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本編
掴み取りたい未来 side ランバート
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イリーナに蒼い宝飾品を贈る意味を聞かれて一瞬、言葉に詰まった。知っているさ……相手に自分の色の宝飾品を贈るのは、夫婦か婚約者。つまり好意のある相手だって事だろう?
俺は、昔から他人に興味がなかった。触れる事が出来ない事もあって、人との付き合いは最低限。師匠の元で修行して、まともになったとはいえ他人に触れる事は出来ないまま。人間らしい生活に執着も無く、長い旅の中で自分の身なりなど気にした事もなかった。気が付けば家族と連絡を取らなくなって、何年経ったか分からない。
彼女には情けない姿は見せたくなかった。世間体など、異性からの視線など、どうでも良いと思っていた。だけど彼女は……イリーナだけは違っていた。そうだな……きっと最初から何もかもが違ったんだ。
師匠からの緊急の呼び出しで、急いで指定された店に向かえば笑顔の彼女がいた。
俺が世間で話題の勇者だと聞いても態度を変えず、媚びる事無く……そして、頼る事もなかった。俺を欲のない目で見てくれた女性は、家族以外では彼女が初めてだったかも知れない。怖い癖に一人で堪えて、師匠にすら甘える事もない。危なっかしい彼女から目が放せなくなった。
「イリーナ」
改めて名前を呼べば、真っ直ぐに俺を見詰める。その瞳を、その心を守りたいと心の底から想った。
「俺は人の心が分からない……だけど、君だけは特別なんだ」
黙って俺の過去の話を聞いてくれる彼女の頬に手を伸ばす。触れたその手に彼女の手が重ねられた。柔らかく温かなこの手を放したくない。
「君が好きだ。俺と二人で旅をしよう……君の両親みたいな旅の相手に選んでくれないか?」
彼女の目から涙が滲む。重ねられた彼女の手に力が入った。
「私なんかで良いですか?私は……何も出来ないですよ?」
何故か自己評価の低い彼女は、口癖の様に『何も出来ない』と言う。俺や師匠が、どれだけ助けられているか全く理解していない。
「君じゃなきゃダメなんだ。どうか“はい”と言ってくれ」
「……は……い……私も好きです」
彼女の目からポロポロと溢れる涙を手で拭くと、くすぐったいと肩を竦める。そんな仕草も愛しくて、思わず抱き締めてその存在を確かめた。想いが伝わっただけで、想いを返して貰っただけで嬉しかった。
「……ネックレス……ありがとうございます。でも……」
一度、言葉を切った彼女が腕の中で顔を上げた。その表情は困った様に眉を下げている。
「私は一緒に居てくれるだけで良いです」
彼女は、ドレスも宝飾品も要らないと言う。女性なら必ず喜ぶと思い込んでいたが彼女は違ったんだな。王妃様が選んでくれた物以外に気に入った物があるか聞くと、彼女は首を横に振って胸元から、以前、渡した護り石のペンダントを取り出した。
「これ……初めてくれた物だし、この石の色……ほら、貴方の瞳とそっくり」
ペンダントの小さな蒼い石と俺の目を見比べて、満足そうに頷く彼女は笑っていた。豪華だとかそんなの関係無いのだと彼女は言う。
「貴方が護ってくれるみたいで素敵じゃないですか。一個で十分ですよ」
「そうか」
腕の中の彼女と改めて目を合わせる。引き寄せられる様に彼女の唇に目を止めた時、大きな音と共にドアが開いて師匠が入ってきた。……いや、師匠!あんた自分で、彼女を守るのは俺しかいないとか言って無かったか!?殺気がマジなんですけど!!
「リナから離れろ」
低い地響きの様な一言に、俺は両手を上げて一歩下がった。一瞬、眉を下げた彼女が、師匠を睨むと勢いよく俺の胸に飛び込んでくるのを受け止めた。
「お義父様のバカ!」
この一言で、額に青筋立てた師匠がドアを素手で破壊した。
彼女を狙う奴らより、師匠の方が厄介だな……俺、この後、無事で要られるかな?
……後でオーウェン殿から回復薬を分けて貰おう。
俺は、昔から他人に興味がなかった。触れる事が出来ない事もあって、人との付き合いは最低限。師匠の元で修行して、まともになったとはいえ他人に触れる事は出来ないまま。人間らしい生活に執着も無く、長い旅の中で自分の身なりなど気にした事もなかった。気が付けば家族と連絡を取らなくなって、何年経ったか分からない。
彼女には情けない姿は見せたくなかった。世間体など、異性からの視線など、どうでも良いと思っていた。だけど彼女は……イリーナだけは違っていた。そうだな……きっと最初から何もかもが違ったんだ。
師匠からの緊急の呼び出しで、急いで指定された店に向かえば笑顔の彼女がいた。
俺が世間で話題の勇者だと聞いても態度を変えず、媚びる事無く……そして、頼る事もなかった。俺を欲のない目で見てくれた女性は、家族以外では彼女が初めてだったかも知れない。怖い癖に一人で堪えて、師匠にすら甘える事もない。危なっかしい彼女から目が放せなくなった。
「イリーナ」
改めて名前を呼べば、真っ直ぐに俺を見詰める。その瞳を、その心を守りたいと心の底から想った。
「俺は人の心が分からない……だけど、君だけは特別なんだ」
黙って俺の過去の話を聞いてくれる彼女の頬に手を伸ばす。触れたその手に彼女の手が重ねられた。柔らかく温かなこの手を放したくない。
「君が好きだ。俺と二人で旅をしよう……君の両親みたいな旅の相手に選んでくれないか?」
彼女の目から涙が滲む。重ねられた彼女の手に力が入った。
「私なんかで良いですか?私は……何も出来ないですよ?」
何故か自己評価の低い彼女は、口癖の様に『何も出来ない』と言う。俺や師匠が、どれだけ助けられているか全く理解していない。
「君じゃなきゃダメなんだ。どうか“はい”と言ってくれ」
「……は……い……私も好きです」
彼女の目からポロポロと溢れる涙を手で拭くと、くすぐったいと肩を竦める。そんな仕草も愛しくて、思わず抱き締めてその存在を確かめた。想いが伝わっただけで、想いを返して貰っただけで嬉しかった。
「……ネックレス……ありがとうございます。でも……」
一度、言葉を切った彼女が腕の中で顔を上げた。その表情は困った様に眉を下げている。
「私は一緒に居てくれるだけで良いです」
彼女は、ドレスも宝飾品も要らないと言う。女性なら必ず喜ぶと思い込んでいたが彼女は違ったんだな。王妃様が選んでくれた物以外に気に入った物があるか聞くと、彼女は首を横に振って胸元から、以前、渡した護り石のペンダントを取り出した。
「これ……初めてくれた物だし、この石の色……ほら、貴方の瞳とそっくり」
ペンダントの小さな蒼い石と俺の目を見比べて、満足そうに頷く彼女は笑っていた。豪華だとかそんなの関係無いのだと彼女は言う。
「貴方が護ってくれるみたいで素敵じゃないですか。一個で十分ですよ」
「そうか」
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「リナから離れろ」
低い地響きの様な一言に、俺は両手を上げて一歩下がった。一瞬、眉を下げた彼女が、師匠を睨むと勢いよく俺の胸に飛び込んでくるのを受け止めた。
「お義父様のバカ!」
この一言で、額に青筋立てた師匠がドアを素手で破壊した。
彼女を狙う奴らより、師匠の方が厄介だな……俺、この後、無事で要られるかな?
……後でオーウェン殿から回復薬を分けて貰おう。
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