31 / 109
一章
22. ルーフトップバーで野武士の友人と①
しおりを挟む
月落が丸の内で宇治抹茶ラテを飲んでいたのと同じ日の20時頃、鳴成秋史の姿は地上50階にあるルーフトップバーにあった。
東京湾を見渡せる室内のソファ席に、長い足を組んで座っている。
ダークネイビーの三つ揃えにペールグリーンのネクタイを締めているので大学にいる時と同様の装いに見えるが、一点だけ違うことがある。
いつもはセンターパートでセットしている髪を、さらりと下ろしているのだ。
それが童顔を加速させ、なおかつ一糸乱れぬスーツとのギャップを生み出した。
影響は言わずもがな、周囲の女性を虜にしている。
灯りの落とされた店内へと入った途端に四方八方から好奇の矢で射られていた鳴成だが、我関せずの格好を崩さず、今もシャルドネの白ワインをゆっくりと傾けている。
彼は今夜、ひとりではない。
向かいには男が座っていて、猛烈な勢いでクラブハウスサンドを食べている。
ぴたりと揃えた膝の上に皿を置いて。
「鳴成、ごめん。ちょっとだけ待っててくれ。5分で食べ終わる」
そう宣言した男は注文が到着するなり、見るからに具沢山なサンドイッチを大口で攻略し始めた。
長年の付き合いでマイペースには慣れている鳴成は、特段何も気にせずミックスナッツを食みながらワインを味わう。
「待たせたな」
きっかり5分後、綺麗に平らげた皿をテーブルへと戻した男は手元のジンフィズをグラス半ばまで一気飲みした。
「いいえ。まるでこれが一食目かのような食べっぷりでしたね」
「正解だ。今日は朝から会議三昧で、食事をする時間が取れなかったんだ。タクシー降りたとこで倒れるかと思ったよ、空腹で」
三白眼を細めながらにやりと笑うこの男、鳴成の20年来の友人である。
「課長に昇任されてから忙しさに拍車がかかっているような気がしますね」
「課長補佐になった時点で激務の程度が数段跳ね上がったから、役職が変わってもあんまりそこの実感はないな。あっちこっち移動する業務が減った分行動範囲は狭くなったんだが、何かと神経を使う業務が増えてストレス値はほぼ横ばいだ」
「重藤さんの身体が壊れないか心配です」
「大丈夫だ、俺にもあったかい食事を作ってくれる人ができた」
重藤寿信、44歳。
昨年の春に本省の課長職を拝命した、所謂『キャリア』と呼ばれるエリート国家公務員である。
仕立ての良いグレーのスーツにボルドーのネクタイが雰囲気に合っている。
「重藤さんから結婚式の招待状が届いた、と母が飛び上がって喜んでいました。家族と共に出席させていただきます」
「俺もこの年だしあんまり派手派手しいのは奥さんも苦手でな、ガーデンウェディングにしたから気楽に来てくれ。有紗ちゃんには子供優先で無理のないようにと伝えてほしい」
「ええ、伝えておきます」
「いやでも、まさかこの俺が結婚するとはなぁ……人生何があるか本当に分かんないよなぁ」
「確かに。私たちが学生だった頃のことを思うと想像もできなかった未来かもしれませんが、重藤さんはとても努力されましたから」
二人の出会いは遥か昔、大学1年生の春に遡る。
私立大学の国際教養学部に通い始めた鳴成は、キャンパスを友人と歩いている最中いきなり土下座で嘆願されるという異常事態に遭遇した。
ずんぐりむっくりの体型に濃いめの無精髭を生やし、髪は長すぎてボサボサ、お洒落度ゼロの黒縁眼鏡という出で立ちのその男。
正真正銘の初対面だった。
鳴成の隣にいた友人曰く、新1年生にも関わらずその強烈な見た目から『野武士』というあだ名が付けられるほど、キャンパス内では既に有名人であるらしい。
重藤と名乗った男は、助けてほしいの一言を添えて鳴成に再度土下座をした。
「あれは、何年たっても色鮮やかに思い出せる光景として焼きついています」
「ごめん、そうだよな。今の俺からしてみてもひどい有り様だった。富山のド田舎から出てきたばっかりで、東京の人とどれだけ自分が見た目的にかけ離れているかを自覚してなかったんだ。いや、自覚はしていたんだが、自己認識と他者認識があんなに乖離してると思ってなかったんだ」
