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第五章 刀と竜
見抜く目
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「まぁ、張り切るって言っても、先ずはいつもの走り込みだな。馬車は進めるからそれに遅れない様に、付いてくれればいいぞ?」
「え? それでいいの?」
エディスが、拍子抜けしたという風に聞き返してくる。
「まぁ、なんだかんだ言っても、朝飯前の準備運動だしな」
俺は穏やかな笑顔を向ける。
「主様が普通に笑っている……逆に怖い……」
アシェリが尻尾を逆立て、警戒している。
「おいおい、ただ走って付いてくるだけで良いんだから、そこまで警戒するなよ。それに、ちゃんと魔物とかは、最初は神火の神兵に対応させるから、気にしなくて良いからな」
「ヤナ様、特にそこまで気を使って頂かなくても、普通に走っているだけなら、魔物が来ても対応できますよ?」
セアラは、そのまま普通に走ると思っているらしい。
「そのまま走るならな、フフフ。やっぱりアレなんだよな、俺はさ、普段から豪傑殺しの腕輪と魔術師殺しの指輪をつけてるせいで、日常動作が全て鍛錬になる訳だろ?」
「……えぇ、確かそうでしたね……」
セアラが若干、後ずさりながら答える。
「それに、やっぱり危機に陥った時に、『これが、本気中の本気だ!』って言いたいだろ?」
「特には、思わないわよ?」
「いやいや、俺は思うんだよ……だから……な?」
「主様、人の話を聞く気あります?」
俺は雑音をスルーして、腕輪と指輪を外して準備を始める。
「『四指』『神火の断崖』『形状変化』『神火の肉体改造器具』」
「ぐぎぎ……あなた……こ……これ……は?」
「身体が……動かし……にく……い……主……様?」
「あぁ……身体が……ヤナ様の魔法で……締めつけ……ん」
俺を含む全員に、神火で作った『神火の肉体改造器具』を装着させた。
「これはだな、俺がいた世界で、鍛錬する器具と言ったら思い付く器具はコレだというくらい、一番有名な鍛錬器具だ」
身体を鍛えると言ったら、コレとあとはアレだろう。
「そして、もう一つの強くなる為の鍛錬器具といえばこれだ! 『双子』『八指』『神火の真円』『形状変化』『神火の重石帯』『拘束対象:両手足』っと、腕輪と指輪をはめてみると……うぉ……やべ……張り切って重いイメージで創造し過ぎた……」
俺は、主人公が身体を鍛える器具と言ったら、『やっぱりこれだよね』という両手足に重いバンドを全員に装着させた。
「「「……」」」
三人は既に、汗を額に浮かべ生まれたての子鹿のようにプルプル震えている。
「慣れるまで……ぐぬう……このままな?……馬車の速度に遅れる……なよ?」
「「「……!?」」」
物凄い力の入った目を向けてくるが、全てスルーだ。
「さてと、俺はここから……起死回生の発動を解除っとぉおお……ぐぅうう……良い感じぃいいい」
「「「……変態……」」」
「ほら! はし……るぞ!」
「「「鬼ぃいい……」」」
そして、日が昇るまでプルプルと震えながら、走る四人だった。
「本当に……ヤナ様の世界では……食べる時も……ここまで……?」
「いや、食べる時までやらされたのは……アメノ爺さんの……影響が大きい……でもまぁ、俺もそれで……強くなったからな」
プルプル震えながら、特盛の朝食を食べる三人を見て、アメノ爺さんとエイダに鍛えられた日々を懐かしく思い、微笑ましく眺めていた。
「主様……? 微笑ましく見てますが……やってる事は……鬼畜の所業ですよ?」
「そんなに褒めると……もっと頑張っちゃうぞ? ふふふ」
俺は、アシェリに褒められ気を良くしながら、朝食を続けた。
「あなた……そこまで……なの?」
エディスに何やら憐れみのような目線を向けられた気がしたが、きっと気のせいに違いない。
そして、全員が朝食を食べた後に、再度馬車の外へでた。
「「「うっぷ……」」」
「よし、準備運動と朝飯も終わったところで……ここからは、夕飯まで移動しながら……戦闘訓練だ」
