15 / 92
第十二話 ルカと運送ギルド長
しおりを挟む
翌朝。
ベルハイトを冒険者ギルドの宿舎に迎えに行き、一緒に運送ギルドを訪れた。
運送ギルドの扉を開けると出迎えたのは、良く言えば明るく、悪く言えば軽い声。
「……あれ?ルカさんじゃないっスか~。おかえりなさーい」
運送ギルド職員のパスカルだ。
「只今戻りました」
「お連れさんがいるなんて珍しい…。…はっは~ん?さてはコレっスね?」
ニヤリと笑ったパスカルが立てたのは――小指。いろんな意味で違う。彼は仕事はできるのに、いつもどこか残念だ。
「ヘディさん、いますか?」
真面目に答えるだけ無駄だと分かっているので、スルーして用件を告げる。
流された事を気にもせず、パスカルはちらりと支部長室のほうを見て、
「いるんですけど、今めっちゃ機嫌悪いんスよー。ハンコ押しながら、こぉーんな顔してて。あんなの見たら、深層の魔物だって逃げだしちゃいますよ」
ヘディの顔真似のつもりなのか、自分の顔を手でグイッと歪ませながら、一人でケラケラ笑っていたが、
パコンッ
「あぃてっ」
「――誰が深層の魔物ですって?」
背後から気配も無く現れた人物に、丸めた冊子で後頭部を叩かれた。
パスカルは唇をとがらせながら、
「違いますよー。深層の魔物じゃなくて、深層の魔物も逃げだすような顔って言ったんじゃないですかぁ」
「余計悪いわっ」
バコンッ
追撃をくらった。いや、自爆か。
「おかえりなさい、ルカ」
「只今戻りました」
運送ギルド・メルビア支部の支部長、ヘンドリクス。通称ヘディ。すらりとした長身の男性で、僕が言うのもなんだが、あまり愛想は無い。
「想定より帰りが遅い上に、アンタだけってことは…」
「お察しの通りです」
僕は魔法鞄から[真なる栄光]との契約書類や解雇に関する書面を取り出し、ヘディに手渡す。
ヘディは書面に目を通しながら、
「あんな感じだったから、期待はしてなかったけど。ヴィクトルに指導不足で迷惑料でも請求しようかしら」
不穏なことを言う。
実際にはやらないと分かっているので、何も言わないが。
ヘディとヴィクトルは仲が悪い。いや、ヘディがヴィクトルを嫌っている、と言うのが正しい。曰く「あのテキトー男とは合わないのよ」とのこと。
解雇理由を見たヘディが、目を細める。
「――ふん。『役立たず』ね…。一応訊くけど、詳細は?」
僕はティモン達から言われた事を正確に伝えた。
「チッ。…クソガキどもが」
舌打ちとともにボソリと吐き出された重低音は、聞こえなかったことにする。
「アンタを行かせて正解だったわね。他の二人なら、途中で逃げ出してるわ。当然だけど」
ヘディは書類をまとめてパスカルに手渡すと、こちらへ向き直り、
「あとはこっちで処理するわ。ご苦労だったわね」
「いえ」
「――で、アンタは?」
ヘディが、ついっと視線を動かす。そのやや鋭い視線に、黙って僕達の会話を聞いていたベルハイトは、少し身体を強張らせた。
「冒険者のベルハイト・ロズです。ルカさんにはユトスでお世話になりまして、その縁でこちらに移って来ました」
「いろいろあって、しばらくお互いに同行することになってます」
ベルハイトの挨拶に続けてそう告げると、ヘディだけではなくパスカルも、近くにいた別の職員も僕を見た。
え、なに。
驚かれるとは思っていた。[真なる栄光]の件もあるので当然だ。しかし、なんだろう。思っていたのとは違う視線が向けられている気がする。
「…アンタが?他人が同行するのを承諾したの?」
「まあ、はい」
僕の団体行動嫌いは、ヘディもパスカルも知っているが、必要に応じて誰かと行動することは今までにもあった。……片手で数えられる程度だけど。
ヘディは腕組みをし、ベルハイトをじっと見やる。
「ふぅん……」
じーーーーーーー。
この視線に音をつけるなら、こんな感じだろうか。
ヘディが初見の人を観察するのはよくあることだが、周囲に悟られるやり方はしないし、こんなにあからさまなのは珍しい。いや、僕が知る限り初めてだ。
ヘディはベルハイトのほうへ、距離を一歩詰めた。
「アンタ、歳は?」
「に、二十五です」
「冒険者になって何年?」
「もうすぐ二年です」
「結婚は?」
「え?いや…してないです」
「恋人は?」
「いません……けど…?」
「お酒は?」
「嗜む程度に…」
「煙草は?」
「吸いません…」
「ギャンブルは?」
