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2016. 11. 21
**********
髪の話は、ルクスには今日の夜、恐らく顔を出すであろうカルツォーネと一緒に教えるからと言い、誤魔化しておいた。
「お帰りなさいませ。ティア様、ルクスさん」
「ただいま、ラキアちゃん。マティは帰ってる?」
「はい。お食事も終わり、只今、食休み中です」
「ありがとう。夕食が終わったら、少しディムースに行ってくるから」
「承知いたしました。すぐにお食事のご用意をいたします」
夜にカルツォーネが来るかもしれないという事も伝え、ティアは一旦部屋へ入る。
着替えを終えて出て来ると、アデルが部屋の前で待っていた。
「ティア、あたしもどっか行きたい。最近、全然付き合ってくれないんだもん」
「ごめん……ディムースにちょっと後で行くけどそれでもいいの? 明日授業あるけど……」
「いいよっ! 行くっ」
「あ~、それか、本当にちょっと行くだけだから……後で来るカル姐の相手をして待っててくれてもいいかも」
「うっ……カル姐さん……うぅ~っ……お、お留守番にするっ」
「そっか、そうして」
「うんっ」
「……」
アデルは年々明るくなる。最近は額の輝く皮膚も、時折髪を上げて見せていたりする。
「アデル、ティア、夕食の用意が出来たぞ」
部屋の前で話していたティアとアデルを、キルシュが呼びに来た。
「ありがとう、キルシュ。アデル、行くよ」
「は~い」
もう仲間というか、家族だ。
「ねぇ、キルシュ。今日の夜、カル姐さんが来るんだって」
「何っ! 分かった。なら色々と用意を……」
「キルシュ、食事が先」
「わ、分かった」
カルツォーネの人気は年齢など関係ない。アデルやキルシュも、すっかりカルツォーネファンだ。
「来るの、遅くなるかもよ?」
「大丈夫っ」
「心配ない」
「そう?」
念のため、一度カルツォーネに寄ってもらうように言わなくてはならないかもしれない。
恐らく、サクヤのところで色々聞くだろう。特にティアが倒れ、夢でマティアスに会った事、髪色の事はサクヤとウルスヴァン、カランタしか知らないのだ。
きっとなぜ話せなかったのかと責められるに決まっている。
「……怒られるかなぁ……」
「なに?」
「何か言ったか?」
「……何でもない……」
カルツォーネに微妙に会いたくないと思っているのは秘密だった。
◆◆◆◆◆
少し早めに夕食を終えたティアは、月が輝き出す前にマティに乗ってディムースに来ていた。
大宿にあるティアの部屋。そこの隣に二人の子どもがいる。
夕食を終えて眠くなっている頃と思って覗いた部屋から、勢いよく双子が飛び出してきた。
「「むきゃ~」」
声を挙げながら抱き付いてくるイルーシュとカイラント。それを抱き止め、笑って注意する。
「こらこら。危ないでしょ?」
「う~」
「む~」
「ふふっ、会いに来なくてごめんね。イル君、カイ君」
抱きついて離れない双子の頭を撫でる。
「今日、もっと早く来られればサルバに連れて行こうと思ってたんだけどね」
ティアは、近々サルバの屋敷に二人を預けようと思っていた。
「ねぇさまのおうち?」
「ねぇさまとおうち?」
「そう、でも一緒には住めない。ベル兄様はいるよ? そのお嫁さんとね。みんな優しいからね。お勉強とかも見てもらおう」
「いまから?」
「いまからいく」
「今から? そうだな……明日にしよう。もう夜遅くなっちゃうし」
う~
声を出すようになったとはいっても、時々まだ話さなくなる。拗ねる時は特にだ。
ぎゅっと離さないというように服を掴み、頭を押し付けてくる。友達も沢山できたし、ここには世話をやいてくれる大人もいる。しかし、それでもこうして夜は寂しく思うのだろう。
「う~ん……なら仕方ないか。誰かいる?」
「はい」
ティアが声を掛ければ、この宿屋の制服を着た女性がやってきた。彼女もクィーグの者だ。
「この子達、学園街の屋敷に連れていくわね」
「承知いたしました」
「ほら、行こうか」
「「いく~っ」」
こうして、二人を連れて学園街の屋敷に戻るのだった。
**********
舞台裏のお話。
アデル「ラキア姉さん。何してるの?」
ラキア「これですか? カル様をお迎えする為に、花を飾っているのですよ?」
アデル「お花って、夜飾るの珍しいよね」
ラキア「……私とした事が、カル様の来訪を予知できなかったとは……」
アデル「そういえば、カル姐さんが来る日って、いっつもちゃんとお花飾ってあったかも」
ラキア「……失態です……」
アデル「えっと、間に合ってるなら大丈夫だと思うよ?」
ラキア「なるほど! そうですねっ。では必ずや間に合わせてみせますっ」
アデル「うん。頑張って」
ラキア「はい。はっ……お子様のベッド……」
アデル「どうかしたの?」
ラキア「急がなくてはっ。子ども部屋に良いのはっ……いえ、ここはティア様のお部屋に? そうですね。それがベストです!」
アデル「ねぇ、キルシュ。ラキア姉さんが」
キルシュ「アデル、あぁなったラキアさんには近付くなよ」
アデル「邪魔しちゃだめだよね」
ラキア「急ぎますよっ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
ラキアちゃんも、察知できます。
カル姐さんが来るとなると皆が生き生きとします。
そして、双子。
そろそろ教育も必要ですから。
では次回、一日空けて23日です。
よろしくお願いします◎