「あなた……二人づつ……組むの?」
「それでもいいんだが……それはもっとお互い動けるように……なってからだな……だから……全員俺が相手をする」
「「「全員?」」」
俺は、前回の失敗を活かすべく、ここ一番の集中力で姿形をイメージして、腕輪と指輪を外し、魔法を唱える。
「『四指』『神火の大極柱』『形状変化』『神火の式神』、さぁ……ここからだ」
俺は、サングラスを外し神火の式神の一体に慎重にかける。力強く、そして逞しい式神をイメージしながらだ。
「何故……何故だぁああ!」
俺は、叫ばずにはいられなかった。目の前に、前回と同じ美少女が立っていたのだ。
「マスター、心を偽っても無駄ですよ?」
「「「え?」」」
三人は突然、目の前でマネキンのような式神が、美少女に変わったことに絶句していた。
「みなさん、この姿はお初ですね。初めまして、マスターの欲望を形にした姿のヤナビです」
「やめろ! 違うぞ! これは! あれだ! あれナンダ!」
「これが、あなたの理想……私よりは、小さいわね」
「大きいですね……」
「私より大きい……」
「ソコを見ないでぇええええ!」
何故か、母親にアレを掃除の時に見つけられ、そっと机に上に置かれたかのような、辱めを受けた。
「マスター、私ならソレを見つけても、元の場所にそっと戻しておきますから、安心してください」
「やかましいわ!」
俺は悶絶しながら、北の魔物の大氾濫の際と同じように、俺とヤナビを『接続』した後に、ヤナビを『集線』にして残りの三体と『接続』した。
「は?」
「「「おぉ!」」」
何故か、今度は残りの三体が『俺』になった。
「マスター、やはりモデルとなる姿を模した方が、近い動きを再現出来るようです」
「あぁ、なんだ、そういう事か。確かに、俺の動きで鍛錬するんだから、そっちのほうが、良いよな」
「チョロい……」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ、マスター、何も言っておりません」
そしてふと、三人をみると何故かやる気に満ちた目をしていた。
「ヤナビ様、そのヤナ様は何処まで……再現されているのでしょうか?」
「セアラ様、私はただのスキルですから敬称は入りませんよ。そうですね、何処までかと聞かれれば、『全て』です」
それを聞いて、三人の目は何故か肉食獣の際にような目に変わる。
「ヤナビ様……『全て』という事はあの人の『全て』が有るという事ですよね?」
「えぇ、エディス様。その通りでございます。ちゃんと有ります」
何故か、背中にぞくっと寒気がする。
「ヤナビ様、その主様を……もし倒したら、後学の為に色々調べても?」
「アシェリ様、強くなる為の『調査』ですから、勿論『良い』ですよ」
「おい、何をする気な……」
「「「早く、初めてください!」」」
「何!? 何がそんなに、やる気にさせてるの!?」
俺がそのやる気に若干引いていると、ヤナビがこちらを向き、嗤いながら口を開く。
「良いじゃないですか。ヤル気になっているんですから。そう簡単に倒せるような強さじゃない上に、皆さん鍛錬器具を装着しています。あれ位気合を入れないと、続きませんよ?」
「まぁ、そうか……何か釈然としないが。考えても仕方ないし、まっいっか」
「チョロい……」
「ん?」
「いえ? マスターは、私と鍛錬でよろしいですね?」
俺は『烈風』と『涼風』を抜き、神火を形状変化で表面処理して構える。
「あぁ、よろしく頼む」
そして、移動しながら俺たちは戦闘鍛錬を続けた。
俺以外は、度々気絶しては馬車の中に運ばれたが、目を覚ますと鬼気迫る勢いで、『俺』に向かっていった。
そして、夕食を食べると三人は疲れて泥のように眠りにつき、それから北都ノスティに到着するまで三日間鍛錬を続けて過ごしたのだった。
「よし! もう街の門が見えてくるぞ! 一先ず戦闘訓練ここまでだな、お疲れさん」
「勝てなかった……うぅ」
「もうちょっとで、勝てそうなのに……」
「ヤナ様の……ヤナ様のぉ……」
「そこまで、本気で悔しがるなんて、鍛錬を考えた俺も嬉しいな。また、時間をとってやるか」