鳴成は逃げ出したかったが、そのあまりの必死さに、ひとまず大学の空き教室に移動して話を聴いた。
友人は逃げて行ったが。
重藤は下を向きながら、こう告げた。
どうしてもこの大学の経済学部に通いたくて3浪し、念願叶って入学して自分なりに楽しいキャンパスライフを送っていたところ、女神に出会った。
つまり、同じ学部の女子学生に恋をした。
今の自分じゃ彼女に釣り合わないから、どうか格好良くなれる手伝いをしてくれないか。
切々と、最後の方は縋りつく勢いで頼まれた。
この大学で一番顔も服も整ってると噂されてる鳴成なら、こんな俺でもどうにかマシな見てくれに変身させることができるだろう、と。
鳴成はどうしたらいいか迷った末、美容サロンを経営している母に連絡を取り、その日のうちに実家へと連れて行ったのである。
「利沙さんに初めて会った時の、あの何とも言えない、間違って人里に下りてきた猪に遭遇した時のような表情は凄かったな。それをたったの1秒で切り替えて極上の笑顔で迎えてくれたのを見て、上流階級の方のマナーを体感したんだよな」
「最初から笑顔を繕えなかったことを、母はあの後とても後悔していましたけどね。レディとして失格だと」
「それは今初めて知ったし、悪いことをしたな。どう考えても全面的に落ち度があったのは俺だ。自分でも汚かったと反省してる」
それから、利沙による重藤改造計画が行われた。
『男性は清潔感が最も大事。笑顔や仕草、気の遣い方ももちろん大事だけれど、清潔感さえあれば魅力は二乗で膨れ上がる』との教えを信じ、重藤は生活のほぼ全てを見直した。
野菜多めタンパク質多めの食事に切り替え、夜はランニング。
髭は毎日綺麗に剃り、髪型も変え、日雇いのバイトを掛け持ちして服も一新した。
約1カ月間の血の滲むような努力のあと、別人へと変身を遂げた自分を鏡で確認した重藤は、意気揚々と女子学生に告白をした。
「くくく、懐かしいな。まさか、あんなに瞬殺で振られるなんて……くくく……」
「まさか彼氏がいたとは、思いもよりませんでしたね」
「ああ、完全にリサーチ不足だった」
思い出すほどに可笑しい。
付き合ってください!と腹の底から出た声にもはや上から被せるようにして、ごめんなさい!と返ってきた時には予想外すぎて呆然としてしまった。
時って本当に止まるんだなと、図らずも奇跡の体験してしまった日だった。
「意気消沈して一人暮らしのアパートに帰るのも虚しくて、自然と鳴成の家に行ってしまった俺をみんな温かく迎えてくれて……東京の人も優しいんだって思ったんだよな。利沙さんなんて一緒に泣いてくれたし」
「母は感情直下型ですから。重藤さんを、もうひとりの息子と思っていた節すらあります」
「本当にありがたい。鳴成が2年後にイギリスに行った時でも寂しくなかったのは、どう考えても鳴成家のおかげだ」
重藤が振られても、家族ぐるみの付き合いは終了しなかった。
というのも、告白は断られたが続きがあったからだ。
『だけど、野武士だった重藤さんがこんなにさっぱりして素敵になったのにはビックリした。たぶん、彼氏がいなかったら付き合ってた。私に告白するために変わってくれたのなら、すごく嬉しい。ありがとう』と言われたのだ。
その言葉ではっとした。
外見なんて気にせず汚い様相の時には他人は自分を遠巻きにしていたのに、清潔感を得た今は前ほど距離が開けられなくなったと気がついたからだ。
教室でも自分の周りだけ空席ということも減ったし、時々挨拶されるようにもなった気もする。
清潔感が一番大事、それさえあれば魅力は上がる。
それを身を以て知った重藤は、それから自分磨きに開眼した。
「私の家族が重藤さんとの関係を保ったのは、ひとえに重藤さんの人柄故だと思います。我が家は中々にシビアで、努力を怠る人間は門前払いなので」
「あの頃の俺が誇れるものは、継続する根性しかなかったからな」
この男、大学受験の前は偏差値40の高校に通っていた。
それを、入りたい大学を見つけたからと宅浪で3年勉強し続け、私立大学で一番偏差値の高い学部から合格をもぎ取った、ある意味本物の『武士』である。
ちなみに、鳴成と重藤の卒業校は、逢宮大学と並んで私立トップと称される双頭のもう片方である。
