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本編
伝承の巫女 side ランバート
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明け方、強い魔力を感知して目を覚ますと転移魔法で壁が歪んだ。
大きく歪んだ壁から出てきたオーウェン殿は、無表情の彼には珍しく苦し気に眉間にシワを寄せいた。
「小僧。お前と魔眼の主に話したい事がある」
黙って頷くと隣の部屋の師匠を呼び出す。俺が使っている部屋に三人が揃うと、オーウェン殿が重い口を開いた。
「伝承の巫女とは緋色の髪と瞳を持ち、あらゆる生き物を癒し回復させる者らしい」
ゆっくりと話し出したのは、長から聞いた昔話。あらゆる生き物を癒し回復させる為に魔物に目を付けられ、巫女の一族はバラバラに逃げて遥か昔に消息は不明。巫女を知る術は失くなって久しい。
「ここからは推測だが、イリーナは生残りの可能性が高い」
「奴の狙いは魔王を癒す事か……いや、浄化されていれば不可能か?」
師匠の疑問にオーウェン殿が首を横に振った。
「伝承には巫女の命と引き換えに亡くなった命を甦らせるとある。狙いは彼女の命だ」
部屋の空気が一気に張り詰めたモノに変わった。命……まさか……あの悪夢の光景は……
「心臓を抉り取る」
「小僧、何故それを」
オーウェン殿の鋭い視線を受けながら、俺は悪夢で視た彼女の姿を伝える。夢の中とはいえ、心臓を抉られ血を流す姿は二度と視たく無いモノだ。
「奴が視せた悪夢ならば事実のなのだろうな」
長の話では実際に目の前で見た者はなく、唯の噂でしかないらしい。現実的にも死者を甦らせる等、あり得ない話だ。だが……
「奴は信じているから、これ程までしつこく狙う」
オーウェン殿の言葉に俺は黙って頷いた。両親を亡くして以降、七年間も狙われた理由が巫女の能力だったとは。魔石の再生能力だけでも危ういのに、更に巫女の能力と命をも狙われる。巫女の話が人々の間に広まれば、目立つ容姿の彼女に安息は失くなる。
「人間の中で巫女の伝承を聞いた事が無いのは、わざと消したか……リナが先祖返りで能力が突出したか……」
「恐らく両方だ。マルガリータも魔力について何も知らなかったからな」
オーウェン殿と師匠の会話を聞きながら、俺は彼女を護る為の手立てを考えていた。身代わりの護り石だけでは弱い気がする。
「ランディー、どうした?」
「いえ、イリーナに何か防御力を上げるモノを渡そうかと……」
自分で言い出したとはいえ、具体的なモノは思い付かず声が小さくなる。あからさまな防具は目立つし、女性が身に付けて違和感のないモノは何だ?アクセサリーは彼女から断られたからなぁ。
「お前がリナに渡したペンダントの効果は何だ?」
「ペンダント……あぁ、あれは一度だけ身代わりになる護り石です」
二人が揃えた様に動きを止めた。何だ?この反応……護り石に問題でもあるのか?
「小僧……その護り石は何処で手に入れた?」
入手先?あれは……迷宮の最下層で主を倒した後の戦利品だったよな……何処の迷宮だっか思い出せない。魔王を倒す前だったが……数十ヵ所は潜っていたからなぁ……何処だ?
思い出せず考えている俺を、二人が呆れた顔で見ていた。えっ?二人共、その顔は一体、何が言いたいんだよ。
「お前、そんな貴重なモノを簡単にやるかよ」
「……貴重なモノだとは思ってなかったです」
俺の言葉は無視され、二人でペンダントに防御魔法の付加が出来ないか話し始める。何だよ……その反応……そんなに貴重か?納得がいかない俺を見て、師匠が大きなため息を吐いた。
「お前な、これの確率を知ってるか?」
確率と言われて、知らない俺は黙って首を横に振った。横でオーウェン殿が『だろうな』とボソッと呟く。
「一万分の一だ」
へー、一万分の……一万!?ウソだろ?迷宮の主は一度倒すと消える。どうしても欲しければ別の迷宮に行かなければならない。一万回も迷宮なんぞ潜ってられるか?……無理だ。
「小僧、お前の幸運は最高値だ」
オーウェン殿から俺の前にペンダントが確認されたのは、数百年前の事だと聞かされ絶句した。俺の幸運が最高値?前回、確認されたのは数百年前?……マジか……知らなかった。二人は、また呆れた顔で俺を見ていたが何も言い返せなくなった。
まぁ……彼女の安全に使えるなら良か……?