「「「是非!」」」
「お……おう、じゃあ取り敢えずここから歩いて行くぞ」
俺が、神火の馬車一式と、神火の式神を解除して歩いて向かおうとすると、アシェリに声をかけられた。
「主様? あのコレの解除忘れてますよ?」
「え?」
「え?……まさか」
「あぁ、悪い忘れてたわ、ちょっと待ってな」
「ですよね? よかった」
三人が安堵した様な表情になる。流石に、その姿じゃ恥ずかしいのだろう。
「『神出鬼没』『不可視』っと、これで良し。流石に『神火の肉体改造器具』とか見られたら恥ずかしいよな。人から見えない様にしておいたから、安心しろ」
「ヤナ様? いつまで、このままなのですか?」
「ん? それつけたままじゃ、乗り切れない場面になるまでだろ? 大丈夫だろ、もう普通に話せるくらいには慣れたみたいだし」
何やら三人が固まっているが、何を当たり前の事を言っているのだろうか。
そして、俺たちは北都ノスティの門で門番の衛兵にギルドの場所を聞き、到着の報告をしに行く為に歩いて向かった。
その道中の道で、何やら何人もの騎士に警護されながら、歩いてくる見覚えのある二人の少女が見えた。
俺は、ディアナの一件があった為、関わりにならない様に道の端に避け、過ぎ去るのを待っていた。すると、何故か小さなの少女がこっちを急に振り返り歩いてきた。
「じー」
「えっと……何かご用でしょうか?」
「マイナ、どうしたの?」
俺は、マイナと姉の方に呼ばれた少女に顔をじっと見られた。
「ディアナとは、逢えた?」
「な!?」
それだけ言うとマイナはまた、姉と一緒に歩いて行ってしまった。
俺は、呆気にとられて固まってしまっていたが、三人に声をかけられ、我に返った。
「何で……分かったんだ?」
俺は、ギルドへと再び歩き出しながら、思わず呟いた。
そして、刻は誰にも同じ様に進み続ける。
「ふぅ、明日にはノスティに着くな。ヴァレリー様とマイナ様は、お変わりないだろうか」
ディアナは、ふと物想いに耽るような顔をした後に、呟いた。
「それに……見えない糸は、まだ繋がっているだろうか……」
その不安げで儚げな呟きは、満天の星空に吸い込まれていくのであった。
「え? それでいいの?」
エディスが、拍子抜けしたという風に聞き返してくる。
「まぁ、なんだかんだ言っても、朝飯前の準備運動だしな」
俺は穏やかな笑顔を向ける。
「主様が普通に笑っている……逆に怖い……」
アシェリが尻尾を逆立て、警戒している。
「おいおい、ただ走って付いてくるだけで良いんだから、そこまで警戒するなよ。それに、ちゃんと魔物とかは、最初は神火の神兵に対応させるから、気にしなくて良いからな」
「ヤナ様、特にそこまで気を使って頂かなくても、普通に走っているだけなら、魔物が来ても対応できますよ?」
セアラは、そのまま普通に走ると思っているらしい。
「そのまま走るならな、フフフ。やっぱりアレなんだよな、俺はさ、普段から豪傑殺しの腕輪と魔術師殺しの指輪をつけてるせいで、日常動作が全て鍛錬になる訳だろ?」
「……えぇ、確かそうでしたね……」
セアラが若干、後ずさりながら答える。
「それに、やっぱり危機に陥った時に、『これが、本気中の本気だ!』って言いたいだろ?」
「特には、思わないわよ?」
「いやいや、俺は思うんだよ……だから……な?」
「主様、人の話を聞く気あります?」
俺は雑音をスルーして、腕輪と指輪を外して準備を始める。
「『四指』『神火の断崖』『形状変化』『神火の肉体改造器具』」
「ぐぎぎ……あなた……こ……これ……は?」
「身体が……動かし……にく……い……主……様?」
「あぁ……身体が……ヤナ様の魔法で……締めつけ……ん」
俺を含む全員に、神火で作った『神火の肉体改造器具』を装着させた。
「これはだな、俺がいた世界で、鍛錬する器具と言ったら思い付く器具はコレだというくらい、一番有名な鍛錬器具だ」
身体を鍛えると言ったら、コレとあとはアレだろう。