継続が得意という長所も上手く働いたおかげで、大学卒業後も利沙に都度相談した重藤は、ライフステージに合わせて身なりを整えることに成功した。
『三白眼で少し鋭利だけれど、すっきりしていて爽やかな男性』の完成である。
「イギリスの寮生活にも慣れた頃、日本に帰国して久しぶりにお会いした時には驚きました。すっかりスマートな装いが板に付いていらしたので」
「あれは鳴成をあっと言わせようって、利沙さんが悪ノリした結果でもあるけどな」
鳴成が在英中も重藤が遊びに行ったり、一時帰国している間も日本で食事に行ったりと繋がりは消えなかった。
友人の数は人より少ないと自覚のある鳴成だが、重藤は単に大学の同級生というより間違いなく親しい友人のひとりと言える。
「重藤さん、本当に素敵になられました」
「野武士の頃を奥さんに見せたら泡吹いて倒れるだろうな。絶対に見せないけど」
「そう言えば、出会いはどういう経緯だったんです?」
ここ半年ほど互いに忙しくしていた。
前回食事をした際に交際相手がいるとは聞いていたが、あまり掘り下げられないまま終わっていた。
重藤は今までも数名と交際はしていたが、結婚に至るまでの真剣交際ではなかったと記憶しているので、鳴成としても興味が湧く。
東京湾を見渡せる室内のソファ席に、長い足を組んで座っている。
ダークネイビーの三つ揃えにペールグリーンのネクタイを締めているので大学にいる時と同様の装いに見えるが、一点だけ違うことがある。
いつもはセンターパートでセットしている髪を、さらりと下ろしているのだ。
それが童顔を加速させ、なおかつ一糸乱れぬスーツとのギャップを生み出した。
影響は言わずもがな、周囲の女性を虜にしている。
灯りの落とされた店内へと入った途端に四方八方から好奇の矢で射られていた鳴成だが、我関せずの格好を崩さず、今もシャルドネの白ワインをゆっくりと傾けている。
彼は今夜、ひとりではない。
向かいには男が座っていて、猛烈な勢いでクラブハウスサンドを食べている。
ぴたりと揃えた膝の上に皿を置いて。
「鳴成、ごめん。ちょっとだけ待っててくれ。5分で食べ終わる」
そう宣言した男は注文が到着するなり、見るからに具沢山なサンドイッチを大口で攻略し始めた。
長年の付き合いでマイペースには慣れている鳴成は、特段何も気にせずミックスナッツを食みながらワインを味わう。
「待たせたな」
きっかり5分後、綺麗に平らげた皿をテーブルへと戻した男は手元のジンフィズをグラス半ばまで一気飲みした。
「いいえ。まるでこれが一食目かのような食べっぷりでしたね」
「正解だ。今日は朝から会議三昧で、食事をする時間が取れなかったんだ。タクシー降りたとこで倒れるかと思ったよ、空腹で」
三白眼を細めながらにやりと笑うこの男、鳴成の20年来の友人である。
「課長に昇任されてから忙しさに拍車がかかっているような気がしますね」
「課長補佐になった時点で激務の程度が数段跳ね上がったから、役職が変わってもあんまりそこの実感はないな。あっちこっち移動する業務が減った分行動範囲は狭くなったんだが、何かと神経を使う業務が増えてストレス値はほぼ横ばいだ」
「重藤さんの身体が壊れないか心配です」
「大丈夫だ、俺にもあったかい食事を作ってくれる人ができた」
重藤寿信、44歳。
昨年の春に本省の課長職を拝命した、所謂『キャリア』と呼ばれるエリート国家公務員である。
仕立ての良いグレーのスーツにボルドーのネクタイが雰囲気に合っている。
「重藤さんから結婚式の招待状が届いた、と母が飛び上がって喜んでいました。家族と共に出席させていただきます」
「俺もこの年だしあんまり派手派手しいのは奥さんも苦手でな、ガーデンウェディングにしたから気楽に来てくれ。有紗ちゃんには子供優先で無理のないようにと伝えてほしい」
「ええ、伝えておきます」
「いやでも、まさかこの俺が結婚するとはなぁ……人生何があるか本当に分かんないよなぁ」
「確かに。私たちが学生だった頃のことを思うと想像もできなかった未来かもしれませんが、重藤さんはとても努力されましたから」