大きく歪んだ壁から出てきたオーウェン殿は、無表情の彼には珍しく苦し気に眉間にシワを寄せいた。
「小僧。お前と魔眼の主に話したい事がある」
黙って頷くと隣の部屋の師匠を呼び出す。俺が使っている部屋に三人が揃うと、オーウェン殿が重い口を開いた。
「伝承の巫女とは緋色の髪と瞳を持ち、あらゆる生き物を癒し回復させる者らしい」
ゆっくりと話し出したのは、長から聞いた昔話。あらゆる生き物を癒し回復させる為に魔物に目を付けられ、巫女の一族はバラバラに逃げて遥か昔に消息は不明。巫女を知る術は失くなって久しい。
「ここからは推測だが、イリーナは生残りの可能性が高い」
「奴の狙いは魔王を癒す事か……いや、浄化されていれば不可能か?」
師匠の疑問にオーウェン殿が首を横に振った。
「伝承には巫女の命と引き換えに亡くなった命を甦らせるとある。狙いは彼女の命だ」
部屋の空気が一気に張り詰めたモノに変わった。命……まさか……あの悪夢の光景は……
「心臓を抉り取る」
「小僧、何故それを」
オーウェン殿の鋭い視線を受けながら、俺は悪夢で視た彼女の姿を伝える。夢の中とはいえ、心臓を抉られ血を流す姿は二度と視たく無いモノだ。
「奴が視せた悪夢ならば事実のなのだろうな」
長の話では実際に目の前で見た者はなく、唯の噂でしかないらしい。現実的にも死者を甦らせる等、あり得ない話だ。だが……
「奴は信じているから、これ程までしつこく狙う」
オーウェン殿の言葉に俺は黙って頷いた。両親を亡くして以降、七年間も狙われた理由が巫女の能力だったとは。魔石の再生能力だけでも危ういのに、更に巫女の能力と命をも狙われる。巫女の話が人々の間に広まれば、目立つ容姿の彼女に安息は失くなる。
「人間の中で巫女の伝承を聞いた事が無いのは、わざと消したか……リナが先祖返りで能力が突出したか……」
「恐らく両方だ。マルガリータも魔力について何も知らなかったからな」
オーウェン殿と師匠の会話を聞きながら、俺は彼女を護る為の手立てを考えていた。身代わりの護り石だけでは弱い気がする。
「ランディー、どうした?」
「いえ、イリーナに何か防御力を上げるモノを渡そうかと……」
自分で言い出したとはいえ、具体的なモノは思い付かず声が小さくなる。あからさまな防具は目立つし、女性が身に付けて違和感のないモノは何だ?アクセサリーは彼女から断られたからなぁ。
「お前がリナに渡したペンダントの効果は何だ?」
「ペンダント……あぁ、あれは一度だけ身代わりになる護り石です」
二人が揃えた様に動きを止めた。何だ?この反応……護り石に問題でもあるのか?
「小僧……その護り石は何処で手に入れた?」
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思い出せず考えている俺を、二人が呆れた顔で見ていた。えっ?二人共、その顔は一体、何が言いたいんだよ。
「お前、そんな貴重なモノを簡単にやるかよ」
「……貴重なモノだとは思ってなかったです」
俺の言葉は無視され、二人でペンダントに防御魔法の付加が出来ないか話し始める。何だよ……その反応……そんなに貴重か?納得がいかない俺を見て、師匠が大きなため息を吐いた。
「お前な、これの確率を知ってるか?」
確率と言われて、知らない俺は黙って首を横に振った。横でオーウェン殿が『だろうな』とボソッと呟く。
「一万分の一だ」
へー、一万分の……一万!?ウソだろ?迷宮の主は一度倒すと消える。どうしても欲しければ別の迷宮に行かなければならない。一万回も迷宮なんぞ潜ってられるか?……無理だ。
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まぁ……彼女の安全に使えるなら良か……?
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