「そして、もう一つの強くなる為の鍛錬器具といえばこれだ! 『双子』『八指』『神火の真円』『形状変化』『神火の重石帯』『拘束対象:両手足』っと、腕輪と指輪をはめてみると……うぉ……やべ……張り切って重いイメージで創造し過ぎた……」
俺は、主人公が身体を鍛える器具と言ったら、『やっぱりこれだよね』という両手足に重いバンドを全員に装着させた。
「「「……」」」
三人は既に、汗を額に浮かべ生まれたての子鹿のようにプルプル震えている。
「慣れるまで……ぐぬう……このままな?……馬車の速度に遅れる……なよ?」
「「「……!?」」」
物凄い力の入った目を向けてくるが、全てスルーだ。
「さてと、俺はここから……起死回生の発動を解除っとぉおお……ぐぅうう……良い感じぃいいい」
「「「……変態……」」」
「ほら! はし……るぞ!」
「「「鬼ぃいい……」」」
そして、日が昇るまでプルプルと震えながら、走る四人だった。
「本当に……ヤナ様の世界では……食べる時も……ここまで……?」
「いや、食べる時までやらされたのは……アメノ爺さんの……影響が大きい……でもまぁ、俺もそれで……強くなったからな」
プルプル震えながら、特盛の朝食を食べる三人を見て、アメノ爺さんとエイダに鍛えられた日々を懐かしく思い、微笑ましく眺めていた。
「主様……? 微笑ましく見てますが……やってる事は……鬼畜の所業ですよ?」
「そんなに褒めると……もっと頑張っちゃうぞ? ふふふ」
俺は、アシェリに褒められ気を良くしながら、朝食を続けた。
「あなた……そこまで……なの?」
エディスに何やら憐れみのような目線を向けられた気がしたが、きっと気のせいに違いない。
そして、全員が朝食を食べた後に、再度馬車の外へでた。
「「「うっぷ……」」」
「よし、準備運動と朝飯も終わったところで……ここからは、夕飯まで移動しながら……戦闘訓練だ」
「あなた……二人づつ……組むの?」
「それでもいいんだが……それはもっとお互い動けるように……なってからだな……だから……全員俺が相手をする」
「「「全員?」」」
俺は、前回の失敗を活かすべく、ここ一番の集中力で姿形をイメージして、腕輪と指輪を外し、魔法を唱える。
「『四指』『神火の大極柱』『形状変化』『神火の式神』、さぁ……ここからだ」
俺は、サングラスを外し神火の式神の一体に慎重にかける。力強く、そして逞しい式神をイメージしながらだ。
「何故……何故だぁああ!」
俺は、叫ばずにはいられなかった。目の前に、前回と同じ美少女が立っていたのだ。
「マスター、心を偽っても無駄ですよ?」
「「「え?」」」
三人は突然、目の前でマネキンのような式神が、美少女に変わったことに絶句していた。
「みなさん、この姿はお初ですね。初めまして、マスターの欲望を形にした姿のヤナビです」
「やめろ! 違うぞ! これは! あれだ! あれナンダ!」
「これが、あなたの理想……私よりは、小さいわね」
「大きいですね……」
「私より大きい……」
「ソコを見ないでぇええええ!」
何故か、母親にアレを掃除の時に見つけられ、そっと机に上に置かれたかのような、辱めを受けた。
「マスター、私ならソレを見つけても、元の場所にそっと戻しておきますから、安心してください」
「やかましいわ!」
俺は悶絶しながら、北の魔物の大氾濫の際と同じように、俺とヤナビを『接続』した後に、ヤナビを『集線』にして残りの三体と『接続』した。
「は?」
「「「おぉ!」」」
何故か、今度は残りの三体が『俺』になった。
「マスター、やはりモデルとなる姿を模した方が、近い動きを再現出来るようです」
「あぁ、なんだ、そういう事か。確かに、俺の動きで鍛錬するんだから、そっちのほうが、良いよな」
「チョロい……」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ、マスター、何も言っておりません」
そしてふと、三人をみると何故かやる気に満ちた目をしていた。
「ヤナビ様、そのヤナ様は何処まで……再現されているのでしょうか?」
「セアラ様、私はただのスキルですから敬称は入りませんよ。そうですね、何処までかと聞かれれば、『全て』です」
