[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ

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本編

明日は王都

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 王都に入る直前で、私達は宿屋に泊まる事になった。王都に近い事もあって宿屋は多いし、荷馬車を預ける事も出来る。それに城に入る前にしっかり休もうと言う話しになったのだけど、お祭りの日だったらしく良い宿屋が見付からなかった。

「部屋が一つしかない?」

 やっと見付かった部屋は、広いけど一部屋。三人、余裕で寝れるし風呂も部屋に付いてるらしい。急にキャンセルになったから、部屋代は安くしてくれると言ってる。師匠が唸りながら考えているけど、宿代も高く無いし馬も休めるから、ここで良いですよ。

「師匠、ここにしましょう」

 私がそう言うと眉間に皺を寄せたまま師匠が頷いた。師匠が手続きをしている間に、私とランバートさんは必要な荷物を下ろして荷馬車を宿の人に預けた。

「二階の角部屋だ。行くぞ」

 師匠の後を付いて歩くと、借りた部屋は確かに広いしベッドも4つあった。奥にはトイレとお風呂もあり充実の設備だ。

「凄い広い部屋ですね」

 適当に荷物を置いて窓から外を覗くと、祭りの明かりもよく見える。キャンセルした人は勿体ないなぁ。

「何か見えるのか?」

「ほら、あの先にお祭りの明かりが見えますよ」

 ランバートさんが後ろから聞いてきたから、振り返らずに返事をする。ふーんと興味無さげな返事が、思ったより近くから聞こえて振り向くと、私の直ぐ横に顔があった。うわ!近い!!

「ランディー……ちょっと来い」

 師匠が眉間に皺を寄せたままランバートさんを呼び寄せると、二人でこそこそと話を始める。ランバートさんにお説教かな?
 彼の膝の上で寝てしまうという失態のあと、改めて感じたのは距離の近さ。今も顔が触れそうな距離まで近づいていた。……あれ?今更だけど私……触られても、どうも無いよ?あれれ?

「リナ、変な顔だぞ」

 今頃、気付いた疑問に首を傾げて考えていると、師匠から余計な一言が飛んでくる。

「私は触っても平気なのか気になっただけです」

 師匠に聞けば分かると思って質問した。私の言葉を聞いた師匠が、片方の眉だけを器用に上げてこっちを見る。ああと一言言うと、私を手招きして呼び寄せた。

「リナがランディーに触られても問題無いのは、特異魔力のせいだ」

 師匠の説明では彼の溢れる魔力を、私の特異魔力が中和するからダメージを受けないらしい。彼も成る程と言いながら私の髪を一束掴んだ。

「髪に触れても切れないのは中和のせいか」

 うん?切れない?今、不吉な事を言いませんでしたか?他の人は切れるって事ですか!彼は一人で納得しながら私の髪を指に巻いてクルクルと遊ぶ。彼の話では他人の髪に触れたら切れるから、頭を撫でるなんて事したことが無かったとか。そう言えば、前に私を撫でた時、首が痛かったなぁ。でも、中和って……

「中和したら私の魔力が減りませんか?」

「うーん、そこまでは分かっていないが、お前らを見る限り問題無いと思って良いだろう」

 ……おい、オッサン。弟子で実験するな!!それにしても、特異魔力って分からない事が多すぎて、迷惑しか掛けてないなぁ。もう少しは役にたつ事出来ないのかなぁ……うん?何か背中が変な感じ?

「どうしたんだ?」

 考え事をしていると、身体の中から変な感覚を感じて困惑した。ランバートさんに聞かれても説明が出来ない。近い言葉、近い……

「変な……背中をくすぐられる様な?もぞもぞした感覚で気持ち悪いです」

「リナ、背中見せろ」

「「はぁ?」」

 思わず彼と二人で声がハモる。急に変な事を言うなぁと思ったら、背中を襟元から覗き込んだ師匠が大きなため息を吐いた。

「背中の魔方陣、いつ付けられた?」

 え?魔方陣?自分で振り返ってもよく分からない。師匠が言うには闇の奴隷商人が、誘拐の目印に付ける追跡魔方陣が付けられているらしい。うーん、見えない。

「いつ……あっ!二つ前の宿屋で背中に体当たりしてきた人がいました」

 荷馬車の扱いの悪い店で、全員一致で拒否した事を思い出す。二人もあぁと言って納得していた。ゆっくり休むはずだったのに……



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