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見せしめ舞踏会3
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まずこのパーティー会場とステラの家は遠い。
正確な距離は分からないが、連行された時はそれなりに長い時間馬車に揺られていた。
それに道が分からない。
そもそもこの国の夜に女性一人で歩いているとどういうことになるか、ということだ。
命があれば幸運だろう。もっとも、本当に幸運かどうかはこの場にいる者ならだれでも想像がつく。
つまり、ステラのことなどどうにでもなれということだ。
すべての人間がそれを承知で笑っている。
(ブリジットという身内がいるからこそ言い訳もできるものね)
『婚約破棄のショックでステラは自暴自棄になって出ていったのだ』と。
多少の同情はされこそ、淑女らしからぬ行動をとったステラにも問題があるという話になるに違いない。
「あなたたち、しばらく見ない間にそんなに最低な人間になったのね」
「何を『期待』しているのか知らないけれど、あなたを襲う人間なんていないわよ?」
下卑た声が響く。
「……っ!」
声の震えは収まった。
しかし今度はこぶしが震える。
(一発殴らないと気が済まないわ……!)
けれど、そんなことをしたらそれこそ全てが終わってしまう。
「ね~え、あんたが跪いて『ブスでごめんなさ~い、ゆるしてくださ~い』って言えば寛大な心で馬車だけは用意してくれるって! デリックったら優しすぎ!」
「未来の伯爵として寛容にならなくてはね」
二人に呼応して、またもや会場全体が嘲笑で揺れた。
夜道を一人で帰っても、今ここでデリックの頬を叩いても評判は終わる。
だからステラに残された道はひとつなのだ。
(断頭台に上る気持ちってこんな感じなのかしら)
ステラはデリックたちに向きなおり、群衆の中ゆっくり一歩、一歩と足を進める。
近づきたくない。
しかし一刻も早くこの場から去りたい。
絶望的な気持ちだ。
必死にこの展開を覆す方法を考えているが何も浮かばない。
(大丈夫、私の誇りはこんなことで失われないわ。こんなことは一瞬で終わるのだから気にしなくていい)
そう自分に言い聞かせながらも、ついにステラはデリックとブリジットの前にたどり着いてしまった。
処刑が終わるまでショーが終わらないというのなら終わらせてやる、とステラは心を殺した。
(今私に出来るのは、泣かないこと)
己が勝者だと信じて疑わず、自信たっぷりに笑う二人が眩しい。
二人を照らすシャンデリアの光は、うつむくステラには影しか落とさない。
「おぞましい女め、はやく己の醜さを謝罪しろ」
「わ、私は……」
ステラが口を開いた。その時。
「遅れてすみません、私の女王」
その場を支配するような、凛と通る男の声がした。ふわりとかすかに誘うような甘い花の香りが漂う。
正確な距離は分からないが、連行された時はそれなりに長い時間馬車に揺られていた。
それに道が分からない。
そもそもこの国の夜に女性一人で歩いているとどういうことになるか、ということだ。
命があれば幸運だろう。もっとも、本当に幸運かどうかはこの場にいる者ならだれでも想像がつく。
つまり、ステラのことなどどうにでもなれということだ。
すべての人間がそれを承知で笑っている。
(ブリジットという身内がいるからこそ言い訳もできるものね)
『婚約破棄のショックでステラは自暴自棄になって出ていったのだ』と。
多少の同情はされこそ、淑女らしからぬ行動をとったステラにも問題があるという話になるに違いない。
「あなたたち、しばらく見ない間にそんなに最低な人間になったのね」
「何を『期待』しているのか知らないけれど、あなたを襲う人間なんていないわよ?」
下卑た声が響く。
「……っ!」
声の震えは収まった。
しかし今度はこぶしが震える。
(一発殴らないと気が済まないわ……!)
けれど、そんなことをしたらそれこそ全てが終わってしまう。
「ね~え、あんたが跪いて『ブスでごめんなさ~い、ゆるしてくださ~い』って言えば寛大な心で馬車だけは用意してくれるって! デリックったら優しすぎ!」
「未来の伯爵として寛容にならなくてはね」
二人に呼応して、またもや会場全体が嘲笑で揺れた。
夜道を一人で帰っても、今ここでデリックの頬を叩いても評判は終わる。
だからステラに残された道はひとつなのだ。
(断頭台に上る気持ちってこんな感じなのかしら)
ステラはデリックたちに向きなおり、群衆の中ゆっくり一歩、一歩と足を進める。
近づきたくない。
しかし一刻も早くこの場から去りたい。
絶望的な気持ちだ。
必死にこの展開を覆す方法を考えているが何も浮かばない。
(大丈夫、私の誇りはこんなことで失われないわ。こんなことは一瞬で終わるのだから気にしなくていい)
そう自分に言い聞かせながらも、ついにステラはデリックとブリジットの前にたどり着いてしまった。
処刑が終わるまでショーが終わらないというのなら終わらせてやる、とステラは心を殺した。
(今私に出来るのは、泣かないこと)
己が勝者だと信じて疑わず、自信たっぷりに笑う二人が眩しい。
二人を照らすシャンデリアの光は、うつむくステラには影しか落とさない。
「おぞましい女め、はやく己の醜さを謝罪しろ」
「わ、私は……」
ステラが口を開いた。その時。
「遅れてすみません、私の女王」
その場を支配するような、凛と通る男の声がした。ふわりとかすかに誘うような甘い花の香りが漂う。
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