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本編
眠れそうですか?
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私の背中の魔方陣を消すと相手に伝わるから、そのままにして部屋の点検して結界を張った後で夕食をとる事になった。
宿屋の一階の食堂で食事をしながら、ランバートさんが敵の確認している。彼が目を閉じて祈る様に組んだ手を額に付けて集中し始めた。
「食堂の奥に一人……宿屋の外……三人……他には……街の外れ……空き家……三人……」
私には分からないけど師匠の説明では、彼は魔力を外に広げて共通の敵意がある人物を見付ける作業をしているらしい。魔力の多い人にしか出来ない事なんだって。
「師匠、魔法のサーチとは何が違うんですか?」
「サーチは魔方陣を媒体にして陣の広がった範囲を調べるが、今のは魔力のみだから敵に感知されにくい」
師匠の説明を聞いていると、ふうと息を吐いたランバートさんが目を開けて手を解いた。魔力を使った影響か、彼の瞳の色が何時もより濃くなって焦点が定まっていない。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう」
ランバートさんは一言だけ言うと、笑って食事を始めた。私も師匠に促されて料理に手を伸ばす。はー、久し振りに他の人が作ったご飯食べた気がする。美味しいけど、ランバートさんは少し不満気な顔をしてる。
「イリーナが作った方が旨いな」
師匠が驚いた表情で彼を見た。私も驚いたよ。私は料理を誉められたと喜んで良いのかな?彼の美味しいの基準が低い気がするけどなぁ。それにしても……
「背中が気持ち悪い」
何事も無ければ美味しいご飯が楽しめたのにガッカリ。俯いてため息を吐くと、ランバートさんが私の背中を擦ってくれた。彼が肩の近くを擦った瞬間、パンと乾いた音が聞こえた。
「……今の音……何ですか?」
「「音?」」
二人が声を揃えて首を傾げて考えている。イヤ、確かに音が聞こえ……た……うん?……背中が?
「師匠……気持ち悪いの無くなりました」
「……お前、破壊したな」
「え?俺!?何もしてないですよ!」
私と師匠の視線を浴びて慌てる彼は、必死に首を横に振っている。さっさと食事を終わらせて部屋に戻ると、直ぐに師匠が私の背中を覗き込んで、大きなため息を吐いた。
「やはり破壊してるぞ」
「どうしましょう」
師匠が唸り声を上げると、ランバートさんは叱られた子犬の様に項垂れていた。師匠の解析だと私と彼の魔力中和作用の影響で、魔方陣も一緒に中和=破壊をした可能性が高いらしい。下手に外に出ると目立つと言った師匠が、大きな紙に魔方陣を書き出した。
「直接、ナダルに連絡するから、お前達は先に風呂に入ってろ」
師匠に言われて、私達は交代で静かにお風呂を済ませた。何時でも移動出来る服装に着替えて風呂場から出てくると、魔方陣を書き終えた師匠が紙に魔力を流し始めていた。少し紙が浮いた後、淡く光る。その光の中に一人の男性が現れた。
『おや、兄上。珍しいですね』
「無駄口叩いてる暇は無い」
初めて見る王様は、街で見た絵姿より師匠に似ていた。師匠が魔方陣の事や見張りがいる事。ランバートさんが確認した人数や場所を説明していると、王様がニヤリと笑った。うわ~今の悪そうな笑顔、師匠にそっくり。
『助かりましたよ兄上。魔方陣を使う手口から今、騎士団が追っている組織で間違い無いでしょう』
王様の話では、実行犯は街の破落戸で指令役等、中心人物の居場所を誰も知らなかったらしい。王様はランバートさんが、さっき見付けた空き家に、一番近くにいる騎士団を向かわせると言った。
『安心して休んで下さい。明日、会えるのを楽しみにしていますよ。では』
「あぁ、明日な」
師匠の返事を聞いた王様が、嬉しそうに笑って姿を消した。魔方陣の光りも消えて部屋が急に暗くなった。
「後はナダルに任せて寝るか」
そう言うと師匠は、自分も風呂に入ると言って奥の風呂場に入った。え?これで終わり?
