壁乳

リリーブルー

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三たび、あの乳首に触れる夜

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 その夜、俺は三度目あの壁の前にいた。

 受付で番号を伝えたとき、自分でも少し驚いた。
 気づけば、口が勝手に動いていた。

 「W-87でお願いします。前回と、同じ人で」

 指名は可能らしい。
 前と同じ相手。名前も、顔も知らないのに――
 でも、あの感触が、忘れられなかった。



 個室に入り、少ししてカバーが開いた。

 目の前に現れたのは、やはりあの乳首だった。
 淡くピンクがかった突起。緊張してるのか、期待感でか興奮でか、小さく震えている。
 根元には、前回気づいたのだが、小さな黒いほくろ。

 (……やっぱり、同じ人だ)

 そう思っただけなのに、腹の奥がじわっと熱くなった。

 知らないはずの“相手”に、俺はすでに惹かれている。
 ただの壁乳プレイ。なのに――



 指先で軽く乳首をなぞる。
 途端に、突起がぴくんと震える。

 「……ッ、ん」

 壁越しに、甘い吐息が微かに漏れた。

 (……やっぱ、すげえ敏感だ)

 俺はゆっくりと乳首をつまみ、親指と人差し指で軽くひねった。

 「んっ、あ……ぁ、っ……!」

 かなり激しい喘ぎ声……。

 その声を聞いた瞬間、理性の糸が切れた。



 俺は身体を乗り出すようにして、乳首に口を寄せた。

 ちゅっ……ん、じゅるっ、ちゅぷっ――
 音を立てて舐め、吸い、舌先でゆっくり転がす。

 「ん、ふっ……ぅ……っ、んんッ……!」

 壁の向こうの反応が、どんどん艶を帯びていく。

 声を殺しているのに、色っぽさが滲み出る。

 (やば……これ、マジでクセになる)

 俺は片方の乳首を吸いながら、もう片方を指でねじる。

 「ひっ……ぁ、ん、だ、め……ッ……!」

 突起がびくん、と大きく跳ねた。
 まるで乳首だけでイキそうになってるみたいだった。
 すごい感度だ。はっきり言って、エロい。


 何度も、何度も口をつけ、舌を這わせ、息を吹きかけ、
 そのたびに、向こうの身体が震えるのが壁越しに伝わってくる。

 「ふっ、あ……っ……せ、んぱ……」

 ――ん?

 今、何か……言ったか?

 「……っ、は、あっ……!」

 でも、次の瞬間には別の吐息にかき消された。

 (……空耳か?)

 俺は、耳を疑った。

 (先輩……って言ったよな? 先輩、後輩プレイ?)

 ふいに心のどこかがざわついた。

 でも、すぐに指先の熱が、それを押し流す。



 プレイ終了のランプが点き、乳首がカバーの奥に引っ込んでいく。
 唇と指に、感触の名残だけが残った。

 俺はしばらくその場に座り込み、深く息を吐いた。

 (……これで3回目か)

 誰かなんて、知らなくていいはずだった。

 なのに、なぜか今、気になって仕方ない。



 部屋を出たとき、無意識に呟いていた。

 「……あの声、どっかで……聞いたような」



   ◆

 待合室に涼真が現れる。
 「お待たせしました。いやっ! もう! 最高っす!」
 涼真が俺の背中をパンっと叩く。

 「おうっ、そうか……よかったな」
 「えっ? 先輩は、よくなかったんですか?」
 涼真の「先輩」の言葉に、ビクンと反応する。
 あの壁越しの、切羽詰まったような「せ、んぱ…」の声。
 「いや、よかったよ……」
 思い出して、そう答えざるを得なかった。

 「やっぱり? 先輩も? よかったぁ。店、紹介した甲斐がありました。俺も、ほんと、ハマってます。また、いっしょに来ましょうね!」

 「あ、ああ……」

 「この間みたいに、俺に隠れてこっそりなんて、絶対ダメですよ?」

 「なんでだよ……」

 「そんな、寂しいこと言わないでくださいよぉ~」
 バンバン背中を叩かれる。

 「絶対いっしょに来ましょうね!」

 「わかったよ……」

 「ふふふ、俺、今日も抜いちゃいました……。気持ちよかった……」
 耳元で囁く涼真の声が妙にエロかった……。

 やば……。俺も抜けばよかった……。
 でも、男の乳首で抜くのは抵抗が……。
 だが、さっきから涼真の距離が近い。タッチも多い。
 「先輩」に反応しすぎだろ、俺……。
 うぅ……。家に帰ってから……しよう……。

   ◆

 帰宅後、シャワーを浴びて、ソファに崩れ込んだ。
 指先に、まだ感触が残っている。

 肌の熱、こらえるような吐息、ひくつく乳首。

 気づけば、手が下腹部へ向かっていた。
 「……やば……」

 男だって、わかってるのに。
 でも――あれが、あんなに感じてたのを見たら、俺だって……。

 そのまま、ひとりで達してしまった。

 終わったあと、手を見下ろして、ひとりで呆れる。

 (……男の乳首で、抜いたのか……俺……)
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