それを聞いて、三人の目は何故か肉食獣の際にような目に変わる。
「ヤナビ様……『全て』という事はあの人の『全て』が有るという事ですよね?」
「えぇ、エディス様。その通りでございます。ちゃんと有ります」
何故か、背中にぞくっと寒気がする。
「ヤナビ様、その主様を……もし倒したら、後学の為に色々調べても?」
「アシェリ様、強くなる為の『調査』ですから、勿論『良い』ですよ」
「おい、何をする気な……」
「「「早く、初めてください!」」」
「何!? 何がそんなに、やる気にさせてるの!?」
俺がそのやる気に若干引いていると、ヤナビがこちらを向き、嗤いながら口を開く。
「良いじゃないですか。ヤル気になっているんですから。そう簡単に倒せるような強さじゃない上に、皆さん鍛錬器具を装着しています。あれ位気合を入れないと、続きませんよ?」
「まぁ、そうか……何か釈然としないが。考えても仕方ないし、まっいっか」
「チョロい……」
「ん?」
「いえ? マスターは、私と鍛錬でよろしいですね?」
俺は『烈風』と『涼風』を抜き、神火を形状変化で表面処理して構える。
「あぁ、よろしく頼む」
そして、移動しながら俺たちは戦闘鍛錬を続けた。
俺以外は、度々気絶しては馬車の中に運ばれたが、目を覚ますと鬼気迫る勢いで、『俺』に向かっていった。
そして、夕食を食べると三人は疲れて泥のように眠りにつき、それから北都ノスティに到着するまで三日間鍛錬を続けて過ごしたのだった。
「よし! もう街の門が見えてくるぞ! 一先ず戦闘訓練ここまでだな、お疲れさん」
「勝てなかった……うぅ」
「もうちょっとで、勝てそうなのに……」
「ヤナ様の……ヤナ様のぉ……」
「そこまで、本気で悔しがるなんて、鍛錬を考えた俺も嬉しいな。また、時間をとってやるか」
「「「是非!」」」
「お……おう、じゃあ取り敢えずここから歩いて行くぞ」
俺が、神火の馬車一式と、神火の式神を解除して歩いて向かおうとすると、アシェリに声をかけられた。
「主様? あのコレの解除忘れてますよ?」
「え?」
「え?……まさか」
「あぁ、悪い忘れてたわ、ちょっと待ってな」
「ですよね? よかった」
三人が安堵した様な表情になる。流石に、その姿じゃ恥ずかしいのだろう。
「『神出鬼没』『不可視』っと、これで良し。流石に『神火の肉体改造器具』とか見られたら恥ずかしいよな。人から見えない様にしておいたから、安心しろ」
「ヤナ様? いつまで、このままなのですか?」
「ん? それつけたままじゃ、乗り切れない場面になるまでだろ? 大丈夫だろ、もう普通に話せるくらいには慣れたみたいだし」
何やら三人が固まっているが、何を当たり前の事を言っているのだろうか。
そして、俺たちは北都ノスティの門で門番の衛兵にギルドの場所を聞き、到着の報告をしに行く為に歩いて向かった。
その道中の道で、何やら何人もの騎士に警護されながら、歩いてくる見覚えのある二人の少女が見えた。
俺は、ディアナの一件があった為、関わりにならない様に道の端に避け、過ぎ去るのを待っていた。すると、何故か小さなの少女がこっちを急に振り返り歩いてきた。
「じー」
「えっと……何かご用でしょうか?」
「マイナ、どうしたの?」
俺は、マイナと姉の方に呼ばれた少女に顔をじっと見られた。
「ディアナとは、逢えた?」
「な!?」
それだけ言うとマイナはまた、姉と一緒に歩いて行ってしまった。
俺は、呆気にとられて固まってしまっていたが、三人に声をかけられ、我に返った。
「何で……分かったんだ?」
俺は、ギルドへと再び歩き出しながら、思わず呟いた。
そして、刻は誰にも同じ様に進み続ける。
「ふぅ、明日にはノスティに着くな。ヴァレリー様とマイナ様は、お変わりないだろうか」
ディアナは、ふと物想いに耽るような顔をした後に、呟いた。
「それに……見えない糸は、まだ繋がっているだろうか……」
その不安げで儚げな呟きは、満天の星空に吸い込まれていくのであった。
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