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髪の話は、ルクスには今日の夜、恐らく顔を出すであろうカルツォーネと一緒に教えるからと言い、誤魔化しておいた。
「お帰りなさいませ。ティア様、ルクスさん」
「ただいま、ラキアちゃん。マティは帰ってる?」
「はい。お食事も終わり、只今、食休み中です」
「ありがとう。夕食が終わったら、少しディムースに行ってくるから」
「承知いたしました。すぐにお食事のご用意をいたします」
夜にカルツォーネが来るかもしれないという事も伝え、ティアは一旦部屋へ入る。
着替えを終えて出て来ると、アデルが部屋の前で待っていた。
「ティア、あたしもどっか行きたい。最近、全然付き合ってくれないんだもん」
「ごめん……ディムースにちょっと後で行くけどそれでもいいの? 明日授業あるけど……」
「いいよっ! 行くっ」
「あ~、それか、本当にちょっと行くだけだから……後で来るカル姐の相手をして待っててくれてもいいかも」
「うっ……カル姐さん……うぅ~っ……お、お留守番にするっ」
「そっか、そうして」
「うんっ」
「……」
アデルは年々明るくなる。最近は額の輝く皮膚も、時折髪を上げて見せていたりする。
「アデル、ティア、夕食の用意が出来たぞ」
部屋の前で話していたティアとアデルを、キルシュが呼びに来た。
「ありがとう、キルシュ。アデル、行くよ」
「は~い」
もう仲間というか、家族だ。
「ねぇ、キルシュ。今日の夜、カル姐さんが来るんだって」
「何っ! 分かった。なら色々と用意を……」
「キルシュ、食事が先」
「わ、分かった」
カルツォーネの人気は年齢など関係ない。アデルやキルシュも、すっかりカルツォーネファンだ。
「来るの、遅くなるかもよ?」
「大丈夫っ」
「心配ない」
「そう?」
念のため、一度カルツォーネに寄ってもらうように言わなくてはならないかもしれない。
恐らく、サクヤのところで色々聞くだろう。特にティアが倒れ、夢でマティアスに会った事、髪色の事はサクヤとウルスヴァン、カランタしか知らないのだ。
きっとなぜ話せなかったのかと責められるに決まっている。
「……怒られるかなぁ……」
「なに?」
「何か言ったか?」
「……何でもない……」
カルツォーネに微妙に会いたくないと思っているのは秘密だった。
◆◆◆◆◆
少し早めに夕食を終えたティアは、月が輝き出す前にマティに乗ってディムースに来ていた。
大宿にあるティアの部屋。そこの隣に二人の子どもがいる。
夕食を終えて眠くなっている頃と思って覗いた部屋から、勢いよく双子が飛び出してきた。
「「むきゃ~」」
声を挙げながら抱き付いてくるイルーシュとカイラント。それを抱き止め、笑って注意する。
「こらこら。危ないでしょ?」
「う~」
「む~」
「ふふっ、会いに来なくてごめんね。イル君、カイ君」
抱きついて離れない双子の頭を撫でる。
「今日、もっと早く来られればサルバに連れて行こうと思ってたんだけどね」
ティアは、近々サルバの屋敷に二人を預けようと思っていた。
「ねぇさまのおうち?」
「ねぇさまとおうち?」
「そう、でも一緒には住めない。ベル兄様はいるよ? そのお嫁さんとね。みんな優しいからね。お勉強とかも見てもらおう」
「いまから?」
「いまからいく」
「今から? そうだな……明日にしよう。もう夜遅くなっちゃうし」
う~
声を出すようになったとはいっても、時々まだ話さなくなる。拗ねる時は特にだ。
ぎゅっと離さないというように服を掴み、頭を押し付けてくる。友達も沢山できたし、ここには世話をやいてくれる大人もいる。しかし、それでもこうして夜は寂しく思うのだろう。
「う~ん……なら仕方ないか。誰かいる?」
「はい」
ティアが声を掛ければ、この宿屋の制服を着た女性がやってきた。彼女もクィーグの者だ。
「この子達、学園街の屋敷に連れていくわね」
「承知いたしました」
「ほら、行こうか」
「「いく~っ」」
こうして、二人を連れて学園街の屋敷に戻るのだった。
**********
舞台裏のお話。
アデル「ラキア姉さん。何してるの?」
ラキア「これですか? カル様をお迎えする為に、花を飾っているのですよ?」
アデル「お花って、夜飾るの珍しいよね」
ラキア「……私とした事が、カル様の来訪を予知できなかったとは……」
アデル「そういえば、カル姐さんが来る日って、いっつもちゃんとお花飾ってあったかも」
ラキア「……失態です……」
アデル「えっと、間に合ってるなら大丈夫だと思うよ?」
ラキア「なるほど! そうですねっ。では必ずや間に合わせてみせますっ」
アデル「うん。頑張って」
ラキア「はい。はっ……お子様のベッド……」
アデル「どうかしたの?」
ラキア「急がなくてはっ。子ども部屋に良いのはっ……いえ、ここはティア様のお部屋に? そうですね。それがベストです!」
アデル「ねぇ、キルシュ。ラキア姉さんが」
キルシュ「アデル、あぁなったラキアさんには近付くなよ」
アデル「邪魔しちゃだめだよね」
ラキア「急ぎますよっ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
ラキアちゃんも、察知できます。
カル姐さんが来るとなると皆が生き生きとします。
そして、双子。
そろそろ教育も必要ですから。
では次回、一日空けて23日です。
よろしくお願いします◎
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