「寝ても大丈夫なんですか?」
「王様が休んでっ言ったから大丈夫」
ランバートさんに手を引かれベッドに入ったけど、何故か彼は私が休むベッドの横に腰かけた。え?何やってるの?
「寝るまで側にいるから」
彼に不安な気持ちを見透かされた事が恥ずかしくなって、布団で顔を半分隠した。
「……お休みなさい」
私が目を閉じると彼が頭を撫でてくる。髪を触るの好きだなぁなんて思ったけど、疲れていたのか直ぐに眠くなる。
寝る時に側に居て貰うの……何年振りかなぁ……安心する……ゆっくり眠れそう
宿屋の一階の食堂で食事をしながら、ランバートさんが敵の確認している。彼が目を閉じて祈る様に組んだ手を額に付けて集中し始めた。
「食堂の奥に一人……宿屋の外……三人……他には……街の外れ……空き家……三人……」
私には分からないけど師匠の説明では、彼は魔力を外に広げて共通の敵意がある人物を見付ける作業をしているらしい。魔力の多い人にしか出来ない事なんだって。
「師匠、魔法のサーチとは何が違うんですか?」
「サーチは魔方陣を媒体にして陣の広がった範囲を調べるが、今のは魔力のみだから敵に感知されにくい」
師匠の説明を聞いていると、ふうと息を吐いたランバートさんが目を開けて手を解いた。魔力を使った影響か、彼の瞳の色が何時もより濃くなって焦点が定まっていない。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう」
ランバートさんは一言だけ言うと、笑って食事を始めた。私も師匠に促されて料理に手を伸ばす。はー、久し振りに他の人が作ったご飯食べた気がする。美味しいけど、ランバートさんは少し不満気な顔をしてる。
「イリーナが作った方が旨いな」
師匠が驚いた表情で彼を見た。私も驚いたよ。私は料理を誉められたと喜んで良いのかな?彼の美味しいの基準が低い気がするけどなぁ。それにしても……
「背中が気持ち悪い」
何事も無ければ美味しいご飯が楽しめたのにガッカリ。俯いてため息を吐くと、ランバートさんが私の背中を擦ってくれた。彼が肩の近くを擦った瞬間、パンと乾いた音が聞こえた。
「……今の音……何ですか?」
「「音?」」
二人が声を揃えて首を傾げて考えている。イヤ、確かに音が聞こえ……た……うん?……背中が?
「師匠……気持ち悪いの無くなりました」
「……お前、破壊したな」
「え?俺!?何もしてないですよ!」
私と師匠の視線を浴びて慌てる彼は、必死に首を横に振っている。さっさと食事を終わらせて部屋に戻ると、直ぐに師匠が私の背中を覗き込んで、大きなため息を吐いた。
「やはり破壊してるぞ」
「どうしましょう」
師匠が唸り声を上げると、ランバートさんは叱られた子犬の様に項垂れていた。師匠の解析だと私と彼の魔力中和作用の影響で、魔方陣も一緒に中和=破壊をした可能性が高いらしい。下手に外に出ると目立つと言った師匠が、大きな紙に魔方陣を書き出した。
「直接、ナダルに連絡するから、お前達は先に風呂に入ってろ」
師匠に言われて、私達は交代で静かにお風呂を済ませた。何時でも移動出来る服装に着替えて風呂場から出てくると、魔方陣を書き終えた師匠が紙に魔力を流し始めていた。少し紙が浮いた後、淡く光る。その光の中に一人の男性が現れた。
『おや、兄上。珍しいですね』
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『安心して休んで下さい。明日、会えるのを楽しみにしていますよ。では』
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そう言うと師匠は、自分も風呂に入ると言って奥の風呂場に入った。え?これで終わり?
「寝ても大丈夫なんですか?」
「王様が休んでっ言ったから大丈夫」
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「寝るまで側にいるから」
彼に不安な気持ちを見透かされた事が恥ずかしくなって、布団で顔を半分隠した。
「……お休みなさい」
私が目を閉じると彼が頭を撫でてくる。髪を触るの好きだなぁなんて思ったけど、疲れていたのか直ぐに眠くなる。
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