18 / 107
本編
眠れそうですか?
しおりを挟む
私の背中の魔方陣を消すと相手に伝わるから、そのままにして部屋の点検して結界を張った後で夕食をとる事になった。
宿屋の一階の食堂で食事をしながら、ランバートさんが敵の確認している。彼が目を閉じて祈る様に組んだ手を額に付けて集中し始めた。
「食堂の奥に一人……宿屋の外……三人……他には……街の外れ……空き家……三人……」
私には分からないけど師匠の説明では、彼は魔力を外に広げて共通の敵意がある人物を見付ける作業をしているらしい。魔力の多い人にしか出来ない事なんだって。
「師匠、魔法のサーチとは何が違うんですか?」
「サーチは魔方陣を媒体にして陣の広がった範囲を調べるが、今のは魔力のみだから敵に感知されにくい」
師匠の説明を聞いていると、ふうと息を吐いたランバートさんが目を開けて手を解いた。魔力を使った影響か、彼の瞳の色が何時もより濃くなって焦点が定まっていない。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう」
ランバートさんは一言だけ言うと、笑って食事を始めた。私も師匠に促されて料理に手を伸ばす。はー、久し振りに他の人が作ったご飯食べた気がする。美味しいけど、ランバートさんは少し不満気な顔をしてる。
「イリーナが作った方が旨いな」
師匠が驚いた表情で彼を見た。私も驚いたよ。私は料理を誉められたと喜んで良いのかな?彼の美味しいの基準が低い気がするけどなぁ。それにしても……
「背中が気持ち悪い」
何事も無ければ美味しいご飯が楽しめたのにガッカリ。俯いてため息を吐くと、ランバートさんが私の背中を擦ってくれた。彼が肩の近くを擦った瞬間、パンと乾いた音が聞こえた。
「……今の音……何ですか?」
「「音?」」
二人が声を揃えて首を傾げて考えている。イヤ、確かに音が聞こえ……た……うん?……背中が?
「師匠……気持ち悪いの無くなりました」
「……お前、破壊したな」
「え?俺!?何もしてないですよ!」
私と師匠の視線を浴びて慌てる彼は、必死に首を横に振っている。さっさと食事を終わらせて部屋に戻ると、直ぐに師匠が私の背中を覗き込んで、大きなため息を吐いた。
「やはり破壊してるぞ」
「どうしましょう」
師匠が唸り声を上げると、ランバートさんは叱られた子犬の様に項垂れていた。師匠の解析だと私と彼の魔力中和作用の影響で、魔方陣も一緒に中和=破壊をした可能性が高いらしい。下手に外に出ると目立つと言った師匠が、大きな紙に魔方陣を書き出した。
「直接、ナダルに連絡するから、お前達は先に風呂に入ってろ」
師匠に言われて、私達は交代で静かにお風呂を済ませた。何時でも移動出来る服装に着替えて風呂場から出てくると、魔方陣を書き終えた師匠が紙に魔力を流し始めていた。少し紙が浮いた後、淡く光る。その光の中に一人の男性が現れた。
『おや、兄上。珍しいですね』
「無駄口叩いてる暇は無い」
初めて見る王様は、街で見た絵姿より師匠に似ていた。師匠が魔方陣の事や見張りがいる事。ランバートさんが確認した人数や場所を説明していると、王様がニヤリと笑った。うわ~今の悪そうな笑顔、師匠にそっくり。
『助かりましたよ兄上。魔方陣を使う手口から今、騎士団が追っている組織で間違い無いでしょう』
王様の話では、実行犯は街の破落戸で指令役等、中心人物の居場所を誰も知らなかったらしい。王様はランバートさんが、さっき見付けた空き家に、一番近くにいる騎士団を向かわせると言った。
『安心して休んで下さい。明日、会えるのを楽しみにしていますよ。では』
「あぁ、明日な」
師匠の返事を聞いた王様が、嬉しそうに笑って姿を消した。魔方陣の光りも消えて部屋が急に暗くなった。
「後はナダルに任せて寝るか」
そう言うと師匠は、自分も風呂に入ると言って奥の風呂場に入った。え?これで終わり?
「寝ても大丈夫なんですか?」
「王様が休んでっ言ったから大丈夫」
ランバートさんに手を引かれベッドに入ったけど、何故か彼は私が休むベッドの横に腰かけた。え?何やってるの?
「寝るまで側にいるから」
彼に不安な気持ちを見透かされた事が恥ずかしくなって、布団で顔を半分隠した。
「……お休みなさい」
私が目を閉じると彼が頭を撫でてくる。髪を触るの好きだなぁなんて思ったけど、疲れていたのか直ぐに眠くなる。
寝る時に側に居て貰うの……何年振りかなぁ……安心する……ゆっくり眠れそう
宿屋の一階の食堂で食事をしながら、ランバートさんが敵の確認している。彼が目を閉じて祈る様に組んだ手を額に付けて集中し始めた。
「食堂の奥に一人……宿屋の外……三人……他には……街の外れ……空き家……三人……」
私には分からないけど師匠の説明では、彼は魔力を外に広げて共通の敵意がある人物を見付ける作業をしているらしい。魔力の多い人にしか出来ない事なんだって。
「師匠、魔法のサーチとは何が違うんですか?」
「サーチは魔方陣を媒体にして陣の広がった範囲を調べるが、今のは魔力のみだから敵に感知されにくい」
師匠の説明を聞いていると、ふうと息を吐いたランバートさんが目を開けて手を解いた。魔力を使った影響か、彼の瞳の色が何時もより濃くなって焦点が定まっていない。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう」
ランバートさんは一言だけ言うと、笑って食事を始めた。私も師匠に促されて料理に手を伸ばす。はー、久し振りに他の人が作ったご飯食べた気がする。美味しいけど、ランバートさんは少し不満気な顔をしてる。
「イリーナが作った方が旨いな」
師匠が驚いた表情で彼を見た。私も驚いたよ。私は料理を誉められたと喜んで良いのかな?彼の美味しいの基準が低い気がするけどなぁ。それにしても……
「背中が気持ち悪い」
何事も無ければ美味しいご飯が楽しめたのにガッカリ。俯いてため息を吐くと、ランバートさんが私の背中を擦ってくれた。彼が肩の近くを擦った瞬間、パンと乾いた音が聞こえた。
「……今の音……何ですか?」
「「音?」」
二人が声を揃えて首を傾げて考えている。イヤ、確かに音が聞こえ……た……うん?……背中が?