二人の出会いは遥か昔、大学1年生の春に遡る。
私立大学の国際教養学部に通い始めた鳴成は、キャンパスを友人と歩いている最中いきなり土下座で嘆願されるという異常事態に遭遇した。
ずんぐりむっくりの体型に濃いめの無精髭を生やし、髪は長すぎてボサボサ、お洒落度ゼロの黒縁眼鏡という出で立ちのその男。
正真正銘の初対面だった。
鳴成の隣にいた友人曰く、新1年生にも関わらずその強烈な見た目から『野武士』というあだ名が付けられるほど、キャンパス内では既に有名人であるらしい。
重藤と名乗った男は、助けてほしいの一言を添えて鳴成に再度土下座をした。
「あれは、何年たっても色鮮やかに思い出せる光景として焼きついています」
「ごめん、そうだよな。今の俺からしてみてもひどい有り様だった。富山のド田舎から出てきたばっかりで、東京の人とどれだけ自分が見た目的にかけ離れているかを自覚してなかったんだ。いや、自覚はしていたんだが、自己認識と他者認識があんなに乖離してると思ってなかったんだ」
鳴成は逃げ出したかったが、そのあまりの必死さに、ひとまず大学の空き教室に移動して話を聴いた。
友人は逃げて行ったが。
重藤は下を向きながら、こう告げた。
どうしてもこの大学の経済学部に通いたくて3浪し、念願叶って入学して自分なりに楽しいキャンパスライフを送っていたところ、女神に出会った。
つまり、同じ学部の女子学生に恋をした。
今の自分じゃ彼女に釣り合わないから、どうか格好良くなれる手伝いをしてくれないか。
切々と、最後の方は縋りつく勢いで頼まれた。
この大学で一番顔も服も整ってると噂されてる鳴成なら、こんな俺でもどうにかマシな見てくれに変身させることができるだろう、と。
鳴成はどうしたらいいか迷った末、美容サロンを経営している母に連絡を取り、その日のうちに実家へと連れて行ったのである。
「利沙さんに初めて会った時の、あの何とも言えない、間違って人里に下りてきた猪に遭遇した時のような表情は凄かったな。それをたったの1秒で切り替えて極上の笑顔で迎えてくれたのを見て、上流階級の方のマナーを体感したんだよな」
「最初から笑顔を繕えなかったことを、母はあの後とても後悔していましたけどね。レディとして失格だと」
「それは今初めて知ったし、悪いことをしたな。どう考えても全面的に落ち度があったのは俺だ。自分でも汚かったと反省してる」
それから、利沙による重藤改造計画が行われた。
『男性は清潔感が最も大事。笑顔や仕草、気の遣い方ももちろん大事だけれど、清潔感さえあれば魅力は二乗で膨れ上がる』との教えを信じ、重藤は生活のほぼ全てを見直した。
野菜多めタンパク質多めの食事に切り替え、夜はランニング。
髭は毎日綺麗に剃り、髪型も変え、日雇いのバイトを掛け持ちして服も一新した。
約1カ月間の血の滲むような努力のあと、別人へと変身を遂げた自分を鏡で確認した重藤は、意気揚々と女子学生に告白をした。
「くくく、懐かしいな。まさか、あんなに瞬殺で振られるなんて……くくく……」
「まさか彼氏がいたとは、思いもよりませんでしたね」
「ああ、完全にリサーチ不足だった」
思い出すほどに可笑しい。
付き合ってください!と腹の底から出た声にもはや上から被せるようにして、ごめんなさい!と返ってきた時には予想外すぎて呆然としてしまった。
時って本当に止まるんだなと、図らずも奇跡の体験してしまった日だった。
「意気消沈して一人暮らしのアパートに帰るのも虚しくて、自然と鳴成の家に行ってしまった俺をみんな温かく迎えてくれて……東京の人も優しいんだって思ったんだよな。利沙さんなんて一緒に泣いてくれたし」
「母は感情直下型ですから。重藤さんを、もうひとりの息子と思っていた節すらあります」
「本当にありがたい。鳴成が2年後にイギリスに行った時でも寂しくなかったのは、どう考えても鳴成家のおかげだ」
重藤が振られても、家族ぐるみの付き合いは終了しなかった。
というのも、告白は断られたが続きがあったからだ。
『だけど、野武士だった重藤さんがこんなにさっぱりして素敵になったのにはビックリした。たぶん、彼氏がいなかったら付き合ってた。私に告白するために変わってくれたのなら、すごく嬉しい。ありがとう』と言われたのだ。