「したことない、です…」
尋問さながらの空気で身辺調査が行われている。
根掘り葉掘りを通り越して、土壌ごとひっくり返すように質問攻めするヘディ。それに戸惑いながらも律儀に答えるベルハイト。
続く尋問は、趣味や好きな食べ物にまで及んでいる。
「――ルカ。ちょっと来なさい」
「…………」
訊きたいことを全て訊き終わったのか、ヘディは僕に声をかけて支部長室に戻っていく。僕もそれに従って中へ入った。
「あの坊や、どこまで知ってるの?」
ヘディから見ると、ベルハイトは坊やになるのか。
「[無限保存庫]と称号のことは知ってます」
「…そう。……目立つのが嫌いなアンタが、どういう風の吹き回し?」
「……成り行きで」
「成り行き?」
「成り行きです」
タストラ魔窟での事は、内密にしたい。しかし、今後ベルハイトに同行することは隠しようがない。
成り行きという理由に、納得いかない様子のヘディは畳みかけてくる。
「そもそも、冒険者に同行するってことは、魔窟に入ることもあるってことよねぇ?」
「はい」
圧が凄い。
ヘディは腰を折り、ずいっと顔を近づけた。
「アタシ、言わなかったかしら?魔窟に入るのはほどほどにしなさい、って」
「言われました。なので、ほどほどに入ります」
「阿呆か!」
ばっちーーーん!
額に、ヘディのでこピンという名の衝撃が走った。
「ほどほどにしなさい、は可能な限りやめなさいって意味よ!」
「それは知りませんでした」
おでこがヒリヒリする……。
「あーーーもうっ!ああ言えばこう言う!」
「口だけは達者みたいで」
「他人事みたいに言うんじゃないわよっ!」
「俯瞰して見ることも大事だと…」
「言ったわね!昔アタシが!!」
ヘディはふらりと支部長室の大きな机に手をつき、肩で息をした。
「はぁ、はぁ、はぁ…………。今ので血圧上がったわ……」
「お大事に」
「やかましいわ!」
振り返った顔はパスカルの顔真似そっくりだった。
やがて特大の溜め息を吐き出すヘディ。
「…ったくもう…。大人しいフリして、行動力だけはあるんだから…」
眉間のシワを指でほぐしながら、机に軽く腰掛けた。
「ありがとうございます」
「褒・め・て・な・いっ」
片手で両頬を力いっぱい挟まれた。背が高いだけにリーチが長いな。
「いいこと?基本的には今までどおり、本業が優先よ」
「もひろんへふ。ほうほーふるのは」
「待って、何?」
ヘディが手を離した。
「もちろんです。同行するのは街の外に出る時だけの予定なので」
「まあ、メルビア内での運送業務に冒険者がついて来ても、やる事ないものね…」
ヘディは一見、冷たいように見えるが面倒見がいい。僕の事も運び屋を始めた時から知っているので、何かと気にかけてくれる。
「とにかく!アンタはあくまで運び屋なんだから、自重すること。いいわね?」
「はい」
「はぁ……。本当に分かってるんだか…」
ヘディは額に指を当てて、溜め息をついた。
「なんか大きな声が聞こえましたけど、大丈夫ですか?」
支部長室から出ると、ベルハイトが心配そうに駆け寄って来た。
「問題ないです」
事実、問題ないので僕は平然と答えて外へ向かうが、彼は納得してない顔だ。
「………………」
運送ギルドの外に出ても、ベルハイトは曇った表情のまま。数歩も進まないうちに、その場に立ち止まったので、僕も止まる。
「もしかして、俺と一緒に行動することを咎められました?…ルカさんの本業は運び屋ですし…。俺に付き合って魔窟に潜ったりとか、反対されたんじゃ……」
ベルハイトの指摘は間違っていない。最終的に押し通したが、実際ヘディは反対気味だ。僕が言う事を聞かないから諦めているだけで。
でも、僕には僕の意思がある。
「たとえ反対されたとしても、決めるのは僕です」
この際、はっきり言っておかなければならない。
「今までもこれからも。誰かに害が及ばない限り、僕がやることは僕が決めます」
「……………」
伝わるだろうか。貴方も諦める必要は無いのだと。
僕はベルハイトに近づき、小声で言う。
あまり大きな声で言うことではないので。
「それに、前に話したでしょう?僕は今までに何度も、魔窟に潜ってるんです」
「あ」
目を丸くして固まるベルハイト。
何度も、というのがどれくらいの頻度かは、ご想像にお任せする。
「なので今後は、そこにベルハイトさんが一緒にいるというだけの違いです」
「なるほど…?」
