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本編
夜を迎える
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部屋で一人の夕食を済ませた私は、部屋付きのお風呂で一日の汚れを落とした。あー、何か精神的に疲れた。本当はゆっくりお湯に浸かりたい気分だったけど、何時犯人が来るか分からない状況でそんな事は出来なかった。
お義父様から来た連絡には、元侯爵の人は三年前に王都で起きた大規模魔具暴発事件の犯人の可能性が高いらしい。亡くなった人もいて大騒ぎになったのに、未だに解決していないその事件。まさか騎士団の人がお金貰って隠蔽していたなんて、団長さんに言われるまで考えもしなかった。
マスターが目撃者の少年と一緒に暗くなってから来るって言ったけど何時だろう?もう来たかな。私は部屋で……
「イリーナ、少し話せるか?」
扉を叩く音と共に聞こえたのは大好きな人の声。最近、ゆっくり話す事が出来なかったから迷わず扉を開けた。
「ランバートさん……あれ?」
確かに聞こえたはずなのに廊下には誰も居なかった。首を傾げながら扉を閉めようとして何かに引っ掛かって扉が動かない。見えない何かに対する恐怖で、全身に嫌な汗が噴き出した。これはヤバい。
何かが扉を押さえているけど、攻撃する様子の無いそれとは別の何かが廊下を歩いて来る足音だけが耳に届いた。あぁ、来たんだ……
「元侯爵様ですか?」
目の前で何かが止まる。私の問い掛けに答える音は何も聞こえてこない。静けさが続く中で、私は必死に今日の打合せで言われた時間稼ぎを考える。落ち着いて……時間を伸ばすのよ。ランバートさんが言ったじゃない。直ぐに戻……
「勇者は来ない」
私の焦りを嘲笑う様な声で言われた一言に、団長が言っていた騎士団の協力者の存在を思い出した。今の若い男性の声は確か名前は……
「オズワルド・スターリン」
「なっ!」
……馬鹿だ。黙っていれば見えないから誤魔化しも出来たのにね。まぁ、それも想定済なんだけど、何だろう……凄く嫌な感じがして自分の心臓の音が煩い。
ガチャ
小さな金属音の耳に届く。まさか……元侯爵の隠し部屋で見付かった魔具?
「その魔具は暴発する!」
私の大声に驚いたのか姿隠しの魔具を落として現れたのは、騎士団の制服を着た団長と歳の近い男性だった。目を見開き私に顔を向けた男を思いっきり突き飛ばすと、彼が落とした魔具を部屋の窓から外に投げ捨てた。
「伏せて!」
そう叫びながら私も窓枠より下に隠れると同時に大きな爆発音が辺りに響き渡った。騒がしくなる外と廊下。慌てて駆け付けた騎士が呆然とする男に手を伸ばした時、もう一人、姿隠しの魔具で近付いていた人物を思い出した。待って、彼が囮なら……私の側にいる!
「……チッ……」
もう一人の居場所を探そうとした時、舌打ちと共に私のお腹に衝撃がきたけど、ペンダントの防御魔法が発動して軽くよろけただけで相手に跳ね返った。
「グッ!」
男の呻き声と共に魔具が床に落ちる音が響く。私の目の前には銀色の髪と瞳の男性が、眉間に皺を寄せて身体を曲げていた。
お義父様から来た連絡には、元侯爵の人は三年前に王都で起きた大規模魔具暴発事件の犯人の可能性が高いらしい。亡くなった人もいて大騒ぎになったのに、未だに解決していないその事件。まさか騎士団の人がお金貰って隠蔽していたなんて、団長さんに言われるまで考えもしなかった。
マスターが目撃者の少年と一緒に暗くなってから来るって言ったけど何時だろう?もう来たかな。私は部屋で……
「イリーナ、少し話せるか?」
扉を叩く音と共に聞こえたのは大好きな人の声。最近、ゆっくり話す事が出来なかったから迷わず扉を開けた。
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何かが扉を押さえているけど、攻撃する様子の無いそれとは別の何かが廊下を歩いて来る足音だけが耳に届いた。あぁ、来たんだ……
「元侯爵様ですか?」
目の前で何かが止まる。私の問い掛けに答える音は何も聞こえてこない。静けさが続く中で、私は必死に今日の打合せで言われた時間稼ぎを考える。落ち着いて……時間を伸ばすのよ。ランバートさんが言ったじゃない。直ぐに戻……
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私の焦りを嘲笑う様な声で言われた一言に、団長が言っていた騎士団の協力者の存在を思い出した。今の若い男性の声は確か名前は……
「オズワルド・スターリン」
「なっ!」
……馬鹿だ。黙っていれば見えないから誤魔化しも出来たのにね。まぁ、それも想定済なんだけど、何だろう……凄く嫌な感じがして自分の心臓の音が煩い。
ガチャ
小さな金属音の耳に届く。まさか……元侯爵の隠し部屋で見付かった魔具?
「その魔具は暴発する!」
私の大声に驚いたのか姿隠しの魔具を落として現れたのは、騎士団の制服を着た団長と歳の近い男性だった。目を見開き私に顔を向けた男を思いっきり突き飛ばすと、彼が落とした魔具を部屋の窓から外に投げ捨てた。
「伏せて!」
そう叫びながら私も窓枠より下に隠れると同時に大きな爆発音が辺りに響き渡った。騒がしくなる外と廊下。慌てて駆け付けた騎士が呆然とする男に手を伸ばした時、もう一人、姿隠しの魔具で近付いていた人物を思い出した。待って、彼が囮なら……私の側にいる!
「……チッ……」
もう一人の居場所を探そうとした時、舌打ちと共に私のお腹に衝撃がきたけど、ペンダントの防御魔法が発動して軽くよろけただけで相手に跳ね返った。
「グッ!」
男の呻き声と共に魔具が床に落ちる音が響く。私の目の前には銀色の髪と瞳の男性が、眉間に皺を寄せて身体を曲げていた。
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