだいない」

 こっちを完全に無視して会話を続ける二人に頭にきたのか、竜人ドラゴニュートの一人がその会話に割り込んだ。物理的に。

「お前ら魔王軍所属の魔族だな! ドラゴンゾンビどもは、俺たちで葬らせてもらったぜ!」

「はぁ~……竜人もアスタロトと同じように脳筋なのですね。勘違いをしているようだから教えてあげますが、それは心配には及びません。ドラゴンは存在そのものが非常に強固ですから、竜王のような強い個体ならまだあと何度かは呼び出せますよ」

 と不気味な笑みを浮かべた。

「なにぃ!? そんなことさせるか! それなら呼び出す前に倒すまでだ!」

 それを聞いた飛び出していった竜人は一気に攻勢をかける。

「ザイル待て! 不用意すぎる!!」

 その行動をゼクトが止めるが、制止を振り切り小柄な男に飛びかかった。

「自分が死んじまったらドラゴンゾンビも呼び出せないだろ!」

 放った爪の一撃は、油断をしていたローブの男に決まるかに見えた。
 だが勢いの乗ったその攻撃に、隣の大男が反応する。

「なっ!? 片手で!?」

 竜人ザイルの放った一撃は、速度もタイミングもばっちりの体重の乗った強力なものだった。しかしアスタロトと呼ばれた大男は、予備動作もなく片手で軽々と受け止めてしまった。

「おらが相手じでやるがら、みんなでががってぎなよ?」

 あいつ、力だけでない!
 すさまじい反応速度だったぞ!?

「そんな驚くことではないですよ? その男の名は『破壊王アスタロト』。魔王軍六魔将の一人ですから。あ、ちなみに私の名は『ビフロンス』。皆からは『不死王ビフロンス』と呼ばれております。一応私も六魔将の一人なので覚えておいて下さい。と言っても……死ぬまでの短い間・・・・・・・・ですけどね」

 ようやく終わったかと思われた戦いは、どうやらここからが本番だったみたいだ。
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