呆気にとられたのか、ベルハイトは気が抜けたように呟いた。気を遣いすぎなのだ、この人は。
僕はベルハイトの目を見て念押しする。
「言ったでしょう?問題ないって」
「ーー!」
…………返事が無い。何故そこで固まるのか。
なんにせよ、僕は僕の意思でベルハイトと行動するし、自分の身も自分で守れる。つまり何も問題ない。
言いたいことは言ったので、今日この後の予定を遂行しようと思う。
「今日はちょっと私用があるので、あとは別行動でいいですか?」
ベルハイトもメルビアに着いたばかりだし、少し落ち着く時間も必要だろう。
「…へ?あ、はい!了解です!……俺は少し街を回ってみます。メルビアは初めてなんで」
「?じゃあ、また」
ベルハイトが慌てたように返事をしたのが気になったが、僕はそのまま、その場を後にした。
向かうは、怖いもの知らずの魔道具研究者の家。
ベルハイトを冒険者ギルドの宿舎に迎えに行き、一緒に運送ギルドを訪れた。
運送ギルドの扉を開けると出迎えたのは、良く言えば明るく、悪く言えば軽い声。
「……あれ?ルカさんじゃないっスか~。おかえりなさーい」
運送ギルド職員のパスカルだ。
「只今戻りました」
「お連れさんがいるなんて珍しい…。…はっは~ん?さてはコレっスね?」
ニヤリと笑ったパスカルが立てたのは――小指。いろんな意味で違う。彼は仕事はできるのに、いつもどこか残念だ。
「ヘディさん、いますか?」
真面目に答えるだけ無駄だと分かっているので、スルーして用件を告げる。
流された事を気にもせず、パスカルはちらりと支部長室のほうを見て、
「いるんですけど、今めっちゃ機嫌悪いんスよー。ハンコ押しながら、こぉーんな顔してて。あんなの見たら、深層の魔物だって逃げだしちゃいますよ」
ヘディの顔真似のつもりなのか、自分の顔を手でグイッと歪ませながら、一人でケラケラ笑っていたが、
パコンッ
「あぃてっ」
「――誰が深層の魔物ですって?」
背後から気配も無く現れた人物に、丸めた冊子で後頭部を叩かれた。
パスカルは唇をとがらせながら、
「違いますよー。深層の魔物じゃなくて、深層の魔物も逃げだすような顔って言ったんじゃないですかぁ」
「余計悪いわっ」
バコンッ
追撃をくらった。いや、自爆か。
「おかえりなさい、ルカ」
「只今戻りました」
運送ギルド・メルビア支部の支部長、ヘンドリクス。通称ヘディ。すらりとした長身の男性で、僕が言うのもなんだが、あまり愛想は無い。
「想定より帰りが遅い上に、アンタだけってことは…」
「お察しの通りです」
僕は魔法鞄から[真なる栄光]との契約書類や解雇に関する書面を取り出し、ヘディに手渡す。
ヘディは書面に目を通しながら、
「あんな感じだったから、期待はしてなかったけど。ヴィクトルに指導不足で迷惑料でも請求しようかしら」
不穏なことを言う。
実際にはやらないと分かっているので、何も言わないが。
ヘディとヴィクトルは仲が悪い。いや、ヘディがヴィクトルを嫌っている、と言うのが正しい。曰く「あのテキトー男とは合わないのよ」とのこと。
解雇理由を見たヘディが、目を細める。
「――ふん。『役立たず』ね…。一応訊くけど、詳細は?」
僕はティモン達から言われた事を正確に伝えた。
「チッ。…クソガキどもが」
舌打ちとともにボソリと吐き出された重低音は、聞こえなかったことにする。
「アンタを行かせて正解だったわね。他の二人なら、途中で逃げ出してるわ。当然だけど」
ヘディは書類をまとめてパスカルに手渡すと、こちらへ向き直り、
「あとはこっちで処理するわ。ご苦労だったわね」
「いえ」
「――で、アンタは?」
ヘディが、ついっと視線を動かす。そのやや鋭い視線に、黙って僕達の会話を聞いていたベルハイトは、少し身体を強張らせた。
「冒険者のベルハイト・ロズです。ルカさんにはユトスでお世話になりまして、その縁でこちらに移って来ました」
「いろいろあって、しばらくお互いに同行することになってます」
ベルハイトの挨拶に続けてそう告げると、ヘディだけではなくパスカルも、近くにいた別の職員も僕を見た。
え、なに。
驚かれるとは思っていた。[真なる栄光]の件もあるので当然だ。しかし、なんだろう。思っていたのとは違う視線が向けられている気がする。
「…アンタが?他人が同行するのを承諾したの?」
「まあ、はい」
