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本編
時間稼ぎ
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お義父様が言っていた通りの特徴の男性が目の前にいる。貴族である事に拘り、今でも当主に戻ろうとしているらしい、この人の注意を少しでも長く引き付ける事が私の役目。この人を煽るには……
「イーサン元侯爵」
元の部分を強調して名前を呼ぶと、眉間に更に深い皺が寄り、苛ついているのか脚が微かに揺れた。
「言葉使いの知らんガキが」
「まぁ、カインお義父様の義娘ですからね」
肩を竦めて答えると舌打ちする音が聞こえたけど、元侯爵は口の端だけ上げて嫌な笑みを浮かべた。
「嘘の情報を流して何をしたいか知らんが、勇者は来ない」
「貴方の意見は聞いてないよ。彼は来る」
「なぁに私の自慢の娘が接待している上に、部屋の外には騎士団団員が見張っている。簡単には出れんよ」
接待って色仕掛け?ランバートさんの魔力で弾かれるのにどうやって?幾つもの疑問が浮かんで消える。不安を振り払う様に私は頭を大きく振った。
「安心しろ。勇者は我が家で囲って有効利用してやる」
「有効利用って、彼は物じゃ無い!」
「はっ、平民の魔力が多いだけの馬鹿は我々が管理せねばならんのだ」
我々?他に仲間や協力者がいるの?自分しか信じてなさそうなこの人に?
再び頭の中が疑問だらけになって黙った私を見て、何を思ったのか愉しそうにニヤニヤ笑った元侯爵は腰に着けた無限収納から新しい魔具を取り出した。あれも隠し部屋に設計図があったヤツ。でも、確か……そうだ!欠陥品だ!
「それ、接続が間違っているよ」
「は?戯れ言を言うな馬鹿が」
「馬鹿はそっちでしょう?そんな事にも気付かないなんて。発動しないわ」
私を睨み付けながら魔具を操作するけど何も起きない。焦った様に何度も操作したけど結果は変わらなかった。お義父様が独学で作っている上に、基礎が出来ていないって言ったけど大正解みたい。動かない魔具を後ろに投げ捨てると別の魔具を取り出した。この人、あと何個持ってあるのよ。
「今度は、暴発する魔具ね。その攻撃魔具は横から魔法が飛び出すよ」
元侯爵が私の話を無視して魔具を発動させたけど、彼の小さな呻き声と共に雷魔法が壁に当たって黒く焦げた。
「だから言った……のに」
私達がいる部屋とは別の場所から大きな爆発音と共に男女の悲鳴が聞こえた。思わず二人とも音が聞こえた方に顔を向ける。今の音……まさかランバートさんがキレた?イヤ、イヤ、イヤ。優しい彼がここまでする訳無いよね?……多分……
「……今のは……誰が?」
思わず溢れた一言に、元侯爵の肩がピクッと動く。ゆっくりと私に顔を向けた元侯爵は真っ赤な顔で拳を握り締め怒りを顕にした。あちゃ……キレてる。また、新しい魔具を取り出した!もう!いい加減にしてよ!!!!
