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レイクガーデンの攻防4
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「ごきげんようセシリア様。それと……ふふっごめんなさいね。どなたかしら。お顔は存じているのですけれど」
「……あら、クローイ様もいらしていたんですね。こちら、ステラ・グレアム男爵令嬢よ。ステラ、この方はクローイ・アガター伯爵令嬢ですわ」
「お初にお目にかかります。ステラ・グレアムですわ」
「よろしくね」
扇で口元を隠しているが、真っすぐな黒髪と深い黒目が印象的なご令嬢だった。
自己紹介もせず、最初からステラのことを名前も知らない取るに足らない人物として嘲笑している。
(見るからに取り巻きといった女の子達を引き連れて『ご挨拶』に来たみたいね。分かりやすくて助かるわ)
名前は知らず顔だけ知っているというのは、先日の舞踏会で「分不相応に目立っていた」と伝えたいのだ。
クローイもハウンドに恋をしている一人なのだろう。
(ハウンドの目論見は大成功みたいね。誰もが私のように彼に熱く愛されたいと願うもの。私も……最初に詐欺師だと思って警戒していなかったら騙されていたわ。彼の演技は隙がないから)
「今日はハウンド様とはご一緒ではないのですか? この間はとっても仲がよろしいように見えましたが」
「クローイ様、ステラ様は……」
盾になってかばってくれようとしたセシリアの袖を引っ張って止める。
セシリアはステラの意思を汲んで、心配そうにしながらも一歩下がってくれた。
彼女の気遣いに報いるためにも負けていられない。
「ええ。今日は自由を満喫しております。先日はなかなか……皆様とお話できなかったので」
意味深に間を持たせて言外にハウンドが離してくれなくて、と匂わせる。
クローイは当然すぐに気付いたようでぴくりと下まぶたを震わせた。
しかしすぐに表情を取り繕う。
「では私は幸運でしたわね。お暇なステラ様とお話ができるなんて。どんな方なのかと気になっておりましたの。遠目に拝見した時はハウンド様がご執心なさる理由が分からなかったもので……。こうしてお話できればきっと素晴らしい精神性をご教示いただけるものと信じております」
要するに「無名のブスがハウンドの心を掴んだってことは当然中身がいいんですよね?」という意味だ。
もちろん、クローイはステラの中身に露ほども興味はない。
今まで社交界に出ておらず、教養も淑女らしさもなさそうなステラへの嫌味だ。
セシリアの眉がぴくりと動くのを横目に確認したステラは、そこでセシリアの真似をして微笑んだ。
「私などつまらない人間ですわ。クローイ様のご期待に沿えるような者ではございません。ですが、それでも気にかけてくださる方がいるので感謝しております。クローイ様にもこうして話しかけていただけて嬉しいですわ」
控えめに笑えばひとかどの淑女だ。
そして社交界では基本的に話しかけられた方が上の立場となる。
そっちから話しかけてきましたよね? と再確認させればクローイは押し黙ってしまった。
扇を持つ手を下ろし、赤い唇をわなわなと震わせている。
気丈にも彼女はその状態から笑って見せた。
「……あら、クローイ様もいらしていたんですね。こちら、ステラ・グレアム男爵令嬢よ。ステラ、この方はクローイ・アガター伯爵令嬢ですわ」
「お初にお目にかかります。ステラ・グレアムですわ」
「よろしくね」
扇で口元を隠しているが、真っすぐな黒髪と深い黒目が印象的なご令嬢だった。
自己紹介もせず、最初からステラのことを名前も知らない取るに足らない人物として嘲笑している。
(見るからに取り巻きといった女の子達を引き連れて『ご挨拶』に来たみたいね。分かりやすくて助かるわ)
名前は知らず顔だけ知っているというのは、先日の舞踏会で「分不相応に目立っていた」と伝えたいのだ。
クローイもハウンドに恋をしている一人なのだろう。
(ハウンドの目論見は大成功みたいね。誰もが私のように彼に熱く愛されたいと願うもの。私も……最初に詐欺師だと思って警戒していなかったら騙されていたわ。彼の演技は隙がないから)
「今日はハウンド様とはご一緒ではないのですか? この間はとっても仲がよろしいように見えましたが」
「クローイ様、ステラ様は……」
盾になってかばってくれようとしたセシリアの袖を引っ張って止める。
セシリアはステラの意思を汲んで、心配そうにしながらも一歩下がってくれた。
彼女の気遣いに報いるためにも負けていられない。
「ええ。今日は自由を満喫しております。先日はなかなか……皆様とお話できなかったので」
意味深に間を持たせて言外にハウンドが離してくれなくて、と匂わせる。
クローイは当然すぐに気付いたようでぴくりと下まぶたを震わせた。
しかしすぐに表情を取り繕う。
「では私は幸運でしたわね。お暇なステラ様とお話ができるなんて。どんな方なのかと気になっておりましたの。遠目に拝見した時はハウンド様がご執心なさる理由が分からなかったもので……。こうしてお話できればきっと素晴らしい精神性をご教示いただけるものと信じております」
要するに「無名のブスがハウンドの心を掴んだってことは当然中身がいいんですよね?」という意味だ。
もちろん、クローイはステラの中身に露ほども興味はない。
今まで社交界に出ておらず、教養も淑女らしさもなさそうなステラへの嫌味だ。
セシリアの眉がぴくりと動くのを横目に確認したステラは、そこでセシリアの真似をして微笑んだ。
「私などつまらない人間ですわ。クローイ様のご期待に沿えるような者ではございません。ですが、それでも気にかけてくださる方がいるので感謝しております。クローイ様にもこうして話しかけていただけて嬉しいですわ」
控えめに笑えばひとかどの淑女だ。
そして社交界では基本的に話しかけられた方が上の立場となる。
そっちから話しかけてきましたよね? と再確認させればクローイは押し黙ってしまった。
扇を持つ手を下ろし、赤い唇をわなわなと震わせている。
気丈にも彼女はその状態から笑って見せた。
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