その言葉ではっとした。
外見なんて気にせず汚い様相の時には他人は自分を遠巻きにしていたのに、清潔感を得た今は前ほど距離が開けられなくなったと気がついたからだ。
教室でも自分の周りだけ空席ということも減ったし、時々挨拶されるようにもなった気もする。
清潔感が一番大事、それさえあれば魅力は上がる。
それを身を以て知った重藤は、それから自分磨きに開眼した。
「私の家族が重藤さんとの関係を保ったのは、ひとえに重藤さんの人柄故だと思います。我が家は中々にシビアで、努力を怠る人間は門前払いなので」
「あの頃の俺が誇れるものは、継続する根性しかなかったからな」
この男、大学受験の前は偏差値40の高校に通っていた。
それを、入りたい大学を見つけたからと宅浪で3年勉強し続け、私立大学で一番偏差値の高い学部から合格をもぎ取った、ある意味本物の『武士』である。
ちなみに、鳴成と重藤の卒業校は、逢宮大学と並んで私立トップと称される双頭のもう片方である。
継続が得意という長所も上手く働いたおかげで、大学卒業後も利沙に都度相談した重藤は、ライフステージに合わせて身なりを整えることに成功した。
『三白眼で少し鋭利だけれど、すっきりしていて爽やかな男性』の完成である。
「イギリスの寮生活にも慣れた頃、日本に帰国して久しぶりにお会いした時には驚きました。すっかりスマートな装いが板に付いていらしたので」
「あれは鳴成をあっと言わせようって、利沙さんが悪ノリした結果でもあるけどな」
鳴成が在英中も重藤が遊びに行ったり、一時帰国している間も日本で食事に行ったりと繋がりは消えなかった。
友人の数は人より少ないと自覚のある鳴成だが、重藤は単に大学の同級生というより間違いなく親しい友人のひとりと言える。
「重藤さん、本当に素敵になられました」
「野武士の頃を奥さんに見せたら泡吹いて倒れるだろうな。絶対に見せないけど」
「そう言えば、出会いはどういう経緯だったんです?」
ここ半年ほど互いに忙しくしていた。
前回食事をした際に交際相手がいるとは聞いていたが、あまり掘り下げられないまま終わっていた。
重藤は今までも数名と交際はしていたが、結婚に至るまでの真剣交際ではなかったと記憶しているので、鳴成としても興味が湧く。
120
あなたにおすすめの小説
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。
本気になった幼なじみがメロすぎます!
文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。
俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。
いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。
「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」
その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。
「忘れないでよ、今日のこと」
「唯くんは俺の隣しかだめだから」
「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」
俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。
俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。
「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」
そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……!
【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる