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「私に捧げられたものはリリアに捧げられたも同じだ。食べると良い」
そんな風に言われると落ち着かない。
リリアは一人の人間の前に、無加護として生きてきたのだ。
リリアに与えられるものと言えば残飯と泥と石、蔑みの目と憎しみの感情だった。
さすがに目の前の彼のようには考えられないがせっかく勧めてくれたのだ。
ありがたく頂かないとそれこそ失礼だろうとリリアは考える。
「そうね。恵みに感謝していただきましょう。今日からやる事が山積みよ」
荷車から大きめのお皿を一枚とバスケットをもってきて、二人で昨日のようにテーブルにつく。
朝食分をお皿に果物を乗せ、余ったものや調理しないといけないものはとりあえずバスケットに入れた。
真っ赤で大きく形の良いファイアベリー、ぷっくりと食欲を誘うアクアチェリー、切ったらどんな芳香が鼻に広がるのか楽しみなテラキウイ。
リリアは近くにあった太陽のようなテラロレンジを手に取り食前の祈りを捧げる。
「精霊よ、恵に感謝してこの食事をいただきます。この食事を祝福し私たちの心と体を支える糧としてください」
「ああ、構わん」
「……まあそうなるわよね」
目の前の精霊王はにこにこと答えている。
手には齧りかけのテラキウイだ。
土色の皮には微細なトゲが生えていて剥かないと普通は食べられないのに、その皮ごと食べている。
精霊への祈りなのだ。
精霊の王たる彼への言葉と同じなのだから、それに応えてくれたのだろう。
教会の人たちが聞いたらありがたすぎて卒倒するかもしれない。
これに慣れる日はくるのかしら。
「それにしても、こんなに量があるならどんどん保存が効くものにしていかないといけないわね」
テラロレンジの柔らかい皮を剥いていく。
「保存。だが乙女が望めばいつでもここへ持ってくるが?」
「何があるか分からないもの。あっ、お、美味しい!!」
テラロレンジはいくつかの房に分かれて薄皮に包まれている。
薄皮ごと食べられるので口に入れたら途端にじゅわりとリリアの口の中が甘さで満たされた。
「なにこれ…。これがテラロレンジ…?さすが高級品ね…」
リリアが普段口にしていたテラロレンジはそもそも非常に痩せて形が悪いものだ。
それを孤児院の子供たちに出して、残ったものを頂く。
パサパサしていて震えあがるほどすっぱい。それがテラロレンジだ。
だが今食べた高級なテラロレンジは見た目からふっくらとして、甘い果汁で満ちている。
「頭が溶けそうなほど美味しい…」
感動のしすぎてリリアはぐったりしてしまった。
そんなリリアを精霊王は愛おしそうに見つめている。
リリアの真似をしていそいそと皮を剥き、長い指でひと房つまんでリリアの口元へ持っていく。
「さあ、どんどん食べると良い。リリアは他の人間と比べて痩せているようだしな」
「じ、自分で食べられるわよ!」
ファイアベリーより真っ赤になったリリアは自分の手の中のテラロレンジを口にいれる。
(おいっしい~~~!!味が沢山ある…!)
「人間の身体だと確かに皮を剥いた方が食べやすく美味いな」
豪快な食べ方をしていた精霊王も、リリアの食べ方を真似てその利点に気づくとそれを採用するようになった。
面白そうに手元を見つめているので、リリアは丁寧に説明する。
そうして二人で食べていると大量に見えた果物もあっという間になくなってしまった。
孤児院を出てから良い事だらけ…というわけでもないが、とにかくリリアは幸せだった。
そんな風に言われると落ち着かない。
リリアは一人の人間の前に、無加護として生きてきたのだ。
リリアに与えられるものと言えば残飯と泥と石、蔑みの目と憎しみの感情だった。
さすがに目の前の彼のようには考えられないがせっかく勧めてくれたのだ。
ありがたく頂かないとそれこそ失礼だろうとリリアは考える。
「そうね。恵みに感謝していただきましょう。今日からやる事が山積みよ」
荷車から大きめのお皿を一枚とバスケットをもってきて、二人で昨日のようにテーブルにつく。
朝食分をお皿に果物を乗せ、余ったものや調理しないといけないものはとりあえずバスケットに入れた。
真っ赤で大きく形の良いファイアベリー、ぷっくりと食欲を誘うアクアチェリー、切ったらどんな芳香が鼻に広がるのか楽しみなテラキウイ。
リリアは近くにあった太陽のようなテラロレンジを手に取り食前の祈りを捧げる。
「精霊よ、恵に感謝してこの食事をいただきます。この食事を祝福し私たちの心と体を支える糧としてください」
「ああ、構わん」
「……まあそうなるわよね」
目の前の精霊王はにこにこと答えている。
手には齧りかけのテラキウイだ。
土色の皮には微細なトゲが生えていて剥かないと普通は食べられないのに、その皮ごと食べている。
精霊への祈りなのだ。
精霊の王たる彼への言葉と同じなのだから、それに応えてくれたのだろう。
教会の人たちが聞いたらありがたすぎて卒倒するかもしれない。
これに慣れる日はくるのかしら。
「それにしても、こんなに量があるならどんどん保存が効くものにしていかないといけないわね」
テラロレンジの柔らかい皮を剥いていく。
「保存。だが乙女が望めばいつでもここへ持ってくるが?」
「何があるか分からないもの。あっ、お、美味しい!!」
テラロレンジはいくつかの房に分かれて薄皮に包まれている。
薄皮ごと食べられるので口に入れたら途端にじゅわりとリリアの口の中が甘さで満たされた。
「なにこれ…。これがテラロレンジ…?さすが高級品ね…」
リリアが普段口にしていたテラロレンジはそもそも非常に痩せて形が悪いものだ。
それを孤児院の子供たちに出して、残ったものを頂く。
パサパサしていて震えあがるほどすっぱい。それがテラロレンジだ。
だが今食べた高級なテラロレンジは見た目からふっくらとして、甘い果汁で満ちている。
「頭が溶けそうなほど美味しい…」
感動のしすぎてリリアはぐったりしてしまった。
そんなリリアを精霊王は愛おしそうに見つめている。
リリアの真似をしていそいそと皮を剥き、長い指でひと房つまんでリリアの口元へ持っていく。
「さあ、どんどん食べると良い。リリアは他の人間と比べて痩せているようだしな」
「じ、自分で食べられるわよ!」
ファイアベリーより真っ赤になったリリアは自分の手の中のテラロレンジを口にいれる。
(おいっしい~~~!!味が沢山ある…!)
「人間の身体だと確かに皮を剥いた方が食べやすく美味いな」
豪快な食べ方をしていた精霊王も、リリアの食べ方を真似てその利点に気づくとそれを採用するようになった。
面白そうに手元を見つめているので、リリアは丁寧に説明する。
そうして二人で食べていると大量に見えた果物もあっという間になくなってしまった。
孤児院を出てから良い事だらけ…というわけでもないが、とにかくリリアは幸せだった。
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