「師匠……気持ち悪いの無くなりました」
「……お前、破壊したな」
「え?俺!?何もしてないですよ!」
私と師匠の視線を浴びて慌てる彼は、必死に首を横に振っている。さっさと食事を終わらせて部屋に戻ると、直ぐに師匠が私の背中を覗き込んで、大きなため息を吐いた。
「やはり破壊してるぞ」
「どうしましょう」
師匠が唸り声を上げると、ランバートさんは叱られた子犬の様に項垂れていた。師匠の解析だと私と彼の魔力中和作用の影響で、魔方陣も一緒に中和=破壊をした可能性が高いらしい。下手に外に出ると目立つと言った師匠が、大きな紙に魔方陣を書き出した。
「直接、ナダルに連絡するから、お前達は先に風呂に入ってろ」
師匠に言われて、私達は交代で静かにお風呂を済ませた。何時でも移動出来る服装に着替えて風呂場から出てくると、魔方陣を書き終えた師匠が紙に魔力を流し始めていた。少し紙が浮いた後、淡く光る。その光の中に一人の男性が現れた。
『おや、兄上。珍しいですね』
「無駄口叩いてる暇は無い」
初めて見る王様は、街で見た絵姿より師匠に似ていた。師匠が魔方陣の事や見張りがいる事。ランバートさんが確認した人数や場所を説明していると、王様がニヤリと笑った。うわ~今の悪そうな笑顔、師匠にそっくり。
『助かりましたよ兄上。魔方陣を使う手口から今、騎士団が追っている組織で間違い無いでしょう』
王様の話では、実行犯は街の破落戸で指令役等、中心人物の居場所を誰も知らなかったらしい。王様はランバートさんが、さっき見付けた空き家に、一番近くにいる騎士団を向かわせると言った。
『安心して休んで下さい。明日、会えるのを楽しみにしていますよ。では』
「あぁ、明日な」
師匠の返事を聞いた王様が、嬉しそうに笑って姿を消した。魔方陣の光りも消えて部屋が急に暗くなった。
「後はナダルに任せて寝るか」
そう言うと師匠は、自分も風呂に入ると言って奥の風呂場に入った。え?これで終わり?
「寝ても大丈夫なんですか?」
「王様が休んでっ言ったから大丈夫」
ランバートさんに手を引かれベッドに入ったけど、何故か彼は私が休むベッドの横に腰かけた。え?何やってるの?
「寝るまで側にいるから」
彼に不安な気持ちを見透かされた事が恥ずかしくなって、布団で顔を半分隠した。
「……お休みなさい」
私が目を閉じると彼が頭を撫でてくる。髪を触るの好きだなぁなんて思ったけど、疲れていたのか直ぐに眠くなる。
寝る時に側に居て貰うの……何年振りかなぁ……安心する……ゆっくり眠れそう
37
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
【完結】髪は女の命と言いますが、それよりも大事なものがある〜年下天才魔法使いの愛には応えられません〜
大森 樹
恋愛
髪は女の命。しかし、レベッカの髪は切ったら二度と伸びない。
みんなには秘密だが、レベッカの髪には魔法が宿っている。長い髪を切って、昔助けた男の子レオンが天才魔法使いとなって目の前に現れた。
「あなたを愛しています!絶対に絶対に幸せにするので、俺と結婚してください!よろしくお願いします!!」
婚約破棄されてから、一人で生きていくために真面目に魔法省の事務員として働いていたレベッカ。天才魔法使いとして入団してきた新人レオンに急に告白されるが、それを拒否する。しかし彼は全く諦める気配はない。
「レベッカさん!レベッカさん!」とまとわりつくレオンを迷惑に思いながらも、ストレートに愛を伝えてくる彼に次第に心惹かれていく…….。しかし、レベッカはレオンの気持ちに答えられないある理由があった。
年上訳あり真面目ヒロイン×年下可愛い系一途なヒーローの年の差ラブストーリーです。
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました
みん
恋愛
伯爵家の長女シルフィーは、5歳の時に魔力暴走を起こし、その時の記憶を失ってしまっていた。そして、そのせいで魔力も殆ど無くなってしまい、その時についてしまった傷痕が体に残ってしまった。その為、領地に済む祖父母と叔母と一緒に療養を兼ねてそのまま領地で過ごす事にしたのだが…。
ゆるっと設定なので、温かい気持ちで読んでもらえると幸いです。
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる