婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井

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見せしめ舞踏会4

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「え?」

 嘲笑ではなくどよめき。
 驚愕と好奇心が会場を包んだ。
 ステラが顔をあげれば、光をまとったような長身の男が立っていた。

(綺麗……)

 一瞬で目を奪われるほど甘い美貌だった。
 ステラは思わずどきりとする。
 
 新雪のように白い肌と、夜空のような黒髪。
 誘うような深い薔薇色の瞳に思わず吸い寄せられる。
 長身にまとったイブニングコートは都会ではあまり見ない不思議な形をしていたが、浮世離れした美しさを持つ男によく似合っていた。

 ぽとりと、ブリジットの手から扇子が落ちて静かなホールに音が響く。
 男はステラとデリックたちの前に現れたが、周囲の様子には興味が無いようだった。

 
 男は優雅な仕草でステラに跪く。

「ヒッ」

 ステラは思わず硬直した。
 知っている人間の悪意より、知らない人間の訳の分からない行動の方に恐怖を覚える。
 この男の行動の意味が分からない。


「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね。エスコートに遅れてしまった私をどうか罰してください」

 凄まじい謎の美形に、にっこりと熱っぽく微笑まれる。
 満足げな男と対称的にステラは冷や汗まみれだ。

(だ、誰?)

 男は大切な宝石を扱うようにステラの手を取った。

「あなたの麗しき御手に口づけることを、醜い私にお許しいただけますか?」

「みにくい? くちづけ……?」

 (これは夢?)

 なにを言っているのだろうか。
 男の発言と視覚情報が食い違いすぎてくらくらする。
 さきほどまでの悪夢とあまりにも違う悪夢だ。

 ぼんやりしていると、ぎゅっと手に軽く力が込められた。自分を見てほしいというように。

「やはりお許しいただけませんか……?」

「えっえっ? 許します……?」

「ありがとうございます」

 反射的に言葉にしてしまった。美青年の頬にさっと赤みがさす。
 柔らかい唇が、手袋をしていないステラの手に触れた。

(熱い)

 なぜだかふと、頭がちくりと痛くなる。
 しかしステラが違和感を追う前に男が立ち上がったので結局は何も分からなかった。
 男が自然な形でエスコートしようとするので、ハッとして突っぱねる。  

「ど、どなたかとお間違えでは!」

 美青年はきょとんとする。
 しかしすぐに少し物悲し気に微笑んで、改めてステラを見つめる。

「間違えるはずがありません。ステラ様。ずっとお会いしたかったのです」

「どうして私の名前を……」
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