僕の団体行動嫌いは、ヘディもパスカルも知っているが、必要に応じて誰かと行動することは今までにもあった。……片手で数えられる程度だけど。
ヘディは腕組みをし、ベルハイトをじっと見やる。
「ふぅん……」
じーーーーーーー。
この視線に音をつけるなら、こんな感じだろうか。
ヘディが初見の人を観察するのはよくあることだが、周囲に悟られるやり方はしないし、こんなにあからさまなのは珍しい。いや、僕が知る限り初めてだ。
ヘディはベルハイトのほうへ、距離を一歩詰めた。
「アンタ、歳は?」
「に、二十五です」
「冒険者になって何年?」
「もうすぐ二年です」
「結婚は?」
「え?いや…してないです」
「恋人は?」
「いません……けど…?」
「お酒は?」
「嗜む程度に…」
「煙草は?」
「吸いません…」
「ギャンブルは?」
「したことない、です…」
尋問さながらの空気で身辺調査が行われている。
根掘り葉掘りを通り越して、土壌ごとひっくり返すように質問攻めするヘディ。それに戸惑いながらも律儀に答えるベルハイト。
続く尋問は、趣味や好きな食べ物にまで及んでいる。
「――ルカ。ちょっと来なさい」
「…………」
訊きたいことを全て訊き終わったのか、ヘディは僕に声をかけて支部長室に戻っていく。僕もそれに従って中へ入った。
「あの坊や、どこまで知ってるの?」
ヘディから見ると、ベルハイトは坊やになるのか。
「[無限保存庫]と称号のことは知ってます」
「…そう。……目立つのが嫌いなアンタが、どういう風の吹き回し?」
「……成り行きで」
「成り行き?」
「成り行きです」
タストラ魔窟での事は、内密にしたい。しかし、今後ベルハイトに同行することは隠しようがない。
成り行きという理由に、納得いかない様子のヘディは畳みかけてくる。
「そもそも、冒険者に同行するってことは、魔窟に入ることもあるってことよねぇ?」
「はい」
圧が凄い。
ヘディは腰を折り、ずいっと顔を近づけた。
「アタシ、言わなかったかしら?魔窟に入るのはほどほどにしなさい、って」
「言われました。なので、ほどほどに入ります」
「阿呆か!」
ばっちーーーん!
額に、ヘディのでこピンという名の衝撃が走った。
「ほどほどにしなさい、は可能な限りやめなさいって意味よ!」
「それは知りませんでした」
おでこがヒリヒリする……。
「あーーーもうっ!ああ言えばこう言う!」
「口だけは達者みたいで」
「他人事みたいに言うんじゃないわよっ!」
「俯瞰して見ることも大事だと…」
「言ったわね!昔アタシが!!」
ヘディはふらりと支部長室の大きな机に手をつき、肩で息をした。
「はぁ、はぁ、はぁ…………。今ので血圧上がったわ……」
「お大事に」
「やかましいわ!」
振り返った顔はパスカルの顔真似そっくりだった。
やがて特大の溜め息を吐き出すヘディ。
「…ったくもう…。大人しいフリして、行動力だけはあるんだから…」
眉間のシワを指でほぐしながら、机に軽く腰掛けた。
「ありがとうございます」
「褒・め・て・な・いっ」
片手で両頬を力いっぱい挟まれた。背が高いだけにリーチが長いな。
「いいこと?基本的には今までどおり、本業が優先よ」
「もひろんへふ。ほうほーふるのは」
「待って、何?」
ヘディが手を離した。
「もちろんです。同行するのは街の外に出る時だけの予定なので」
「まあ、メルビア内での運送業務に冒険者がついて来ても、やる事ないものね…」
ヘディは一見、冷たいように見えるが面倒見がいい。僕の事も運び屋を始めた時から知っているので、何かと気にかけてくれる。
「とにかく!アンタはあくまで運び屋なんだから、自重すること。いいわね?」
「はい」
「はぁ……。本当に分かってるんだか…」
ヘディは額に指を当てて、溜め息をついた。
「なんか大きな声が聞こえましたけど、大丈夫ですか?」
支部長室から出ると、ベルハイトが心配そうに駆け寄って来た。
「問題ないです」
事実、問題ないので僕は平然と答えて外へ向かうが、彼は納得してない顔だ。
「………………」
運送ギルドの外に出ても、ベルハイトは曇った表情のまま。数歩も進まないうちに、その場に立ち止まったので、僕も止まる。
「もしかして、俺と一緒に行動することを咎められました?…ルカさんの本業は運び屋ですし…。俺に付き合って魔窟に潜ったりとか、反対されたんじゃ……」