「次そこ」
「魔具に頼らず自分で魔法を撃てば良いでしょ!」
「カインのせいで出来んのだ!アイツのせいで全てが台無しだ!!!!」
は?お義父様のせいで出来ない?怪我したからって事?でも、怪我は脚で手では無いし、それこそ魔具で補助すれば……
「まさか補助魔具を知らないの?」
ポロッと溢れた疑問に元侯爵が動きを止めた。魔具は年々、進化していている。様々な理由で魔力や魔法が安定しない人々の為の補助をする魔具が開発され、この数年でかなり普及してきた。日常生活にも使われる補助魔具を知らないなんて……
「随分、遅れてるのね」
呆れた声で言えば元侯爵が私を睨み付ける。また、新しい魔具を無限収納から出した時、後ろから聞こえた大きな音と共に水が飛んできて私と元侯爵は頭からずぶ濡れになった。うわ!私まで濡れた……水なんて何処から……
「やっと見付けたぞ、糞野郎」
地を這う様な低い声と共に廊下の角から姿を現したのは、大きなハンマーを肩に担いだマスターだった。
「マスター、犯人はコイツで間違いありません!!!!」
マスターの後ろから顔を出した少年は
元侯爵を指しながら大きな声でそう叫んだ。
「イーサン元侯爵」
元の部分を強調して名前を呼ぶと、眉間に更に深い皺が寄り、苛ついているのか脚が微かに揺れた。
「言葉使いの知らんガキが」
「まぁ、カインお義父様の義娘ですからね」
肩を竦めて答えると舌打ちする音が聞こえたけど、元侯爵は口の端だけ上げて嫌な笑みを浮かべた。
「嘘の情報を流して何をしたいか知らんが、勇者は来ない」
「貴方の意見は聞いてないよ。彼は来る」
「なぁに私の自慢の娘が接待している上に、部屋の外には騎士団団員が見張っている。簡単には出れんよ」
接待って色仕掛け?ランバートさんの魔力で弾かれるのにどうやって?幾つもの疑問が浮かんで消える。不安を振り払う様に私は頭を大きく振った。
「安心しろ。勇者は我が家で囲って有効利用してやる」
「有効利用って、彼は物じゃ無い!」
「はっ、平民の魔力が多いだけの馬鹿は我々が管理せねばならんのだ」
我々?他に仲間や協力者がいるの?自分しか信じてなさそうなこの人に?
再び頭の中が疑問だらけになって黙った私を見て、何を思ったのか愉しそうにニヤニヤ笑った元侯爵は腰に着けた無限収納から新しい魔具を取り出した。あれも隠し部屋に設計図があったヤツ。でも、確か……そうだ!欠陥品だ!
「それ、接続が間違っているよ」
「は?戯れ言を言うな馬鹿が」
「馬鹿はそっちでしょう?そんな事にも気付かないなんて。発動しないわ」
私を睨み付けながら魔具を操作するけど何も起きない。焦った様に何度も操作したけど結果は変わらなかった。お義父様が独学で作っている上に、基礎が出来ていないって言ったけど大正解みたい。動かない魔具を後ろに投げ捨てると別の魔具を取り出した。この人、あと何個持ってあるのよ。
「今度は、暴発する魔具ね。その攻撃魔具は横から魔法が飛び出すよ」
元侯爵が私の話を無視して魔具を発動させたけど、彼の小さな呻き声と共に雷魔法が壁に当たって黒く焦げた。
「だから言った……のに」
私達がいる部屋とは別の場所から大きな爆発音と共に男女の悲鳴が聞こえた。思わず二人とも音が聞こえた方に顔を向ける。今の音……まさかランバートさんがキレた?イヤ、イヤ、イヤ。優しい彼がここまでする訳無いよね?……多分……
「……今のは……誰が?」
思わず溢れた一言に、元侯爵の肩がピクッと動く。ゆっくりと私に顔を向けた元侯爵は真っ赤な顔で拳を握り締め怒りを顕にした。あちゃ……キレてる。また、新しい魔具を取り出した!もう!いい加減にしてよ!!!!
「次そこ」
「魔具に頼らず自分で魔法を撃てば良いでしょ!」
「カインのせいで出来んのだ!アイツのせいで全てが台無しだ!!!!」
は?お義父様のせいで出来ない?怪我したからって事?でも、怪我は脚で手では無いし、それこそ魔具で補助すれば……
「まさか補助魔具を知らないの?」
ポロッと溢れた疑問に元侯爵が動きを止めた。魔具は年々、進化していている。様々な理由で魔力や魔法が安定しない人々の為の補助をする魔具が開発され、この数年でかなり普及してきた。日常生活にも使われる補助魔具を知らないなんて……
「随分、遅れてるのね」
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「やっと見付けたぞ、糞野郎」
地を這う様な低い声と共に廊下の角から姿を現したのは、大きなハンマーを肩に担いだマスターだった。
「マスター、犯人はコイツで間違いありません!!!!」
マスターの後ろから顔を出した少年は
元侯爵を指しながら大きな声でそう叫んだ。
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