ベルハイトの指摘は間違っていない。最終的に押し通したが、実際ヘディは反対気味だ。僕が言う事を聞かないから諦めているだけで。
でも、僕には僕の意思がある。
「たとえ反対されたとしても、決めるのは僕です」
この際、はっきり言っておかなければならない。
「今までもこれからも。誰かに害が及ばない限り、僕がやることは僕が決めます」
「……………」
伝わるだろうか。貴方も諦める必要は無いのだと。
僕はベルハイトに近づき、小声で言う。
あまり大きな声で言うことではないので。
「それに、前に話したでしょう?僕は今までに何度も、魔窟に潜ってるんです」
「あ」
目を丸くして固まるベルハイト。
何度も、というのがどれくらいの頻度かは、ご想像にお任せする。
「なので今後は、そこにベルハイトさんが一緒にいるというだけの違いです」
「なるほど…?」
呆気にとられたのか、ベルハイトは気が抜けたように呟いた。気を遣いすぎなのだ、この人は。
僕はベルハイトの目を見て念押しする。
「言ったでしょう?問題ないって」
「ーー!」
…………返事が無い。何故そこで固まるのか。
なんにせよ、僕は僕の意思でベルハイトと行動するし、自分の身も自分で守れる。つまり何も問題ない。
言いたいことは言ったので、今日この後の予定を遂行しようと思う。
「今日はちょっと私用があるので、あとは別行動でいいですか?」
ベルハイトもメルビアに着いたばかりだし、少し落ち着く時間も必要だろう。
「…へ?あ、はい!了解です!……俺は少し街を回ってみます。メルビアは初めてなんで」
「?じゃあ、また」
ベルハイトが慌てたように返事をしたのが気になったが、僕はそのまま、その場を後にした。
向かうは、怖いもの知らずの魔道具研究者の家。
81
あなたにおすすめの小説
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
指令を受けた末っ子は望外の活躍をしてしまう?
秋野 木星
ファンタジー
隣国の貴族学院へ使命を帯びて留学することになったトティ。入国しようとした船上で拾い物をする。それがトティの人生を大きく変えていく。
※「飯屋の娘は魔法を使いたくない?」のよもやま話のリクエストをよくいただくので、主人公や年代を変えスピンオフの話を書くことにしました。
※ この作品は、小説家になろうからの転記掲載です。
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~
空戯ケイ
ファンタジー
社畜OL、水城愛璃(みずきあいり)は、女神のうっかりミスにより25歳の若さで死んだ。
お詫びとして女神が提案したのは、オッドアイの幼女ボディへの転生。
そうして幼女の姿で異世界転生を果たしたアイリだったが、
特異体質により『感情が高ぶると暴発する魔眼』が宿っていることが発覚!
しかも両目!?
それを封じるため、女神から与えられたユニークスキルは、『神のサングラス』。
このサングラスをかければ、魔眼の暴発を抑えられるらしいけど……常にグラサンかけてる幼女とか怪しすぎじゃない!?
だけど、とある"激レア魔道具"があれば 、なんと魔眼を完治できるらしい。
ならばその魔道具を手に入れるため、異世界を巡るしかないっ!
さらに旅の道すがら、もふもふフェンリルや忍者少女、特異スライムを仲間にし、珍道中はさらに加速していって――!!
まったりのんびりをモットーに、たまに魔物や刺客に襲われちゃう。
【グラサン幼女】の破天荒な異世界旅が始まる!
※更新は不定期です。
異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー
白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。
その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。
人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。
異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ
主人公はあまり戦ったりはしません。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる